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進化する大人用紙おむつ 男性用軽失禁パッドなど新トレンドも
2013年の大人用紙おむつ生産量は64億枚に上り、高齢化の進展や在宅ニーズの高まりを背景に増加を続けている。その一方で、各メーカーによる製品開発が進み、質の面でも紙おむつの進化は目覚ましい。大人用紙おむつの最新機能と活用法について、日本コンチネンス協会の牧野美奈子氏に聞いた。
「抵抗感の薄さ」が評価された男性用軽失禁パッド
ここ1、2年ほどで一気に普及が進んだのが男性用の軽失禁パッドです。排泄は自立しているけれど、たまに間に合わなかったり、出し渋った尿で下着などを汚してしまうこと(排尿後尿滴下)に不安をもつ人などに利用されています。軽失禁用といっても従来のパッドと同様、吸収体であるポリマーやギャザーを備え、漏れや臭いをしっかり防いでくれます。形状もスタンダードなものから、前漏れに配慮した前面が幅広なタイプやポケット型など多様な製品が揃います。
男性用軽失禁パッドが多くの人に受け入れられている理由として挙げられるのは利用者の抵抗感が小さい点です。大きなパッドやおむつは見た目にも安心感がありますが、これまでおむつを履いたことがない人にとってはやはり抵抗感がありますし、そもそも軽い尿漏れ程度なら吸収量もそれほど多くなくても構いません。薄手の軽失禁パッドなら、動きを阻害しませんし、アウターに響かず目立ちません。ブリーフやボクサーパンツなど普段使い慣れた下着と組み合わせられるのもポイントです。こうした点が尿漏れなどの悩みを抱えるアクティブシニアたちに評価されたのだと思います。
私は東京都武蔵野市の専門相談員として、市内の在宅高齢者を対象に、排泄に関わる訪問相談を行っていますが、そこで「溢流性(いつりゅうせい)尿失禁」の人に男性用軽失禁パッドの利用を勧めることがあります。溢流性尿失禁は高齢男性に多く、ダラダラと溢れるように漏れるのが特徴で、脊椎損傷など人によっては尿意がない場合もあります。
放っておくと腎臓に負担がかかり、腎不全や水腎症といった重大な疾患に繋がるおそれがあるため、速やかに医師に相談しなければなりません。しかし、中には病院に向かう途中で漏らしてしまうことを心配して通院を拒否する人もいます。こうした場合でも、おむつの着用は嫌がっても、軽失禁パッドだと「これくらいなら」と納得してもらい、通院に繋げられたケースもあります。
男性用軽失禁パッドが多くの人に受け入れられている理由として挙げられるのは利用者の抵抗感が小さい点です。大きなパッドやおむつは見た目にも安心感がありますが、これまでおむつを履いたことがない人にとってはやはり抵抗感がありますし、そもそも軽い尿漏れ程度なら吸収量もそれほど多くなくても構いません。薄手の軽失禁パッドなら、動きを阻害しませんし、アウターに響かず目立ちません。ブリーフやボクサーパンツなど普段使い慣れた下着と組み合わせられるのもポイントです。こうした点が尿漏れなどの悩みを抱えるアクティブシニアたちに評価されたのだと思います。
私は東京都武蔵野市の専門相談員として、市内の在宅高齢者を対象に、排泄に関わる訪問相談を行っていますが、そこで「溢流性(いつりゅうせい)尿失禁」の人に男性用軽失禁パッドの利用を勧めることがあります。溢流性尿失禁は高齢男性に多く、ダラダラと溢れるように漏れるのが特徴で、脊椎損傷など人によっては尿意がない場合もあります。
放っておくと腎臓に負担がかかり、腎不全や水腎症といった重大な疾患に繋がるおそれがあるため、速やかに医師に相談しなければなりません。しかし、中には病院に向かう途中で漏らしてしまうことを心配して通院を拒否する人もいます。こうした場合でも、おむつの着用は嫌がっても、軽失禁パッドだと「これくらいなら」と納得してもらい、通院に繋げられたケースもあります。
高機能化・多様化進むおむつ製品
男性用軽失禁パッド以外の、従来のおむつ製品も高機能化・多様化が一層進んでいます。
吸収性はポリマー自体の品質が向上していることに加え、尿を引き込み拡散させるための「水路」をつくるなど、構造に工夫を凝らした製品もあります。尿は空気に触れることで悪臭を放ちますので、素早く尿を吸収して閉じ込めることは消臭性能の向上にも繋がっています。
全面通気性を掲げる製品も増えています。通気性は快適性だけでなく、肌への負担軽減からも重要な機能です。おむつやパッドを装着すると、どうしてもむれやすく、場合によっては「浸軟」といって肌がふやけた状態になります。浸軟状態の肌はとてもダメージを受けやすく、褥瘡などに繋がるおそれもあります。経済面の無理がなければ、できる限り全面通気の製品を選んでいただきたいと思います。
よくあるのが、おむつは全面通気なのに、インナーのパッドは全面通気でなかったり、あるいはその逆のケースです。パッドを組み合わせる場合は、おむつとパッド両方が全面通気かどうかを確認してください。
