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頼られる存在だからこそ 日々のアセスメント力

頼られる存在だからこそ 日々のアセスメント力

 仙台市が3.11の前年、2010年11月に市民一般と要介護認定者・家族各5千人に、大災害が起きた際には「誰に安否確認してもらいたいですか(複数回答)」という質問をした。それぞれ3千数百人が回答して、1位は断トツで「家族や親戚」(ともに8割台)だったが2位は割れた。一般は「ご近所の人」(47%)が2位だったのに対して、要介護認定者・家族の2位は「ケアマネ、地域包括、ヘルパー」(51%)で3位の「ご近所」(25%)を大きく引き離した。介護サービス利用者を支えるケアマネジャーや介護・医療職の役割の大きさが表れた(表1)。

 宮城県ケアマネジャー協会は、3.11の体験を会員にアンケートした。「要介護高齢者を支える上で必要だったもの」(表2)では、「水」87%、「食料」87%がトップ。次の群は、「燃料」71%、「介護用品」67%、「連絡手段」66%、「薬」57%だった。生存に欠かせない飲食と、移動や暖房、灯りのための「燃料」。手放せない「薬」と「介護用品」、携帯電話などの「通信手段」が上位を占めた。ガソリンがなく、貴重な移動手段になった「自転車」も18%の回答があった。BCP(事業継続計画)が求められる中で、日頃の備蓄品を考える上で参考になる。
 「ライフライン停止による不具合への対応」(表3)では、表2での「介護用品」と関わる、「エアマット」38%、「電動ベッド」36%、「在宅酸素」11%、それに「透析」7%が上がった。停電時の対応が必要な必需品だ。常に福祉用具専門相談員や医療機器事業者らとの連携が欠かせない。
 同協会事務局長の小湊純一さんは、アンケート集に、「この東日本大震災、要介護高齢者一人ひとりに担当のケアマネジャーがいて、非常な混乱の中で居宅や避難所で様々な支援をしていたことが確認できた」として、その役割に①担当利用者の安否確認、アセスメントにもとづく支援と保護②被災状況の実態把握③行政や関係機関との組織化、そして④被災ケアマネジャーや地域包括の支援があったと述べている。

 2006年、第18回社会福祉士国家試験に合格した小湊さん。東北福祉大を卒業して、施設などで16年間働いた後、権利擁護やまちづくり、虐待対応にも関わってきた。「認知症当事者ネットワークみやぎ」では、5人の認知症当事者が地域の認知症の人とピアカウンセリングに当たっている。

 「ケアマネジャーは、そうするように決められていたというよりも、学んできた。あれだけの大きな災害になると、マニュアルに従うというよりも状況を知って自分で判断するよりほかなかった。普段から何やっているかということ。備えは普段力、と思っている」 高い建物に避難しようとしているときに、警察官が来て避難所でないと言われて、離れた中学校に避難したために、避難が遅れて被害が広がったという例を出して、小湊さんは、自分で考えて動くことの大切さを物語る典型だ、と言った。警察の指示に問題があるが、個々の高齢者の状況を知る者が、どこにどう逃げるかを判断しなければならない。日頃からの、「本人の体の状況と環境に対する評価と可能性を踏まえたアセスメント力」がケアマネジャーに欠かせないという。

 認知症ケアについても、「本人と話し合ってください。認知症だから分からないと勝手に言わないで。本当はまだまだ話せる能力があるのに、私たちの関わりが不十分なために分からないままでいる」と言及した。

(シルバー産業新聞2021年5月10日号)

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