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当事者とともに働く場を作る① 自閉症の人が 「地域で働く」を支援

当事者とともに働く場を作る① 自閉症の人が 「地域で働く」を支援

 学校卒業後、あるいは施設入所から地域生活に移行する場合、また、ひきこもりに該当するような在宅生活が長期化している成人の自閉症の人たちが、日中に通所利用できるサービスにはどのようなものがあるだろうか。

 現状、成人期の障害福祉サービスでは、表のような日中活動系の事業が用意されている(厚生労働省ホームページより筆者作成)。
利用できる対象者は、それぞれ下記の通り(厚労省ホームページより、筆者抜粋)。

①生活介護:地域や入所施設において安定した生活を営むため、常時介護等の支援が必要な者。障害支援区分が区分3(障害者支援施設等に入所する場合は区分4)以上等。
②自立訓練(生活訓練):地域生活を営む上で、生活能力の維持・向上等のため、一定の支援が必要な障害者。入所施設・病院を退所・退院した者。特別支援学校を卒業した者等。
③就労移行支援:通常の事業所に雇用されることが可能と見込まれる者。単独で就労することが困難であるため、就労に必要な知識及び技術の習得もしくは就労先の紹介その他の支援が必要な者。
④就労継続支援A型(雇用型):通常の事業所に雇用されることが困難な障害者のうち、適切な支援により雇用契約等に基づき就労する者。就労移行支援事業を利用したが、企業等の雇用に結びつかなかった者等。
⑤就労継続支援B型(非雇用型):就労移行支援事業等を利用したが一般企業等の雇用に結びつかない者や、一定年齢に達している者などであって、就労の機会等を通じ、生産活動にかかる知識及び能力の向上や維持が期待される者等。



 現場チックな言い方をすれば、
 ・生活介護事業は主に障害程度が重度で、就労は困難で、日常生活場面で
   手厚い介護が必要な方。
 ・自立訓練は2年間の利用年限で、地域生活スキルを身に着けることを
   目標にする方。
 ・就労移行支援は、2年間の利用年限で企業就労(障害者雇用)を目指す方。
 ・就労継続A型は、その事業所と雇用契約を結び、最低賃金以上の賃金が
   発生する方。
 ・就労継続B型は工賃作業を行う方
 ――となる。

 このように、現状の障害福祉サービスは、さまざまな障害程度と利用希望に対応し、障害のある人たちの「地域で働く」をサポートするよう整備されている。しかしながら、実際の支援現場では、これらの事業・サービスがうまく機能しないで、場合によっては支援の網から抜け落ちてしまうこともある。
 例えば、福祉サービス事業所に通えない、利用したくても受け入れてくれない、通所先で十分な対応が受けられずトラブルが続く、就労しても長く続かない――といったことだ。
 次回からは、これら通所事業所の事例を通して、自閉症の人たちの「働く」を考えてみたい。

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