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福祉用具 複数貸与減額制に特定のセット認めず

福祉用具 複数貸与減額制に特定のセット認めず

 15年改正で福祉用具サービスは、①対象品目の追加②ケアマネジャーへの個別計画書の提出③利用者負担の適切な受取④従事者の自己研鑽⑤複数の福祉用具貸与減額――が盛り込まれた。

(1)対象品目の追加

 15年改正で新たに給付対象になった福祉用具は、「介助用電動車いす」(貸与対象)と「水洗ポータブルトイレ」(販売対象、工事費は自費)。住宅改修では、便器の位置・向きの変更。

 複合機能のある用具の取扱が変更され、機能のすべてが介護保険の給付対象である必要があったのを、今回は認知症高齢者徘徊感知機器(貸与対象)の「外部への通信機能」部分を自己負担することを前提に給付対象とした。水洗PTや徘徊感知機器の通信機能は、国が推進する介護ロボットの一角を占めている。

(2)ケアマネジャーへの個別サービス計画書の提出

 ケアマネジャーに福祉用具事業者と連携を図るため、他のサービス同様に、福祉用具サービス計画書の提出を事業者に求めることを課せた。


(3)利用者負担の受取

 1割負担の受取は事業者の義務。受領した利用者負担を、金品の提供によって事実上軽減するのは、この規定に抵触するとした。利用者の加盟する組織が利用料を補てんする場合なども該当する。

(4)従事者の自己研鑽

 福祉用具レンタル事業所には、適切な研修の機会の確保と、福祉用具専門相談員の知識や技能の向上が規定されている。15年改正では、継続的な福祉用具の研修の実施に加え、福祉用具専門相談員にスキルアップに努める不断の自己研鑽を求めた。

(5)複数の福祉用具貸与減額

 同一の利用者に同月中に複数の福祉用具を貸与した場合にレンタル料金を減額する仕組みができた。複数貸与による事業者のコスト軽減が導入の根拠とされる。都道府県への届出が条件で、実施するかどうかは事業所が判断する。

 実施する事業者は減額対象の機種を決めて、単品利用料と減額利用料とを設定。2品、3品などと数量に応じて減額利用料を設定することもできる。事業所の運営規定やカタログに記載し、都道府県に届け出る。

 減額利用料の設定は、全体ではできず、個別に設定する。極端な値引きは許されない。減額の効果は既存の契約にも遡及する。

 月途中でレンタル価格の変更になった場合、その月のレンタル価格をどうするかは、これまでのように、事業者が決めて運営規定に記載する。

 運用で注意を要するのは、特定の用具をセットして割引く、いわゆるセット割は認められない点。「予めセット品を設定すると、不必要なものまで借りてしまうおそれがある」(厚労省)ためで、介護給付費分科会での指摘もあった。利用者の選択を重視した。

 しかし、返品や追加によって「複数割れ」や「複数成り」となった場合、レンタル料の変更に伴う変更契約が必要になる。変更契約では、契約書の記載内容を変更し、利用者に説明し理解を得えなければならないとされている。利用料の変更は区分支給限度額管理にも関わるため、その都度、ケアマネジャーへの連絡が必要。介護給付費分科会において日本介護支援専門相談員協会から制度導入に伴う事務負担の増大の懸念が示されている。

 なお、まとめての利用や返却しかできないといった契約は、レンタルの原則の趣旨に反し認められない。

 今後変更される可能性があり、3月末までに確定した通知が出る予定。

(シルバー産業新聞2015年3月10日号)

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