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老人福祉 ・ 介護事業倒産 18年106件
東京商工リサーチは1月11日、2018年の「老人福祉・介護事業」倒産状況を発表した。「老人福祉・介護事業」の倒産は106件で、前年(111件)に比べて4.5%減。7年ぶりに前年を下回った。しかし3年連続で倒産件数は100件を超え、18年は過去3番目の多さ。高止まりの状況は続いている。
負債総額は81億9400万円(前年比45.4%減、前年150億1100万円)と前年より大きく減少した。前年5件だった負債10億円以上の大型倒産がなかったのが大きな要因。サービスの内訳をみると、「訪問介護事業」が最多の45件(同45件)だった。施設系のデイサービスセンターを含む「通所・短期入所介護事業」が41件(前年比6.8%減、前年44件)、「有料老人ホーム」が14件(前年比133.3%増、前年6件)と続いた。同社では、倒産件数が2.3倍に増加した「有料老人ホーム」は、同業他社との競争激化で入所者確保に苦慮する事業者の破綻が目立ち、経営基盤の脆弱な事業者を中心に「ふるい分け」が進んでいることが窺える、としている。
また13年以降に設立した事業者の倒産が34件(構成比32.0%)と3割を占め、設立から5年以内の新規事業者が目立つ。従業員数別でも、5人未満が66件(前年比2.9%減、前年68件)で、全体の約6割(構成比62.2%)を占めた。このように、小規模かつ参入間もなく資金調達力や経営体制が未整備の新規事業者が淘汰されている。
原因別では、最多が販売不振(業績不振)の63件(前年比23.5%増、前年51件)。次いで、事業上の失敗が19件、既往のシワ寄せが8件だった。
形態別では、事業所の解体・消滅である破産が件(前年2.9%減、前年102件)と全体の9割(構成比93.9%)を占めた。この一方で、再建型の民事再生法は3件(前年4件)にとどまり、業績不振の事業者では再建が難しいことが浮き彫りに。
政府は、今年10月に実施予定の消費税率引き上げに伴う施設・事業所の出費を補填するため、今年10月に介護報酬を改定し、全体を0.39%引き上げることを決定した。さらに、人手不足に対応するため出入国管理法を改正し、外国人の在留資格として新たに介護を対象にした。
先行きには経営環境の改善が図られる期待も出てきたが、介護業界の人手不足は、国内景気が悪い時の採用は順調だが、好況になると人材が他業種へ流出するなど、景気と逆行する傾向が強い。
同社では、介護職員不足の中で、離職を防ぐための人件費上昇は避けられず、これが経営の足かせになる状況に変わりはない。2018年の「老人福祉・介護事業」倒産は7年ぶりに前年を下回ったが、高水準での推移に変わりはなく、引き続き目が離せない状況にある、と見ている。
調査対象の「老人福祉・介護事業」は、有料老人ホーム、通所・短期入所介護事業、訪問介護事業などを含む。
(シルバー産業新聞2019年2月10日号)
また13年以降に設立した事業者の倒産が34件(構成比32.0%)と3割を占め、設立から5年以内の新規事業者が目立つ。従業員数別でも、5人未満が66件(前年比2.9%減、前年68件)で、全体の約6割(構成比62.2%)を占めた。このように、小規模かつ参入間もなく資金調達力や経営体制が未整備の新規事業者が淘汰されている。
原因別では、最多が販売不振(業績不振)の63件(前年比23.5%増、前年51件)。次いで、事業上の失敗が19件、既往のシワ寄せが8件だった。
形態別では、事業所の解体・消滅である破産が件(前年2.9%減、前年102件)と全体の9割(構成比93.9%)を占めた。この一方で、再建型の民事再生法は3件(前年4件)にとどまり、業績不振の事業者では再建が難しいことが浮き彫りに。
政府は、今年10月に実施予定の消費税率引き上げに伴う施設・事業所の出費を補填するため、今年10月に介護報酬を改定し、全体を0.39%引き上げることを決定した。さらに、人手不足に対応するため出入国管理法を改正し、外国人の在留資格として新たに介護を対象にした。
先行きには経営環境の改善が図られる期待も出てきたが、介護業界の人手不足は、国内景気が悪い時の採用は順調だが、好況になると人材が他業種へ流出するなど、景気と逆行する傾向が強い。
同社では、介護職員不足の中で、離職を防ぐための人件費上昇は避けられず、これが経営の足かせになる状況に変わりはない。2018年の「老人福祉・介護事業」倒産は7年ぶりに前年を下回ったが、高水準での推移に変わりはなく、引き続き目が離せない状況にある、と見ている。
調査対象の「老人福祉・介護事業」は、有料老人ホーム、通所・短期入所介護事業、訪問介護事業などを含む。
(シルバー産業新聞2019年2月10日号)