生き活きケア

サッカーコーチ考案の認知症予防プログラム/ツクイ 横浜中田デイサービス (横浜市)

サッカーコーチ考案の認知症予防プログラム/ツクイ 横浜中田デイサービス (横浜市)

 全国でデイサービスなどを運営するツクイ(横浜市、髙橋靖宏社長)は今年2月より、プロサッカークラブ「横浜F・マリノス」とオフィシャルスポンサー契約を結んだ。横浜F・マリノスは兼ねてより市民の健康増進や、障がい者のスポーツ普及などを目的とする「ふれあい活動」を行ってきた。9月13日にツクイ横浜中田デイサービスで開催された、同クラブコーチによる「認知症予防プログラム」を取材した。(生き活きケア 150)

ツクイ×横浜F・マリノス

 プロサッカークラブ「横浜F・マリノス」は2年前から神奈川県が推進する「未病」事業の一環として「認知症予防プログラム」に取組んできた。

 1回あたり6カ月のプログラムで、高齢者と孫が2人1組となって参加する。認知症発症リスクを軽減させるためには、食事や運動、社会参加を中心とする生活習慣の改善が大切なことから、楽しく運動しながら、認知機能改善効果の測定も行っている。

 デイサービスでの開催は初めてとなる今回の「認知症予防プログラム」。当日は「ツクイ横浜中田デイサービス」(横浜市)の利用者48人が参加した。

 同クラブふれあい事業部長の望月選コーチは「通常はサッカーコートで開催しているが、デイサービスでの実施ということで、座ってできるプログラムも組み込んだ」と説明する。
 望月選コーチ(中央右)

 望月選コーチ(中央右)

頭と体を同時に使う運動

 前半30分は座った状態で手→足の順番で動かしていく。▽左手は上下に動かし、右手で三角形を描く▽一人でじゃんけんをして、必ず右手が勝つようにする――など左右異なる動きをする。利用者からは「難しいわよー!」「できた!」など感想が飛び交う。

 次は、望月コーチが「しっかり足を上げて歩かないと、歩幅が狭くなり、転びやすくなる」と説明し、足上げの運動がスタート。

 足上げの途中で、右(左)足を横にずらす動きを加えて、腿の筋肉と股関節を動かしていく。

 説明を聞き、知らなかったとつぶやく利用者も多く、真剣に取組んでいた。

 望月コーチは「頭を使いながら運動することが認知症予防の鍵となる。失敗してそこでやめるのではなく、笑って楽しみながら取組んでもらいたい」と話す。
(写真1)キャッチボールをしな がら利用者とコーチの会話も弾む

(写真1)キャッチボールをしな がら利用者とコーチの会話も弾む

(写真2)「普段できない内容で とっても楽しい!!」と大好評

(写真2)「普段できない内容で とっても楽しい!!」と大好評

サッカーボールを使った運動

 後半30分は待ちに待ったサッカーボールを使った運動。ボールを手にした利用者は、上に投げたり転がしたりと、一気に盛り上がった。

 2人1組のキャッチボールでは「サッカーは走っているだけではなく、相手を見て、次の動きを考えるなど、常に頭と足を動かしているスポーツ。どこに投げたら相手が取りやすいか、速度はどうかなど考えながら投げてください」とアドバイス。

 利用者同士で相談したり、コーチに話しかけたりと、事業所内は会話と笑いが絶えなかった(写真1・2)

 プログラムの最後には、サッカーゴールを用意して、利用者全員が順番にゴールに向かってボールを蹴る。
 
 91歳の利用者は、両手で杖を持ちながら歩いて、率先してゴール前へ。職員の支えなしで、ボールを蹴り見事ゴール。「俺もまだまだすてたもんじゃないな」と満足げ(写真3)

 望月コーチは「普段、デイサービスでやっていることと同じ内容では意味がない。立ったり、サッカーボールを使ったりと我々が関わるからできるプログラムを意識している。今後は、ツクイの理学療法士とも連携して、より質の高いプログラムも検討して
いきたい」と意気込む。

 同事業所管理者の多田英二さんは「利用者の安全のため、立ってできるレクリエーションはあまり行っていなかった。今回楽しんでいる利用者を見て、立ってできるプログラムも少しずつ増やしていきたい」と語った。
(写真3) 91 歳の利用者も見事ゴールを決め て「スカウトされちゃうかも」と喜ぶ

(写真3) 91 歳の利用者も見事ゴールを決め て「スカウトされちゃうかも」と喜ぶ

 管理者の多田英二さん(中央左)

 管理者の多田英二さん(中央左)

(シルバー産業新聞2019年10月10日号)

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