生き活きケア

水害対策マニュアル独自に作成 排水ポンプが防災の要/特養「新清快園」(西多摩郡)

水害対策マニュアル独自に作成 排水ポンプが防災の要/特養「新清快園」(西多摩郡)

 特別養護老人ホーム新清快園(東京都西多摩郡、田村修施設長)は「水防・水害・避難計画対策マニュアル」と「洪水(内水時)、土砂災害等の避難確保計画」を策定している。浸水被害を最小限に抑えるため排水ポンプの活用や連絡体制の取り方を明記し、災害時の迅速な行動を実現する。(生き活きケア 151)

 特別養護老人ホーム新清快園(東京都西多摩郡、田村修施設長)は「水防・水害・避難計画対策マニュアル」と「洪水(内水時)、土砂災害等の避難確保計画」を策定している。浸水被害を最小限に抑えるため排水ポンプの活用や連絡体制の取り方を明記し、災害時の迅速な行動を実現する。

 東京都西部・日の出町に開所した特養「新清快園」は3階建て120床の特別養護老人ホームで1階と2階が入所スペース。5年前に同町平井地区から移設増床した際、東京都社会福祉協議会のマニュアルに沿ったBCPを立てることになった。

 同時に移設先の土地の水はけが悪く大雨が降った際のリスクも考える必要があった。

 介護課長の小倉巧さんは「大雨の際に施設の目の前の道路が冠水している光景を何度か目にしていました。幸い、被害はなかったのですがいずれ大規模な浸水が発生するかもしれないと考えました」と話す。

 そこで小倉さんは「水防・水害・避難計画対策マニュアル」と「洪水(内水時)、土砂災害等の避難確保計画」を作成した。

排水ポンプの運用法明記

 「防水のためには排水設備がまず必要」と小倉さん。そこで2台のポンプを購入した。合わせて職員誰もが使えるように「水防・水害・避難計画対策マニュアル」に排水ポンプの詳しい使い方を明記。どこに設置するのか、ホースはどこへ這わせて排水する
のかなど写真付きで示した。

 同施設では1台は中庭付近に設置する。増水してきた際に中庭から外の駐車場までホースを伸ばして排水する。

 マニュアルには垂直避難のタイミングも明記。排水が間に合わず中庭の地面から約10㎝を超えた時点で1階の入所者を2階の地域交流スペースに避難させる。10㎝の基準はテープとビニールひもでも示しており一目でわかる。

 2台目は職員が出勤した際の通用口付近に設置する。同氏は「緊急時に利用者を移動させるには応援職員の手が必要です。その職員が駆け付けられるための通路の確保は屋内への浸水対策とともに必須です」と強調する。

緊急時の初動は情報収集班がカギ

 また、「洪水(内水時)、土砂災害等の避難確保計画」には防災体制や避難誘導、訓練の実施について記載した。

 体制の項目には①指揮班②情報収集班③避難誘導班――のそれぞれの役割が記されている。

 「情報収集班」はテレビやラジオなどを通じて、がけ崩れや冠水などの前兆現象の把握や被害状況などを収集し指揮班と避難誘導班に報告する。

 「避難誘導班」は情報収集班からの報告を受け、避難準備やがけ崩れや冠水などの前兆現象を発見した場合の入所者の避難誘導をする。

 「指揮班」は各班へ必要な事項を指示する。

 合わせて応援職員の駆け付け基準と役割を明記。日の出町に「避難準備」が発令された場合は施設長と防火管理者が避難準備を行い、「避難勧告」が発令された場合は職員全員が関係行政への連絡や避難誘導の対応をする。

避難先としての機能も持つ

 また、同園は町から要配慮者を受け入れる2次避難所に指定されている。

 新清快園では2階の共有スペースを開放することで施設全体で利用者120人、スタッフ約80人に加え、要援護者6家族30人を受け入れることが可能。「ベッドやマットレス、パーテーションを備え、少しでも安心して生活できる環境を整備しています」と総務課長の山﨑昌也さんは話す。
 中庭から屋外へホースを使って排水する

 中庭から屋外へホースを使って排水する

 要配慮者受入れ訓練の様子 机でプライバシーを保護

 要配慮者受入れ訓練の様子 机でプライバシーを保護

(シルバー産業新聞2019年11月10日号)

関連する記事

2024年度改定速報バナー
web展示会 こちらで好評開催中! シルバー産業新聞 電子版 シルバー産業新聞 お申込みはこちら

お知らせ

もっと見る

週間ランキング

おすすめ記事

人気のジャンル