介護報酬単価

小規模多機能型居宅介護 2024年度介護報酬改定 留意事項

小規模多機能型居宅介護 2024年度介護報酬改定 留意事項

※主な改定部分のみ抜粋しています。
〇人員に関する基準
・管理者
〇運営に関する基準
・小規模多機能型居宅介護の具体的取扱方針
・利用者の安全ならびに介護サービスの質の確保および職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会の開催
・準用
〇報酬
・身体拘束廃止未実施減算について
・高齢者虐待防止措置未実施減算について
・業務継続計画未策定減算について
・認知症加算について
・看取り連携体制加算について
・総合マネジメント体制強化加算について

人員に関する基準

管理者

  同一の事業者によって設置された他の事業所、施設等の管理者または従業者としての職務に従事する場合であって、当該他の事業所、施設等の管理者または従業者としての職務に従事する時間帯も、当該小規模多機能型居宅介護事業所の利用者へのサービス提供の場面等で生じる事象を適時かつ適切に把握でき、職員および業務の一元的な管理・指揮命令に支障が生じないときに、当該他の事業所、施設等の管理者または従業者としての職務に従事する場合(この場合の他の事業所、施設等の事業の内容は問わないが、例えば、管理すべき事業所数が過剰であると個別に判断される場合や、併設される入所施設において入所者に対しサービス提供を行う看護職員または介護職員と兼務する場合(施設における勤務時間が極めて限られている場合を除く)、事故発生時等の緊急時において管理者自身が速やかに当該指定小規模多機能型居宅介護事業所または利用者へのサービス提供の現場に駆け付けることができない体制となっている場合などは、管理業務に支障があると考えられる)

運営に関する基準

小規模多機能型居宅介護の具体的取扱方針

 ③ 同条第5号および第6号は、当該利用者または他の利用者等の生命または身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束等を行ってはならず、緊急やむを得ない場合に身体的拘束等を行う場合にあっても、その態様および時間、その際の利用者の心身の状況ならびに緊急やむを得ない理由を記録しなければならないこととしたものである。
 また、緊急やむを得ない理由については、切迫性、非代替性および一時性の3つの要件を満たすことについて、組織等としてこれらの要件の確認等の手続きを極めて慎重に行うこととし、その具体的な内容について記録しておくことが必要である
 なお、基準第87条第2項の規定に基づき、当該記録は、2年間保存しなければならない。

 ④ 同条第7号の「身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会」(以下「身体的拘束等適正化検討委員会」)とは、身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会であり、委員会の構成メンバーは、事業所の管理者および従業者より構成する場合のほか、これらの職員に加えて、第三者や専門家を活用した構成とすることが望ましく、その方策として、精神科専門医等の専門医の活用等も考えられる。また、関係する職種、取り扱う事項等が相互に関係が深いと認められる他の会議体を設置している場合、これと一体的に設置・運営することとして差し支えない。
 また、身体的拘束等適正化検討委員会は、テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。この際、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。
 小規模多機能型居宅介護事業者が、報告、改善のための方策を定め、周知徹底する目的は、身体的拘束等の適正化について、施設全体で情報共有し、今後の再発防止につなげるためのものであり、決して従業者の懲罰を目的としたものではないことに留意することが必要である。
 具体的には、次のようなことを想定している。

イ 身体的拘束等について報告するための様式を整備すること。
ロ 介護従業者その他の従業者は、身体的拘束等の発生ごとにその状況、背景等を記録するとともに、イの様式に従い、身体的拘束等について報告すること。
ハ 身体的拘束等適正化検討委員会において、ロにより報告された事例を集計し、分析すること。
二 事例の分析に当たっては、身体的拘束等の発生時の状況等を分析し、身体的拘束等の発生原因、結果等をとりまとめ、当該事例の適正性と適正化策を検討すること。
ホ 報告された事例および分析結果を従業者に周知徹底すること。
へ 適正化策を講じた後に、その効果について評価すること。


