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福祉用具貸与 上限価格見直し、3年に一度に

福祉用具貸与 上限価格見直し、3年に一度に

 厚生労働省は、福祉用具貸与の上限価格見直しの頻度について、当初の「おおむね1年に一度」から、他サービスと同様に「3年に一度」に見直すことを決めた。6月1日にオンラインで開催された社会保障審議会介護給付費分科会(分科会長=田中滋・埼玉県立大学理事長)で同省が提案し、了承された。最初の見直しを実施するのは21年度。今後、制度変更の通知発出などの準備を進める。

 2018年に導入した上限価格制は当初、おおむね1年に一度見直しをすることになっていた。ただ、施行後に同省が行った調査によると、初回に2.0%だった財政削減効果は2回目0.7%、3回目0.3%と見直しを行うたびに減少することが明らかになった。一方で、上限価格の影響を受けて、74%の福祉用具貸与事業者の収益が減少。さらにカタログの価格修正や再印刷の発生、事業所内システムの改修作業の発生など、事務負担・経費負担も増加していた。こうした影響を受け、昨年度は予定されていた上限価格の見直しを取りやめ、新製品のみ上限価格を設定。今年度以降の見直し頻度をどうするかに注目が集まっていた。

 6月1日の介護給付費分科会で、厚労省は「貸与価格の上限を超える貸与の貸与額減少分の効果が大きいことから適正化が図られている」「上限設定当初の18年10月と19年9月の貸与分を比較すると、全体の99.1%で貸与価格に変化がみられなかった。全体的にみると不適切に価格を値上げした状況はみられず、各貸与事業所で継続的に適切な対応がなされている」と報告。一方、経営面では、▽9割の貸与事業所がレンタル卸を利用しているが、価格交渉力の弱い小規模事業所が多いため値下げ交渉を実施した事業所は3割超に留まる▽収益に占める商品カタログやシステム改修などの費用の割合が増加している▽9割の事業所がアセスメントやモニタリング、メンテナンス頻度を変更しておらず、厳しい経営状況の中でもサービスの質の維持向上に努めている――と説明した。

最初の価格見直しは21年度、今年度は新製品のみ上限設定

 こうした背景を踏まえ、同省は「全国平均貸与価格の公表・貸与価格の上限設定について、一定の適正化効果がみられることから継続しつつも、毎年度見直しても十分な適正化効果が得られない一方、事業所負担が大きいことから、他サービスと同様、『3年に一度』の見直しとしてはどうか」と提案し、了承された。貸与事業所等のシステム改修等の準備期間を考慮して21年度に最初の見直しを行うこととし、今年度は昨年度同様、新商品に係る全国平均貸与価格の公表・貸与価格の上限設定のみを実施する。また福祉用具貸与事業所に対して、共同購入などの効率的な事業運営を行う先進事例を収集し、経営努力を促していく。

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