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品川区 通所介護、2区分上位の報酬算定で区が補助

品川区 通所介護、2区分上位の報酬算定で区が補助

 東京都品川区は、新型コロナウイルス感染症対策等に17億8848万円の補正予算を計上すると発表した。9月17日からの区議会第3回定例会に提案する。補正予算の中には、介護・障害福祉サービス従事者のPCR検査経費のほか、在宅高齢者支援として通所介護サービスなど利用者負担増分の補助も含まれている。この2つの支援策は自治体では先行事例となる。

「臨時的取扱い」での利用者負担補助に3100万円計上 

 歳出の内訳は、新型コロナウイルス感染症拡大防止・検査体制確保、区民生活、区内経済の安定に向けた支援、新しい生活様式による地域経済活性化、災害対策等、その他の4項目。介護職等への優先的なPCR検査の実施には、5550万円を計上し、介護職員と利用者の不安を軽減して、感染者の早期発見と拡大防止を図る。

 具体的には、PCR検査は、区内の介護事業所と障害者支援事業所で働く約3500人の職員が対象で、10月中旬頃から、全従事者に1回実施する予定。すでに東京都も介護職員等へのPCR検査を発表しており、区・都の実施状況をふまえ、冬場に備えて今後の対応を検討していくとしている。

 また、通所介護サービス等利用者負担の増加分の補助については、3173万5000円を計上。この補助は、コロナ禍においての通所系・短期入所サービス利用に関して、通常の報酬の2区分上位、または受入加算を延長した報酬を算定できるとした厚労省の臨時的取扱いに関するもので、これに伴って生じる利用者負担の増加分を区が全額補助するというもの。

 厚労省のこの通達は、6月1日に出された「新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて(第12報)」(2020年6月1日厚生労働省老健局総務課認知症施策推進室ほか連名事務連絡)のことで、通達には「介護支援専門員と連携の上、利用者からの事前の同意が得られた場合には、新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応を適切に評価する観点から」、算定することを可能とすると定めている。

 厚労省は、利用控えや感染症対策等で収益面を含めてダメージを受けた通所サービス事業者等の救済を意図したが、利用者は実際に利用していないサービス分を負担することになり、また、算定に同意しても、同意しない利用者との不公平さも指摘されてきた。また、ケアマネジャーに相談なく進める通所介護事業所もある。

 この点に関して区の高齢者福祉課では、7月初旬に区内の通所介護事業者等に聞き取りをした。約5割の事業者が上位区分での報酬算定を行うこととし、そのうち利用者の6、7割から同意を得ていた。9月の時点では約8割の事業所が算定している。しかし、初めから同意を取らないという事業所も社会福祉法人を中心に複数みられた。また、同意をしない2割程度の利用者の中には、限度額がオーバーするケースがあった。また、「制度的に問題がある」と厳しく指摘する利用者もいた。聞き取りの中では、ケアマネに相談することなく利用者宅に通知・同意書を送って了承を得るなど利用者等への説明が十分ではない状況が発生することも懸念した。

 区内の通所介護事業所では、数事業所で利用者、職員に感染者の発生が確認されている。都市部の通所は施設が狭いこともあり、密になりがち。特に認知症の方がマスクを外してしまうなどの課題もあり、感染対策上、難しい課題がある。宮尾高齢者福祉課長は、「国の臨時的取扱いの上乗せ分も活用しつつ、利用者負担分を区が負担することで、利用者負担の軽減を図る一方、運営に苦慮する通所介護事業所の基盤を守りたいと考えた」と話している。

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