 ⑤ 小規模多機能型居宅介護事業者が整備する「身体的拘束等の適正化のための指針」には、次のような項目を盛り込むこととする。

イ 事業所における身体的拘束等の適正化に関する基本的考え方
ロ 身体的拘束等適正化検討委員会その他事業所内の組織に関する事項
ハ 身体的拘束等の適正化のための職員研修に関する基本方針
二 事業所内で発生した身体的拘束等の報告方法等のための方策に関する基本方針
ホ 身体的拘束等発生時の対応に関する基本方針
へ 利用者等に対する当該指針の閲覧に関する基本方針
ト その他身体的拘束等の適正化の推進のために必要な基本方針


 ⑥ 介護従業者その他の従業者に対する身体的拘束等の適正化のための研修の内容としては、身体的拘束等の適正化の基礎的内容等の適切な知識を普及・啓発するとともに、当該小規模多機能型居宅介護事業者における指針に基づき、適正化の徹底を行うものとする。
 職員教育を組織的に徹底させていくためには、当該小規模多機能型居宅介護事業者が指針に基づいた研修プログラムを作成し、定期的な教育(年2回以上)を開催するとともに、新規採用時には必ず身体的拘束等の適正化の研修を実施することが重要である。
 また、研修の実施内容についても記録することが必要である。研修の実施は、職員研修事業所内での研修で差し支えない。

利用者の安全ならびに介護サービスの質の確保および職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会の開催

 地域密着型基準第86条の2は、介護現場の生産性向上の取組を促進する観点から、現場における課題を抽出および分析した上で事業所の状況に応じた必要な対応を検討し、利用者の尊厳や安全性を確保しながら事業所全体で継続的に業務改善に取り組む環境を整備するため、利用者の安全ならびに介護サービスの質の確保および職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会の設置および開催について規定したものである。なお、本条の適用にあたっては、令和6年改正省令附則第4条において、3年間の経過措置を設けており、令和9年3月31日までの間は、努力義務とされている。
 本委員会は、生産性向上の取組を促進する観点から、管理者やケア等を行う職種を含む幅広い職種により構成することが望ましく、各事業所の状況に応じ、必要な構成メンバーを検討すること。なお、生産性向上の取組に関する外部の専門家を活用することも差し支えないものであること。
 また、本委員会は、定期的に開催することが必要であるが、開催する頻度については、本委員会の開催が形骸化することがないよう留意した上で、各事業所の状況を踏まえ、適切な開催頻度を決めることが望ましい。
 あわせて、本委員会の開催に当たっては、厚生労働省老健局高齢者支援課「介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン」等を参考に取組を進めることが望ましい。また、本委員会はテレビ電話装置等を活用して行うことができるものとし、この際、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。
 なお、事務負担軽減の観点等から、本委員会は、他に事業運営に関する会議(事故発生の防止のための委員会等)を開催している場合、これと一体的に設置・運営することとして差し支えない。本委員会は事業所ごとに実施が求められるものであるが、他のサービス事業者との連携等により行うことも差し支えない。委員会の名称について、法令では「利用者の安全並びに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会」と規定されたところであるが、他方、従来から生産性向上の取組を進めている事業所においては、法令とは異なる名称の生産性向上の取組を進めるための委員会を設置し、開催している場合もあるところ、利用者の安全ならびに介護サービスの質の確保および職員の負担軽減に資する方策が適切に検討される限りにおいては、法令とは異なる委員会の名称を用いても差し支えない。

準用

(略)
  この場合において、準用される基準第34条の規定について、小規模多機能型居宅介護事業所は、1年に1回以上、サービスの改善および質の向上を目的として、各事業所が自ら提供するサービスについて評価・点検(自己評価)を行うとともに、当該自己評価結果について、運営推進会議において第三者の観点からサービスの評価(外部評価)を行うこととし、実施にあたっては以下の点に留意すること。また、運営推進会議の複数の事業所の合同開催については、合同で開催する回数が、1年度に開催すべき運営推進会議の開催回数の半数を超えないこととするとともに、外部評価を行う運営推進会議は、単独開催で行うこと。

イ~ハ (略)

