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診療報酬改定~在宅編~ 退院・在宅移行充実
厚生労働省は3月4日、2016年度診療報酬改定に係る告示を公布した。4月1日からの適用となる。全体の改定率は▲0.84%で本体報酬は+0.49%、薬価▲1.22%。改定の基本方針に「地域包括ケアシステムの推進」を位置づけ、医療機能の分化・強化や必要に応じた介護サービスとの連携、複数の慢性疾患患者に対するかかりつけ機能、質の高い在宅医療・訪問看護の確保などを重点課題とした。
厚生労働省は3月4日、2016年度診療報酬改定に係る告示を公布した。4月1日からの適用となる。全体の改定率は▲0.84%で本体報酬は+0.49%、薬価▲1.22%。改定の基本方針に「地域包括ケアシステムの推進」を位置づけ、医療機能の分化・強化や必要に応じた介護サービスとの連携、複数の慢性疾患患者に対するかかりつけ機能、質の高い在宅医療・訪問看護の確保などを重点課題とした。介護との連携を中心に改定のポイントをみる。
認知症のかかりつけ医機能を強化
地域の在宅療養を継続的に行う主治医機能の一つとして、複数疾患を有する認知症患者へ療養上必要な指導・診察を行った場合、「認知症地域包括診療料」(1515点、月1回まで)を新たに算定できる。
要件は①認知症の他に1以上の疾患を有する、入院患者以外を対象②1処方につき「5種類を超える内服薬」かつ「抗うつ薬、抗精神病薬、抗不安薬、睡眠薬のうち4種類以上を含む」のいずれの投薬も受けていない③地域包括診療料を算定――。対象が入院患者の場合は「認知症地域包括診療加算」(30点)を算定できる。
「地域包括診療料」(1503点、月1回まで)は、主治医機能をもった中小病院・診療所の医師が療養上の指導に加え、服薬管理や介護保険に係る対応、在宅医療の提供や24時間対応などを担う。地域包括ケア、主治医機能強化の目玉として14年度改定で新設されたが、15年7月時点で算定数は93施設にとどまる。今回の改定では普及を促すため、常勤医師の配置を3人から2人へ変更するなどの要件緩和を行った。
要件は①認知症の他に1以上の疾患を有する、入院患者以外を対象②1処方につき「5種類を超える内服薬」かつ「抗うつ薬、抗精神病薬、抗不安薬、睡眠薬のうち4種類以上を含む」のいずれの投薬も受けていない③地域包括診療料を算定――。対象が入院患者の場合は「認知症地域包括診療加算」(30点)を算定できる。
「地域包括診療料」(1503点、月1回まで)は、主治医機能をもった中小病院・診療所の医師が療養上の指導に加え、服薬管理や介護保険に係る対応、在宅医療の提供や24時間対応などを担う。地域包括ケア、主治医機能強化の目玉として14年度改定で新設されたが、15年7月時点で算定数は93施設にとどまる。今回の改定では普及を促すため、常勤医師の配置を3人から2人へ変更するなどの要件緩和を行った。
介護と情報共有した退院支援
早期退院、在宅生活移行を促進する観点から、入院時からの積極的な退院支援に対し「退院支援加算」(一般病棟600点、療養病棟1,200点、いずれも退院時に1回)を新設。退院支援、地域連携業務の専従職員(退院支援職員)を各病棟に配置し、入院後3日以内に退院困難な要因を有する患者の把握などを行う。
また、入院中に患者・家族と病状や退院後生活を含めた話合いをし、病棟看護師、退院支援職員、退院支援部門の看護師・社会福祉士等による共同カンファレンスの実施、さらには退院支援職員が他医療機関や介護サービス事業所等の職員と面会し、転院・退院体制に関する情報共有を行うことなどを位置づけた。
情報共有に関しては具体的に、連携できる医療機関や介護サービス事業者の数が20以上で、かつ各連携先と年3回以上の面会を求めている。また、ケアマネジャーとの連携を評価する「介護支援連携指導料」の算定回数要件も定めた。
また、入院中に患者・家族と病状や退院後生活を含めた話合いをし、病棟看護師、退院支援職員、退院支援部門の看護師・社会福祉士等による共同カンファレンスの実施、さらには退院支援職員が他医療機関や介護サービス事業所等の職員と面会し、転院・退院体制に関する情報共有を行うことなどを位置づけた。
情報共有に関しては具体的に、連携できる医療機関や介護サービス事業者の数が20以上で、かつ各連携先と年3回以上の面会を求めている。また、ケアマネジャーとの連携を評価する「介護支援連携指導料」の算定回数要件も定めた。
訪問診療を重症度・居住場所等で細分化
訪問診療に関しては、重度から軽度まで多様な患者がいることから、患者の状態や居住場所に応じてきめ細かく評価を区分。∇訪問先(自宅、介護施設など)∇重症度∇1月あたり訪問回数∇訪問先の建物に居住する、当該医療機関が訪問診療を行う患者の数――によって点数が設定される。
訪問先については、介護施設等への訪問診療を行う「特定施設入居時等医学総合管理料(特医総管)」が「施設入居時等医学総合管理料(施設総管)」へ名称変更し、訪問先の養護老人ホーム、軽費老人ホーム、特養、特定施設に、「在宅時医学総合管理料」(在総管)の対象だった有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、グループホームも加えた。
