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介護食ランキング(濃厚流動食)

介護食ランキング(濃厚流動食)

 介護食売れ筋ランキングの最終回は、少量で高栄養を摂取できる濃厚流動食を紹介する。低栄養になりがちな要介護高齢者の強い味方となる濃厚流動食は、エネルギーやたんぱく質をベースとしつつ、床ずれ予防に効果的な微量元素への配慮なども各社でみられる。毎日の摂取を想定し、味の種類も豊富に取り揃う。売れ筋データはウェルファン、ケアマックスコーポレーション、豊通オールライフの3社より提供。

少量高栄養の飲みきりタイプ エネルギー+αで差別化

 口腔機能の低下や食欲減退、認知症などは、食事量が減少し低栄養を招く大きな要因。いったん低栄養になると、運動をしても十分な筋力がつかず口腔機能・認知機能等がさらに低下し、低栄養が加速するといった負のスパイラルに陥る。

 栄養摂取の方法は大きく「経口」「経腸(経管)」「静脈」の3つだが、濃厚流動食は、通常の食事だけでは不足する栄養を補う少量高栄養の経口飲料。これまで本シリーズで紹介したやわらか食やとろみ調整剤は、できる限り普段の食事に近い形で食べることを助ける介護食品だが、それでも十分な食事量がどうしても確保できない場合に、濃厚流動食は大いに役立つ。

 商品は紙パック等で常温保存可、1個125mlの飲み切りでエネルギー量はご飯一杯分にあたる200kcalがスタンダード。フルーツやコーヒー味が多く、食後のデザートやおやつ・間食として提供しやすい。

 卸3社のランキングを見ると、これまでのジャンルと異なりメーカーは絞り込まれる。なかでも明治は、ウェルファン、豊通オールライフの両社でシェア5割以上。根強い人気の「メイバランス」シリーズが安定した売り上げを支える。

栄養・味のニーズを広く取り込む

 「メイバランスMiniカップ」はエネルギーのほか、たんぱく質(7.5g)、脂質、糖質の3大栄養素もバランスよく配合。レタス3/4個に相当する食物繊維も2.5g含まれる。また、ベッドなどで同じ姿勢が続き、床ずれリスクのある人向けには、たんぱく質1.3倍、鉄・亜鉛・銅といった微量元素を1.2~1.3倍にした栄養強化タイプ(ArgMiniカップ)もある。

 ドラッグストアなど店頭での取扱いが多いのも強み。病院から在宅生活への移行に際し、病院側は在宅栄養ケアの一つとして同商品の利用を薦めやすい。味は毎日飲んでも飽きない12種類。やさしい甘味のミルクテイストや、さわやかな酸味のヨーグルトテイストなど、飲みやすさにも細やかな配慮がなされている。

 また、ウェルファン、豊通オールライフでランクインしている「エンジョイクリミール」(クリニコ)は、エネルギー(200kcal)やたんぱく質(7.5g)、食物繊維(2.5g)がメイバランスと同量。味の種類はバナナ、コーンスープ、ヨーグルトなど8種類をそろえる。

 特長はこれら栄養素に加え、健康をサポートする「シールド乳酸菌」を100億個配合している点。シールド乳酸菌は、腸の内壁にいる免疫細胞に刺激を与え活性化させる機能を有し、これにより免疫力アップを助ける。特にインフルエンザに対する予防効果の高さは、数多く示されている。

 「飲む栄養+(プラス)」(アサヒグループ食品)はたんぱく質が8.2gとやや高め。微量元素、なかでも亜鉛と銅、食物繊維が強化されている。同商品は今年3月に「バランス献立PLUS栄養プラス」にモデルチェンジ。すっきりと飲みやすく、高齢者に必要とされる栄養素のビタミンやカルシウム、食物繊維を配合した。農林水産省が制定した「スマイルケア食」の青マーク(咀嚼や飲み込みに問題がなく、健康維持上の栄養補給が必要な方向け)に適合する。

(シルバー産業新聞2018年9月10日号)

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