ニ 自己評価結果および外部評価結果は、利用者および利用者の家族へ提供するとともに、「介護サービスの情報公表制度」に基づく介護サービス情報公表システムを活用し公表することが考えられるが、法人のホームページへの掲載、独立行政法人福祉医療機構が運営する「福祉医療情報ネットワークシステム(WAMNET)」の利用、事業所内の外部の者にも確認しやすい場所への掲示、市町村窓口や地域包括支援センターへの掲示等により公表することも差し支えない。

ホ (略)

 なお、居住、滞在および宿泊ならびに食事の提供に係る利用料等に関する指針一のハに規定するウェブサイトへの掲載に関する取扱いは、準用される基準省令第3条の32に関する第3の一の4の(25)の①に準ずるものとする。

報酬

身体拘束廃止未実施減算について

 身体拘束廃止未実施減算については、事業所において身体的拘束等が行われていた場合ではなく、指定地域密着型サービス基準第73条第6項の記録(同条第5項に規定する身体的拘束等を行う場合の記録)を行っていない場合および同条第7項に規定する措置を講じていない場合に、利用者全員について所定単位数から減算することとなる。具体的には、記録を行っていない、身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会を3月に1回以上開催していない、身体的拘束等の適正化のための指針を整備していないまたは身体的拘束等の適正化のための定期的な研修を実施していない事実が生じた場合、速やかに改善計画を市町村長に提出した後、事実が生じた月から3月後に改善計画に基づく改善状況を市町村長に報告することとし、事実が生じた月の翌月から改善が認められた月までの間について、利用者全員について所定単位数から減算することとする。

高齢者虐待防止措置未実施減算について

 高齢者虐待防止措置未実施減算については、事業所において高齢者虐待が発生した場合ではなく、地域密着型サービス基準第3条の38の2に規定する措置を講じていない場合に、利用者全員について所定単位数から減算することとなる。具体的には、高齢者虐待防止のための対策を検討する委員会を定期的に開催していない、高齢者虐待防止のための指針を整備していない、高齢者虐待防止のための年1回以上の研修を実施していないまたは高齢者虐待防止措置を適正に実施するための担当者を置いていない事実が生じた場合、速やかに改善計画を市町村長に提出した後、事実が生じた月から3月後に改善計画に基づく改善状況を市町村長に報告することとし、事実が生じた月の翌月から改善が認められた月までの間について、利用者全員について所定単位数から減算することとする。

業務継続計画未策定減算について

 業務継続計画未策定減算については、指定地域密着型サービス基準第37条、第37条の3または第40条の16 において準用する指定地域密着型サービス基準第3条の30の2第1項に規定する基準を満たさない事実が生じた場合に、その翌月(基準を満たさない事実が生じた日が月の初日である場合は当該月)から基準に満たない状況が解消されるに至った月まで、当該事業所の利用者全員について、所定単位数から減算することとする。
 なお、経過措置として、令和7年3月31日までの間、「感染症の予防及びまん延の防止のための指針」および非常災害に関する具体的計画を策定している場合には、当該減算は適用しないが、義務となっていることを踏まえ、速やかに作成すること。

認知症加算について

 ③ 「認知症介護に係る専門的な研修」とは、「認知症介護実践者等養成事業の実施について」、「認知症介護実践者等養成事業の円滑な運営について」に規定する「認知症介護実践リーダー研修」および認知症看護に係る適切な研修を指すものとする。

 ④ 「認知症ケアに関する留意事項の伝達又は技術的指導に係る会議」の実施にあたっては、全員が一堂に会して開催する必要はなく、いくつかのグループ別に分かれて開催することで差し支えない。また、「認知症ケアに関する留意事項の伝達又は技術的指導に係る会議」は、テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。この際、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。

 ⑤ 「認知症介護の指導に係る専門的な研修」とは、「認知症介護実践者等養成事業の実施について」、「認知症介護実践者等養成事業の円滑な運営について」に規定する「認知症介護指導者養成研修」および認知症看護に係る適切な研修を指すものとする。