また、末期の悪性腫瘍や人工呼吸器使用、真皮を越える褥瘡などは、重症患者としてより高い報酬が設定される。
同一建物、同一日の複数患者の診療については、不必要な訪問などを適正化する目的から、14年度改定で報酬を約4分の1に下げられ、現場に大きな影響を与えた。今回は新たに、同一日の複数訪問の有無を問わず、同じ建物に住む患者を「単一建物診療患者」と定
義。その人数に応じた報酬のメリハリをつけた(表)。
例えば在宅強化型の在支診(病床無し)が行う施設総管の場合だと、「重症患者へ月2回訪問、単一建物診療患者1 人」は月5000点だが、「重症患者以外へ月1回訪問、単一建物診療患者10人以上」は月720点となる。
訪問先については、介護施設等への訪問診療を行う「特定施設入居時等医学総合管理料(特医総管)」が「施設入居時等医学総合管理料(施設総管)」へ名称変更し、訪問先の養護老人ホーム、軽費老人ホーム、特養、特定施設に、「在宅時医学総合管理料」(在総管)の対象だった有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、グループホームも加えた。
また、末期の悪性腫瘍や人工呼吸器使用、真皮を越える褥瘡などは、重症患者としてより高い報酬が設定される。
同一建物、同一日の複数患者の診療については、不必要な訪問などを適正化する目的から、14年度改定で報酬を約4分の1に下げられ、現場に大きな影響を与えた。今回は新たに、同一日の複数訪問の有無を問わず、同じ建物に住む患者を「単一建物診療患者」と定
義。その人数に応じた報酬のメリハリをつけた(表)。
例えば在宅強化型の在支診(病床無し)が行う施設総管の場合だと、「重症患者へ月2回訪問、単一建物診療患者1 人」は月5000点だが、「重症患者以外へ月1回訪問、単一建物診療患者10人以上」は月720点となる。
機能強化型訪看の要件緩和
機能強化型訪問看護ステーションは、在宅療養の中核となるべく訪問看護の大規模・多機能化をめざし14年度に新設。常勤看護職員7人、居宅介護支援併設などが特徴となっている。
今回の改定では算定のハードルが高いといわれる「看取り年20件以上」の要件を緩和。医療機関が「在宅がん医療総合診療料」を算定した患者も件数に含められることになった。加えて、超重症児等の積極的な受入れ促進へ「看取り15件以上、かつ超重症児・準超重症児の利用者が常時4人以上」や「超重症児・準重症児の利用者が常時6人以上」に替えてもよいとした。
また、退院後の療養継続、訪問看護師を確保するため、病院・診療所からの訪問看護の報酬は555点から580点にアップした。
今回の改定では算定のハードルが高いといわれる「看取り年20件以上」の要件を緩和。医療機関が「在宅がん医療総合診療料」を算定した患者も件数に含められることになった。加えて、超重症児等の積極的な受入れ促進へ「看取り15件以上、かつ超重症児・準超重症児の利用者が常時4人以上」や「超重症児・準重症児の利用者が常時6人以上」に替えてもよいとした。
また、退院後の療養継続、訪問看護師を確保するため、病院・診療所からの訪問看護の報酬は555点から580点にアップした。
介護保険への円滑なリハ移行へ一部併給も
入院中以外の要介護者への維持期リハビリテーションについては、これまでの10%減算を40%減算へと厳格化。次期改定の18年度からは原則として医療保険の算定対象外となるため、介護保険への移行を促す。
その際、リハビリの目標設定等の支援や介護保険のリハビリの紹介等を行った場合、新たに「目標設定等支援・管理料」(初回250点、2回目以降100点3月に1回まで)を算定できる。算定後3カ月間は1月あたり5日を上限に、医療保険と介護保険のリハビリの併給も可能。医療・介護間の目標共有、効果的なリハビリの継続をはかる。
また、入院中のリハビリについては社会復帰等を見込んだIADL等の向上、活動能力の獲得を重視。必要に応じて実際の場面での訓練を認め、医療機関外でのリハビリを1日3単位まで、疾患別リハビリの対象に含めることができる。訓練の内容は①道路横断、券売機・改札機の利用、公共交通への乗降、自動車の運転など「移動手段の獲得」②特殊な器具・設備を用いた作業を行う職業への「復職準備」③日用品の買い物、居宅内での掃除、調理など「家事能力の獲得」――のいずれかとしている。
その際、リハビリの目標設定等の支援や介護保険のリハビリの紹介等を行った場合、新たに「目標設定等支援・管理料」(初回250点、2回目以降100点3月に1回まで)を算定できる。算定後3カ月間は1月あたり5日を上限に、医療保険と介護保険のリハビリの併給も可能。医療・介護間の目標共有、効果的なリハビリの継続をはかる。
また、入院中のリハビリについては社会復帰等を見込んだIADL等の向上、活動能力の獲得を重視。必要に応じて実際の場面での訓練を認め、医療機関外でのリハビリを1日3単位まで、疾患別リハビリの対象に含めることができる。訓練の内容は①道路横断、券売機・改札機の利用、公共交通への乗降、自動車の運転など「移動手段の獲得」②特殊な器具・設備を用いた作業を行う職業への「復職準備」③日用品の買い物、居宅内での掃除、調理など「家事能力の獲得」――のいずれかとしている。
(シルバー産業新聞2016年4月10日号)