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介護保険部会 地域包括のケアマネジメント見直し論点に

介護保険部会 地域包括のケアマネジメント見直し論点に

 5月25日開催の第58回社会保障審議会介護保険部会において、地域包括支援センターのケアマネジメント業務が俎上に上った。地域包括支援センターの本来業務である総合相談支援や地域のネットワーク構築、ケアマネジャーへの支援が、業務の多忙や力量不足から不十分との指摘があり、介護予防支援のあり方が課題とされたほか、介護予防ケアマネジメントや要介護者のケアマネジメントとの関係や、保険者によるケアプランチェックのあり方についても論点に上げられた。

 要支援者のケアマネジメントである介護予防支援は、地域包括支援センターの業務とされ、居宅介護支援事業所に委託することができるが、委託先がないことや地域の利用者情報を把握できることなどから委託が進まず、包括センターの業務負担の要因にもなっている。また15年から始まった要支援者と基本チェックリストによる事業対象者が対象となる介護予防・日常生活支援総合事業における介護予防ケアマネジメントについても包括センターの業務とされた。早期から長期のケアマネジメントを担う視点から、要介護者に対するケアマネジメントへの包括支援センターの関与のあり方も論点にあがった。東憲太郎全国老人保健施設協会会長は、「包括センターの8割は業務量が過大と認識しているが、介護予防支援に関わる業務、特に給付管理の業務負担が影響しているのではないか。近隣の包括センターでは全業務の4割が給付管理業務で占められていると回答した。介護予防支援はすべて居宅介護支援事業所へ委託すべきだ。包括センターとしてはケアマネジャーを支援する形にしてはどうか」。

 鷲見よしみ日本介護支援専門員協会会長は、「介護予防支援はケアマネジャーでなくともでき、上限件数のしばりもない。包括センターにおいては、介護予防支援については、包括センター業務とは明確に分けるべきで、原則としては3職種は介護予防支援に従事しないで、介護支援専門員の適切な配置が必要と考える。これにより介護予防ケアマネジメントの充実強化につながると考えている」と述べた。

 さらに、鷲見氏は、保険者によるケアプランチェックや介護予防ケアマネジメントC型(モニタリング不要)に懸念を示した。

 地域包括支援センターは全国に4,685カ所設置され、ブランチ2,193カ所、サブセンター390カ所を合わせると、7,268カ所になる。直営と委託の割合は、15年度で直営26%、委託74%。年々委託の割合が増加。委託先は社会福祉法人55%、社会福祉協議会19%、医療法人17%、その他10%。1センター当たりの平均職員数は、保健師(準ずる者含む)1.8人、社会福祉士(同)1.9人、介護支援専門員2.3人。

 15年改正では、地域支援事業として全国一律の予防給付(訪問介護・通所介護)を介護予防・日常生活支援総合業へ移行させるとともに、包括的支援事業の中に在宅医療・介護連携、認知症施策、地域ケア会議、生活支援サービスが取り込まれた。同時に、基幹型地域包括支援センターや機能強化型センターの設置など、地域支援事業を担っていく地域包括支援センターの充実が示された。


(シルバー産業新聞2016年6月10日号)

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