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ふくせん 福祉用具サービス計画書の新様式案発表

ふくせん 福祉用具サービス計画書の新様式案発表

 福祉用具貸与事業者に2018年4月より機能・価格帯が異なる複数商品の提示が、同年10月からは上限価格導入とともに貸与品の全国平均貸与価格を利用者へ説明することが義務付けられる(表)。この実施に伴い、全国福祉用具専門相談員協会(略称=ふくせん、岩元文雄理事長)は9月28日、新たな福祉用具サービス計画書の様式案を発表した。新様式は同協会が、厚生労働省から受託した「福祉用具の適切な貸与に関する普及啓発事業」で作成されている。

選定プロセス明確化の書式

 新たな様式案では、これまでの「基本情報」と「利用計画」に、「選定提案(暫定版)」が追加された(図)。選定提案は利用者からの相談内容を踏まえ、利用計画の検討前の過程で、候補となる福祉用具を提案・説明し、経過の記録を目的に作成するもの。そのため、計画書の作成プロセスは基本情報、選定提案、利用計画の順となる。

 貸与候補として事業者が提案する全ての福祉用具について、自事業所の貸与価格と全国平均貸与価格、提案理由などの記載欄を設けた。2018年4月からの複数商品提示、同年10月からの上限価格制、全国平均貸与価格の説明の義務付けに対応した。製品別の全国平均貸与価格は上限価格とともに来年春~夏ごろに国が公表することになっている。

 新様式の記載例では、2つの車いすを提案する場合、1つは「両手と右足こぎで車いすを操作しやすいように、車輪が大きく、足乗せの取り外しができる機種を提案」、もう一方は「両手と右足こぎで車いすを操作しやすいように、車輪が大きい標準型の機種を提案(足置き取り外し不可)」と、機能の違いが分かるよう、それぞれの選定理由を書き分けている。

 実物やカタログ、ウェブなど説明方法や利用の採否も書き込む。また利用者の相談内容や困りごとを整理して記入し、提案品との対応関係がわかるようにしている。

 「利用計画」の様式も一部変更した。全国平均貸与価格などの説明を受けたこと、機能や価格の異なる複数提案を受けたことを確認するチェックボックスが追加されている。同協会の岩元理事長は新様式案について、「我々に与えられた課題に対する当協会の回答」と説明している。国際医療福祉大学大学院教授で、同協会理事の東畠弘子氏も、「利用者のために、新様式を活用してサービスの『見える化』を進めてほしい」と呼びかける。今回示された様式は暫定のもので、今年度末までに最終版が示される見込みという。

「価格を含めた見える化に取り組まなければならない」

 同協会は9月28日、国際福祉機器展の会場で新様式案を発表するとともに「介護保険制度改正に伴う福祉用具貸与サービスの対応」をテーマに掲げたワークショップを開催。同協会の役員のほか、保険者やケアマネジャーがスピーカーとして登壇した。

 岩元理事長は、「新様式を検討する過程では、業務負担の増大を懸念する声ももちろんあった。ただ介護保険部会の意見書などで、指摘されている内容を踏まえると、しっかりと取り組まなければならない。しっかりサービスを提供していることを示す絶好の機会ととらえるべき」と参加者を鼓舞した。

 東畠氏は、「福祉用具貸与事業者から、未だにサービス計画書は何のためにあるのかという意見をいただくこともある。しかし、限られた介護保険財源の中で、何が有用で効率的・効果的であるのか、今後も他のサービスと同様に問われ続けることは間違いない。福祉用具事業者、福祉用具専門相談員自身が価格を含めたサービスの見える化を推進していかなければ、今後より厳しい状況を招きかねないと懸念している」と主張した。

 東京都世田谷区介護保険課の梶友希乃氏は保険者の立場から、「利用者と事業者が契約を結ぶ場、機種選定をする場に保険者はいない。どのような経緯で、このサービスが提供されているかを証明するのは記録以外にない。記録や経緯を書面に残すことは、事業者自身を守るためにも重要。様式変更や改定など、色々な対応を求められるが、ぜひ協力いただきたい」と呼びかけた。

 日本介護支援専門員協会の濵田和則副会長は、円滑な入退院支援がケアマネジャーの課題に挙げられているとし、「サービス計画作成のプロセスが増えることで、スムーズな利用者支援を阻害してはならない。そのためには、更なる密な連携が互いに求められるはず。ケアマネジャーもぜひ協力していきたい」とエールを送った。

 厚生労働省が9月28日に各都道府県に宛てた事務連絡では、新様式案を添付したうえで、今後ふくせんが全国で随時開催する研修会・説明会について関係者へ周知するよう求めている。

(シルバー産業新聞2017年10月10日号)

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