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老健入所で薬剤利用減 減薬などによる影響も

老健入所で薬剤利用減 減薬などによる影響も

 老健利用者は入所後服用する薬剤数が減少していることが、全国老人保健施設協会(全老健、東憲太郎会長)の調べで分かった。

 薬剤数は、入所時で平均5.89剤服用しているのが、1カ月後には平均5.05剤に減少していた後、2カ月後には服用数を戻す状況がみられた。特に、抗パーキンソン薬や血圧降下剤などで顕著に減少した。

 全老健加盟の老健施設の管理医師(3,598人、回答770票)に、15年8月~10月に入所した5人程度の薬剤使用をアンケートした。

 調査によると、老健入所時の服薬数は平均5.89剤で、1カ月後は平均5.05剤に減少した後、2カ月後には5.35剤に戻した。カテゴリー別の薬剤使用件数では、消化器用薬入所者の76.1%服用→1カ月後71.7%→2カ月後76.4%)、循環器官用薬(同69.5%→63.3%→67.0%)、中枢神経系用薬(同60.7%→53.1%→56.5%)と、なかでも中枢神経系用薬の減薬がめだつ。

 老健入所後の減薬・増薬による有害事象(入所後2カ月まで)は、6%程度発生していた。転倒、せん妄、肺炎、脳梗塞、脳出血、低血糖などの発生で、心房細動の疾患がある服用者は他の疾患の服用者と比べて増薬して有害事象が「あった」割合は21.7%と最も高かった。同じく、アルツハイマー型認知症で減薬によるものは14.8%、糖尿病で減薬によるものは12.0%で、有害事象がみられた。

 ジェネリック薬の利用状況は、入所時は46.6%だったが、1カ月後には52.8%に、2カ月後には57.8%と増加した。一方、服用者1人当たりの薬価(服用薬剤の単価の合計)は、入所時326.9円が1カ月後に207.4円、2カ月後に220.1円となっている。

 入所時に薬の見直しを行う老健の割合は、「ほぼ必ず見直す」42.2%、「場合によって見直す」40.0%、「行わない」1.7%、無回答16.2%。

 なお、入所前に定期的な在宅医療・通院の利用を行っていた入所者は、在宅医療12.5%、通院76.1%だった。

(シルバー産業新聞2016年7月10日号)

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