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初の自社施設 サ高住で被災
仙台市に拠点を置く介護事業所ウェルシスパートナーズ(佐藤英樹社長)は、宮城県内にサービス付き高齢者向け住宅を8カ所展開する。高齢者専用賃貸住宅などを集約したサ高住がスタートした2011年、医療・介護事業の立ち上げ支援のコンサルタント事業を行ってきた同社が、初の自社事業として栗原市にサ高住を建設した。東日本大震災のあった3月11日は、その建物の竣工検査の当日だった。
2カ月後にオープンを控えた11年3月11日午後2時46分、栗原市に建設された同社初のサ高住では、朝の打ち合わせを終えて、午後から始まった竣工検査の真っ最中だった。
社員、建設会社、福祉用具事業者など関係者が図面を見ながら点検を進めていた時に激震に見舞われた。08年に起きた岩手・宮城内陸地震の経験から、入居者の安心安全を願って、建物を耐震構造にしたのが幸いし、揺れが分散され大きな被害にならなかった。
竣工検査は後日に回し、解散。夕方には戻れるはずが、仙台市内の本社に帰社したのは夜中の12時になっていた。停電で信号も消えた街で、自家発電していた近くのビルだけが光っていたのが印象的だった。翌朝までに職員・家族全員の無事が確認できた。
佐藤社長は、全国から応援のメッセージや支援物資が送られてきたことへ感謝している(写真は仙台空港で鯉のぼりに貼られた応援カード)。
当初予定では、5月末にサ高住を開設するはずだったが、行政の要請があり、住まいをなくした人たちのために、震災の1カ月後、4月11日に準備が整わない中でオープンした。入居者は当初3人だったが、人員が揃わず、佐藤社長らが毎日、仙台と栗原を往復して対応。
「突然、家や家族をなくした人たちの喪失感や孤独感をひしひしと感じた。生活の起点となる住まいと、必要な介護や生活支援を提供することの役割を実感してきた」と、佐藤社長は振り返った。
社員、建設会社、福祉用具事業者など関係者が図面を見ながら点検を進めていた時に激震に見舞われた。08年に起きた岩手・宮城内陸地震の経験から、入居者の安心安全を願って、建物を耐震構造にしたのが幸いし、揺れが分散され大きな被害にならなかった。
竣工検査は後日に回し、解散。夕方には戻れるはずが、仙台市内の本社に帰社したのは夜中の12時になっていた。停電で信号も消えた街で、自家発電していた近くのビルだけが光っていたのが印象的だった。翌朝までに職員・家族全員の無事が確認できた。
佐藤社長は、全国から応援のメッセージや支援物資が送られてきたことへ感謝している(写真は仙台空港で鯉のぼりに貼られた応援カード)。
当初予定では、5月末にサ高住を開設するはずだったが、行政の要請があり、住まいをなくした人たちのために、震災の1カ月後、4月11日に準備が整わない中でオープンした。入居者は当初3人だったが、人員が揃わず、佐藤社長らが毎日、仙台と栗原を往復して対応。
「突然、家や家族をなくした人たちの喪失感や孤独感をひしひしと感じた。生活の起点となる住まいと、必要な介護や生活支援を提供することの役割を実感してきた」と、佐藤社長は振り返った。
コロナ禍で他産業から求職増介護につながる気配り
震災から10年が経ち、同社のサ高住は8拠点になった。介護人材の確保が喫緊のテーマになっている。
「介護事業の生命線は、人材の確保。コロナ不況の中で、景気に左右されない業種を選ぼうとする志向が高まっている。コロナ禍の影響を受けるホテルサービスや飲食業などから介護事業への求職者が増えてきた」と、佐藤社長は他業種からの求職者が増える現状を説明した。
「ホテルマンは、客に対する細かい気配りなどホスピタリティの教育を受けてきているので、介護分野に近いところにいる。ホテルやレストランは、配膳人紹介所という人材のマッチングを行う会社があり、コロナ以前から自分たちの介護事業とコラボできないかと模索してきた」と言う。
現在、同社の従業員約80人のうち7人が、元ホテルマンや理美容などで働いてきた人たち。コロナになって職を失った人が多い。特定技能などの外国人介護人材も対象に上がるが、賃金格差のある地方では安定的な確保が難しい面もあるようだ。
「資格の問題もあり、他業種から移ってきた人材は、介護分野での即戦力としては難しいもある。人材不足の一部を補うものとして、資格を取りながら進めている。訪問理美容は介護業務を一体的に展開できている」と、長年に渡って医療介護事業のコンサルティングを行ってきた、同社らしい人材確保策を展開している。
(シルバー産業新聞2021年6月10日号)
「介護事業の生命線は、人材の確保。コロナ不況の中で、景気に左右されない業種を選ぼうとする志向が高まっている。コロナ禍の影響を受けるホテルサービスや飲食業などから介護事業への求職者が増えてきた」と、佐藤社長は他業種からの求職者が増える現状を説明した。
「ホテルマンは、客に対する細かい気配りなどホスピタリティの教育を受けてきているので、介護分野に近いところにいる。ホテルやレストランは、配膳人紹介所という人材のマッチングを行う会社があり、コロナ以前から自分たちの介護事業とコラボできないかと模索してきた」と言う。
現在、同社の従業員約80人のうち7人が、元ホテルマンや理美容などで働いてきた人たち。コロナになって職を失った人が多い。特定技能などの外国人介護人材も対象に上がるが、賃金格差のある地方では安定的な確保が難しい面もあるようだ。
「資格の問題もあり、他業種から移ってきた人材は、介護分野での即戦力としては難しいもある。人材不足の一部を補うものとして、資格を取りながら進めている。訪問理美容は介護業務を一体的に展開できている」と、長年に渡って医療介護事業のコンサルティングを行ってきた、同社らしい人材確保策を展開している。
(シルバー産業新聞2021年6月10日号)