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奈義ファミリークリニック 家庭医育成で県北の地域医療支える

奈義ファミリークリニック 家庭医育成で県北の地域医療支える

 岡山県北部では、人口減少と高齢化が同時に進む中、限られた医療資源をどう維持するかが課題となっている。奈義ファミリークリニック(清風會、奈義町)の松下明医師は、家庭医を育て、急性期病院と地域の病院、診療所、介護をつなぐ仕組みが、地域医療を維持する基盤になると語る。

 岡山県北部の急性期医療は、県北唯一の救命救急センターをもつ津山中央病院に大きく依存している。松下医師は、「心筋梗塞や脳出血、がん治療などの患者が同病院に集中している。急性期治療を終えた患者を地域の病院へ下り搬送したり、診療所や在宅へ円滑に移行することが、地域医療の維持に不可欠」と指摘する。

4年間で家庭医育成 急性期から在宅まで

 同クリニックでは、20年近く家庭医療の研修に取り組み、地域医療を支えてきた。研修医は津山中央病院、同法人の日本原病院、診療所を回り、急性期から在宅までを経験する。現在は4年間の研修を通じ、総合診療専門医に加えて新・家庭医療専門医を目指す仕組みを整えている。若手医師が複数の医療機関を循環すること自体が、地域の医療現場のマンパワー確保にもつながっている。

 松下医師は家庭医の専門性について、「内科、小児科、整形外科など、地域で頻度の高い領域を診る力が『おかず』。よくある病気をきちんと診療できれば、地域で起きる健康問題の9割以上に対応できる。そこに家族や多職種とのコミュニケーションという『ご飯』が欠かせない。老老介護や若い世代の孤立も進んでいる。家族と向き合う『家族志向のケア』が重要だ」と説明する。

多職種と連携。医療だけで抱え込まない

 介護事業者との連携も日常診療の一部。週1回、ケアマネジャーや訪問看護師、同クリニックの医師、看護師らが情報交換し、転倒や認知症、家族の状況など患者の小さな変化まで共有する。

 町の地域ケア会議や、隣接する勝央町を含む広域の事例検討の場にもつなげ、医療だけでは解決できない虐待や経済問題、家族支援などについて、介護・福祉・行政を含むチームで対応する体制をつくっている。

 これまでに同クリニックでは40人を超える医師が家庭医療の研修を受け、全国各地で地域医療の担い手となっている。

 「介護保険制度や多職種連携、在宅医療を研修段階から身につけておけば、人口減少地域でも必要な医療を組み立てやすくなる。地域で求められる基本となる力は同じ。土台をつくっておけば、地域に合わせて強みを加えていける」と松下医師は語る。
(シルバー産業新聞2026年9月10日号)

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