生き活きケア

生き活きケア(85)小規模多機能 ピグマリオンヒュッテ泉丘

生き活きケア(85)小規模多機能 ピグマリオンヒュッテ泉丘

 小規模多機能型居宅介護「ピグマリオンヒュッテ泉丘」(大阪府豊中市)がオープンしたのは2012年12月。事業所を建設する前には周辺の住民を対象に説明会を開催したという。 

「豊中市社協さんから地区の泉丘校区福祉委員会を紹介いただき開催しました。小規模多機能とはどういう性格の事業であり、地域にとってどんなメリットがあるのかなどを説明。そういう中で校区福祉委員会と懇意になったのです」(中辻剛社長)

 もともと中辻社長は、小規模多機能やグループホームは地域住民に開かれた存在であるべきという意見の持ち主。説明会では1階を小規模多機能とし、2階を地域の人が誰でも使用できるよう「地域交流室」として開放することを提案、住民は大賛成だった。

 1年後、その地域交流室で子育てサロンが開催できないかという話が、校区福祉委員会との間で持ち上がった。「子育てサロンはそれまでもありましたが、ここの地区にはママさんが集まれるような場所がなかったのです。喜んで引き受けました」と語るのは四宮雅子副社長。

 核家族化の現代、子育てで悩み、引きこもる母親も少なくない。一生懸命に子供を育てる母親たちをバックアップし、交流の場所を提供したいという思いだった。

 昨年秋にスタートした子育てサロンは非常に盛況で、毎回10~15組の親子が参加しているという。保育士と共に赤ちゃんをあやしたり、歌を歌ったりして楽しむ。ママ友になるケースも多く、子育てや家事の話で盛り上がる。

 子育てサロンは母親と赤ちゃんだけに効用をもたらしたわけではない。小規模多機能を使用する高齢者にとっても、今や月に1回の子育てサロンの日は楽しみな日になった。「サロンが終わり、参加者が帰るときに利用者さんで見送りをするのです。愛らしい赤ちゃんの顔を見ると、利用者の顔も和みます。中には赤ちゃんをだっこする人もあり、3世代にわたり、笑顔が飛び交う、和気あいあいの雰囲気です」(大塚五十鈴副社長)

利用者の家族もよく訪れる

利用者の家族もよく訪れる

 ピグマリオンヒュッテ泉丘の登録定員数は25人で、毎日20人程度が利用している。「ヒュッテ」という言葉は避難小屋という意味。「利用者の中にはグループホームや特養で入居を断られたり、認知症の進行が進んでいる人もいます」(中辻社長)。

 地域に開放されている事業所だけに利用者の家族も頻繁に訪れるという。友人、知人も少なくない。利用者の一人はテレビ電話で東京の子どもと会話を楽しんでいる。中には妻の介護に毎日付き添って来る人もいて「家の中だけで介護をしていると辛くなるが、ここに来ると妻も私も開放感を味わうことができます」と喜んでいる。

 また子育てサロン以外にも野外パーティやクリスマス会などをオープンに開催。地域住民はそれらのイベントを楽しんでいる。さらにピグマリオンンヒュッテ泉丘では事業所を開放するだけではなく、自らも地域に出かけていく。校区全体の避難訓練や敬老の集いなどに積極的に参加することで地元との交流を深めている。

 こうした姿勢に泉丘校区福祉委員会の西山公会長は「ピグマリオンヒュッテ泉丘が設立されたことで地域交流の拠点ができた。互いに協力しながら校区内の生活を豊かにしたい」とエールを送っている。

 ピグマリオンでは最近、やはり豊中市内にグループホームを新設し、そこでも地域との交流を深めていく予定だ。「まだまだ家庭内で孤立した高齢者は少なくありません。要介護状態でも安心して暮らせる地域づくりに励みたい」と中辻社長は今後の抱負を語った。 

(シルバー産業新聞2014年4月10日号)
防災訓練に参加した利用者と中辻社長

防災訓練に参加した利用者と中辻社長

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