看取り連携体制加算について

 ⑪ 看取り期の利用者に対するサービス提供にあたっては、厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等を参考にしつつ、本人の意思を尊重した医療・ケアの方針が実施できるよう、多職種が連携し、本人およびその家族と必要な情報の共有等に努めること。

総合マネジメント体制強化加算について

 ① 総合マネジメント体制強化加算は、小規模多機能型居宅介護事業所において、登録者が住み慣れた地域での生活を継続できるよう、地域住民との交流や地域活動への参加をはかりつつ、登録者の心身の状況、希望およびその置かれている環境を踏まえて「通い・訪問・宿泊」を柔軟に組み合わせて提供するために、介護支援専門員、看護師、准看護師、介護職員その他の関係者が日常的に行う調整や情報共有、多様な関係機関や地域住民等との調整や地域住民等との交流等の取組、また、小規模多機能型居宅介護が、地域包括ケアの担い手として、地域に開かれた拠点となり、サービスの質の向上をはかりつつ、認知症対応を含むさまざまな機能を発揮し、地域の多様な主体とともに利用者を支える仕組みづくりを促進するため、地域包括ケアの推進と地域共生社会の実現に資する取組を評価するものである。

② 総合マネジメント体制強化加算(Ⅰ)は、次に掲げるいずれにも該当する場合に算定する。

ア 小規模多機能型居宅介護計画について、登録者の心身の状況や家族を取り巻く環境の変化を踏まえ、介護職員や看護職員等の多職種協働により、随時適切に見直しを行っていること。

イ 日常的に地域住民等との交流をはかり、地域の行事や活動等に積極的に参加すること。
(地域の行事や活動の例)
・ 登録者が住み慣れた地域で生活を継続するために、当該地域における課題を掘り起こし、地域住民や市町村等とともに解決する取組(行政や地域包括支援センターが開催する地域での会議への参加、町内会や自治会の活動への参加、認知症や介護に関する研修の実施等)
・ 登録者が住み慣れた地域との絆を継続するための取組(登録者となじみの関係がある地域住民や商店等との関わり、地域の行事への参加等)

ウ 利用者および利用者と関わりのある地域住民や商店等からの日頃からの相談体制を構築し、事業所内外の人(主に独居、認知症の人とその家族)にとって身近な拠点となるよう、事業所が主体となって、地域の相談窓口としての役割を担っていること。

エ 居宅サービス計画について、必要に応じて多様な主体により提供される登録者の生活全般を支援するサービスが包括的に提供されるような計画を作成していること。なお、多様な主体により提供される利用者の日常生活全般を支援するサービスとは、介護給付費等対象サービス(介護保険法第24条第2項に規定する介護給付費等対象サービスをいう)以外の保健医療サービスまたは福祉サービス、当該地域の住民による自発的な活動によるサービス等のことをいう。

オ 次に掲げるいずれかに該当すること
・ 地域住民等との連携により、地域資源を効果的に活用し、利用者の状態に応じた支援を行っていること。なお、地域資源を効果的に活用し、利用者の状態に応じた支援を行うための取組とは、例えば、利用者となじみの関係にある地域住民・商店等の多様な主体との関わり、利用者の地域における役割、生きがいなどを可視化したものを作成し、事業所の従業者で共有していることをいう。
・ 障害福祉サービス事業所、児童福祉施設等と協働し、小規模多機能型居宅介護事業所において、世代間の交流の場を設けている(障害福祉サービス事業所、児童福祉施設等の指定を併せて受け、一体的に運営が行われている場合を含む)こと。
・ 小規模多機能型居宅介護事業所が、地域住民等、当該事業所以外の他の居宅サービス事業者、地域密着型サービス事業者等と共同で、認知症や介護に関する事例検討会、研修会等を定期的に行うこと。
・ 市町村が実施する通いの場、在宅医療・介護連携推進事業等の地域支援事業等において、介護予防に資する取組、小規模多機能型居宅介護事業所以外のサービス事業所または医療機関との連携等を行っていること。


 ③ 総合マネジメント体制強化加算(Ⅱ)は、②アおよびイのいずれにも該当する場合に算定する。


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