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定期巡回に「夜間対応型」区分新設

定期巡回に「夜間対応型」区分新設

 厚生労働省は10月23日に社会保障審議会介護給付費分科会を開催、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護、認知症対応型共同生活介護の4サービスについて、次期改定の具体案を提示した。定期巡回サービスには夜間対応型訪問介護の区分を設け、27年度以降の統合をめざす。小規模多機能は認知症対応の向上へ、現行の利用者要件だけでなく専門的な研修修了者等の人員配置なども加算で評価する。

 この日より各サービス改定議論の第2ラウンドが開始。第1ラウンドの論点を踏まえた方向性が示される。

 定期巡回サービスについては、夜間対応型訪問介護と概ね利用者像が同じである点、また夜間対応型の9割以上が定期巡回サービスを運営している実態を踏まえ、「将来的には統合することが夜間対応型の利用者にとって効果的」と、両サービスを一本化する考えを明記した。

 サービスの統合(廃止)には法改正が必要なため、統合は早くても27年度の見込み。次期24年改定ではその激変緩和措置として、定期巡回サービスの基本報酬に夜間対応型の区分を設け、一体的な実施をはかる案を提示した。委員からは特に異論は出なかった。

小規模多機能認知症対応を強化

 小規模多機能の認知症加算は現行、利用者要件(認知症日常生活自立度Ⅲ以上、または同Ⅱで要介護2)のみだが、これに加えて認知症ケアに関する専門的研修修了者の配置や認知症ケアの指導、研修の実施等を新たに評価する区分を設ける。看多機も同様の扱い。新設区分の取組を促す観点から、現行の認知症加算の単位数を見直しメリハリをつける。

 小規模多機能の利用者に占める、認知症日常生活自立度Ⅱ以上の割合を要介護度別に見ると、2022年4月時点で要介護1が77.2%、要介護5が85.0%。9年前からそれぞれ6.7ポイント、3.0ポイント上昇している。他の訪問、通所、多機能系と比較してもその割合は最も高い。

 一方、小規模多機能から施設・居住系サービスへ移行した理由では、「家族にとって利用者の介護負担が大きいため」(37.3%)に次いで、「認知症が重度化したため」(20.3%)が多い。

看多機、柔軟な基本報酬に

 看多機は1事業所平均の定員数27.4人に対し、登録者数は20.5人。充足率は約75%にとどまる。新規相談で登録に至らなかった理由で多かったのが「利用料が高い」(16.2%)と「通い・泊まり・訪問・訪問看護の全ては必要ない」(10.7%)。包括報酬が利用のネックにもなっている。

 訪問介護・看護、通い、泊まりのサービス別に、月1回以上の利用があった利用者について平均利用回数を見ると、訪問介護は月22.3回、訪問看護5.9回、通い16.4回、泊まり13.8回。一方、「利用0回」の利用者も訪問介護39.3%、通い6.5%、泊まり50.0%、訪問看護35.4%でいた。要介護度別で平均利用回数を見ると(利用0回含む)、通いと泊まりは介護度が高くなるほど高頻度に。訪問看護は要介護5が一番多い(グラフ)。

 この実態を踏まえ、同省は利用のしやすさの観点から、利用頻度等にあわせて報酬の減算等ができるしくみを提案した。

 あわせて重度、看取り期の利用者が多く、緊急的な泊まりのニーズが増えていることから、計画にない泊まりサービスを提供した場合の加算評価も検討する。現行では、計画にない訪問看護を提供した場合に「緊急時訪問看護加算」(月574単位)が算定可。算定事業所の割合は77%で、年々増加傾向にある。

 なお、小規模多機能、看多機、定期巡回サービスに共通する加算「総合マネジメント体制強化加算」(月1000単位)は、いずれのサービスも算定率が9割程度と高い水準であることから、基本報酬へ包括化する方向。基本報酬へ加算分がそのまま上乗せされるかどうかがポイントとなる。

 また、現行で同加算は区分支給限度基準額の枠外であるため、「基本報酬へ組み込むなら、区分支給限度基準額の引上げも必要」といった意見もあった。
(シルバー産業新聞2023年11月10日号)

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