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外国人技能実習「介護」対象へ 訪問系は受入不可

外国人技能実習「介護」対象へ 訪問系は受入不可

 「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律案」と「出入国管理及び難民認定法」の改正案が10月25日に衆議院本会議で可決された。今国会で成立する見通しになった。技能実習制度適正化法案の成立後は、外国人技能実習生を受入れる対象職種に「介護」が追加される。これまで外国人介護人材の受入れはEPA(経済連携協定)の枠組みに限られていたが、今後は技能実習制度にも広がる。介護現場での外国人人材の活用にさらに一歩踏み出す形だ。

 外国人技能実習制度は途上国への技能移転という本来の目的からかけ離れた、「安価な労働力を確保する手段」として利用されるケースも多いと批判の声があがっている。今回の法案は、管理団体・実習実施者の実地検査などを担う「外国人技能実習機構」の新設や、管理団体の許可制、実習実施者の届け出制導入などを柱に制度の適正化を図る。一方、これまで最長3年だった実習期間を優良な実習実施者・管理者には4~5年目の技能実習の実施を認める拡充策も盛り込まれている。

介護実習生には入国時から日本語要件も

 技能実習制度に介護分野を追加することは、介護が単純な肉体労働とみられることによる、介護職員の処遇悪化やサービスの質低下などの指摘がある。厚生労働省の「外国人介護人材受け入れの在り方検討会」では、そうした懸念を踏まえ、昨年2月の中間まとめで介護分野の要件の骨子を示した。

 実習生を受入れることができる実習実施者は設立3年以上で、介護福祉士国家試験の受験資格要件で、介護の実務経験として認められている類型の施設・事業所。訪問系サービスは適切な指導体制の担保が困難などの理由から対象から外す。指導に当たる技能実習指員は介護福祉士の資格取得者が適当とした。

 技能実習制度では、実習生の受入れ人数の上限は、常勤職員総数50人以下の場合は3人で受入れが認められているが、介護分野では適切な体制を担保するため、常勤職数の10%までと固有の上限を設定する。業務内容や範囲も整理し、身体介護を実習計画のおおむね半分以上とする必須作業に位置付けている。

 技能実習生の要件には、一定以上の日本語能力を求める。入国時には日本語能力試験の「N4」、実習2年目に進むためには「N3」レベルの習得が必要となる。同制度で実習生に日本語能力を要件に課すのは介護分野が初めて。

 また入管難民法の改正では、介護福祉士の国家資格を取得した外国人留学生が卒業後も国内で介護就労ができるよう在留資格を与える。

 両法案とも交付から1年以内に施行される。

 15年10月時点で、EPAにより入国した護福祉士候補者は累計で2106人。そのうち国家試験に合格し、介護福祉士として日本で就労するのは249人。このEPA介護福祉士は来年度にも、訪問系サービスに従事できるようになる。25年に38万人が不足するといわれる介護職員確保のため外国人介護人材の活用に舵を切りだしている。

(シルバー産業新聞2016年11月10日号)

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