そのほか弱酸性素材を採用したおむつなども登場しています。尿は空気に触れることでアルカリ性に変化し、それがスキントラブルの原因となります。さらに膀胱炎や尿道炎などの炎症を起こしている場合、よりアルカリ性が強いアルカリ尿が排出されます。おむつはアルカリに傾いた尿を中和することで、肌が受けるダメージを低減します。
パンツタイプのおむつもより自立度が高い人向けの製品が増えてきているようです。薄手で着用しても目立ちにくく、動きを邪魔しない。以前は動くとガサガサと紙ずれのような音が出て、周囲に気付かれるのが嫌で、利用を諦める人もいましたが、今はそうした音も出にくくなりました。それでいて1回分くらいの失禁はしっかりと吸収してくれる。軽失禁パッドの普及もそうですが、状態や失禁量に応じて選択の幅が広がっているのは非常によいことだと思います。
最近の製品ではありませんが、ベルトタイプや立位のまま交換できるおむつも便利です。トイレまで行くことはできるけれど、衣服の着脱などに介助が必要な人などでは、パンツタイプだと交換時にズボンも一度脱ぐ必要があり、しかもトイレが狭いと本人も介護者にとっても大きな負担になります。腰にベルトを固定して、おむつは股を通してテープで止められるベルトタイプなどは、ズボンを脱がずに交換可能で時間も短縮できます。
吸収性はポリマー自体の品質が向上していることに加え、尿を引き込み拡散させるための「水路」をつくるなど、構造に工夫を凝らした製品もあります。尿は空気に触れることで悪臭を放ちますので、素早く尿を吸収して閉じ込めることは消臭性能の向上にも繋がっています。
全面通気性を掲げる製品も増えています。通気性は快適性だけでなく、肌への負担軽減からも重要な機能です。おむつやパッドを装着すると、どうしてもむれやすく、場合によっては「浸軟」といって肌がふやけた状態になります。浸軟状態の肌はとてもダメージを受けやすく、褥瘡などに繋がるおそれもあります。経済面の無理がなければ、できる限り全面通気の製品を選んでいただきたいと思います。
よくあるのが、おむつは全面通気なのに、インナーのパッドは全面通気でなかったり、あるいはその逆のケースです。パッドを組み合わせる場合は、おむつとパッド両方が全面通気かどうかを確認してください。
そのほか弱酸性素材を採用したおむつなども登場しています。尿は空気に触れることでアルカリ性に変化し、それがスキントラブルの原因となります。さらに膀胱炎や尿道炎などの炎症を起こしている場合、よりアルカリ性が強いアルカリ尿が排出されます。おむつはアルカリに傾いた尿を中和することで、肌が受けるダメージを低減します。
パンツタイプのおむつもより自立度が高い人向けの製品が増えてきているようです。薄手で着用しても目立ちにくく、動きを邪魔しない。以前は動くとガサガサと紙ずれのような音が出て、周囲に気付かれるのが嫌で、利用を諦める人もいましたが、今はそうした音も出にくくなりました。それでいて1回分くらいの失禁はしっかりと吸収してくれる。軽失禁パッドの普及もそうですが、状態や失禁量に応じて選択の幅が広がっているのは非常によいことだと思います。
最近の製品ではありませんが、ベルトタイプや立位のまま交換できるおむつも便利です。トイレまで行くことはできるけれど、衣服の着脱などに介助が必要な人などでは、パンツタイプだと交換時にズボンも一度脱ぐ必要があり、しかもトイレが狭いと本人も介護者にとっても大きな負担になります。腰にベルトを固定して、おむつは股を通してテープで止められるベルトタイプなどは、ズボンを脱がずに交換可能で時間も短縮できます。
おむつ利用者のスキンケア
またおむつを利用するうえで欠かせないのがスキンケア対策です。先ほど挙げた通り、浸軟状態の予防には、全面通気のおむつなどを利用することでむれを抑えることが可能です。一方で、頻回の陰部洗浄を原因とするドライスキンにも注意を払う必要があります。洗浄は1日1回が目安です。弱酸性のボディソープをしっかりと泡立て、泡でやさしく汚れを落とします。
おすすめしたいのが保湿剤です。保湿剤は乾燥だけでなく浸軟状態の肌も改善してくれます。ひどいスキントラブルの場合は医師などに相談し、専用の皮膚保護材を利用するのもよいでしょう。
以前と比べて、介護施設では利用者一人ひとりに応じた排泄ケアの取り組みが進んでいます。定時交換は1日3回、それ以外は利用者ごとに計画を立て、おむつ交換やトイレ誘導などのケアを実践しているのです。介護現場がおむつ交換に翻弄されずに、利用者の個別ケアを実践する。おむつ製品それぞれの特性を理解することはそのための第一歩といえるでしょう。(談)
(シルバー産業新聞2016年1月10日号)
おすすめしたいのが保湿剤です。保湿剤は乾燥だけでなく浸軟状態の肌も改善してくれます。ひどいスキントラブルの場合は医師などに相談し、専用の皮膚保護材を利用するのもよいでしょう。
以前と比べて、介護施設では利用者一人ひとりに応じた排泄ケアの取り組みが進んでいます。定時交換は1日3回、それ以外は利用者ごとに計画を立て、おむつ交換やトイレ誘導などのケアを実践しているのです。介護現場がおむつ交換に翻弄されずに、利用者の個別ケアを実践する。おむつ製品それぞれの特性を理解することはそのための第一歩といえるでしょう。(談)
(シルバー産業新聞2016年1月10日号)