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インタビュー 日本介護福祉士会新会長 石橋真二氏 (2006年8月10日号)

インタビュー 日本介護福祉士会新会長 石橋真二氏 (2006年8月10日号)

 介護福祉士になるには、これまで高卒後2年間の養成校の修了か、3年間の実務経験後の国家試験合格が主なルートであったが、資格要件が見直されて、一定の教育と国試合格とを義務づけるなど、一元化の方針が決まった。次の通常国会で法律改正になる見込みで、就学中の者があることから実施は2、3年先になる見込み。

見送られた修学年限3年

 「国家試験合格がなく国家資格を取得できたり、体系だった教育を受けずに受験対策だけで国試を受けることができるなど、介護福祉士の資格取得は甘かった」とし石橋会長は今回の資格取得一元化を評価した。

 しかし、社会的評価を上げるため、修学年限を1年延ばして3年制にしたいという思いは実現できなかった。一層高める介護と医療の連携には、カリキュラムの充実が欠かせず、修学年限の延長が課題になっていた。

 養成校サイドは推進派と慎重派に分かれた。介護福祉士になるには福祉科の高校卒業による資格取得の方法もあることで、文科省との調整が難しく、結局、養成校のカリキュラムの時間数をこれまでの1650時間から1800時間に拡大することで折り合いがついた。

名称独占から一歩前進

 「介護福祉士は、自分で判断できる力を身につけ、いろんな場面での応用力が求められている。たとえば老健では、介護福祉士が看護師のいない状況で夜勤に回ることも多い。医療の基礎知識を持ちながら、一人ひとりの介護ニーズにあったサービス提供をしていくためには、資格のあり方を見直す必要があった」

 介護保険は基礎資格をこれまでのヘルパー資格から介護福祉士へ格上げする方向で動き出した。事実上の資格として、500時間の介護職員基礎研修の位置づけが明確になっている。

 名称独占の介護福祉士は、改正介護保険で人員配置を加算要件にするなど存在価値が上がってきた。しかし、石橋氏は、社会的地位の確立のためには、ばらつきが大きい質の向上が欠かせないと考えている。

生涯研修制度で組織力アップ

 06年現在、毎年5~6万人が養成校卒業か国家試験合格で介護福祉士になっている。登録総数は54万人で、うち6割が介護職として働いている。これに対して、日本介護福祉士会の加入者は4万人台にすぎない。社団化の時も組織率の低さが問題視された。昨年には年会費3000円が未納の約2万人を正会員から削除。日常の活動が乏しい支部ほど削減対象が多かった。組織率の向上は大きなテーマになっている。

 「生涯研修制度の充実がきちんとできれば組織率は上がる。3年前から初任者研修と現任研修を実施してきた。体系的な研修システムを、国が示したキャリアアップの仕組みを取り込みながら練り直していく」。中間管理職研修や技能研修など、専門介護福祉士の養成をめざしていく。

 石橋氏は2016年まで10年間会長を務めた。現在、香川県介護福祉士会会長。石橋会長の思いをよそに、介護のプロをめざす介護福祉士資格取得の一元化は、介護人材不足の中で外国人介護職獲得をめざして、現在も腰が定まらずに経過措置を続けている。登録総数は20年に169万人に増えたが、協会の加入者数は4万人に止まっている。

(シルバー産業新聞2020年12月10日)

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