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フロンティーク・グループ 新型コロナ流行下でも最高益 自社のDX成功事例を製品に

フロンティーク・グループ 新型コロナ流行下でも最高益 自社のDX成功事例を製品に

 岐阜県内に通所介護事業所ラクアデイサービスを展開するフロンティーク・グループ(岐阜県関市、三鴨正貴社長)は、新型コロナ流行下でいち早く感染対策を打ち出し、行き場のなくなった通所利用者に選ばれることで過去最高益を記録する。三鴨社長に聞いた。

報酬引き下げ、職員離職で経営危機に

 2010年設立の同社は、岐阜県内にラクアデイサービス3店舗を展開。当初、機能訓練特化型デイサービスは珍しく業績も好調だったが、3店舗目を開設すると他事業所との競合により利用者が集まらなくなった。15年制度改正の基本報酬引き下げもあり、毎月300~400万円の赤字が続き、およそ1000万円の債務超過となった。
 利用者を増やすために営業を強化したところ、売り上げは増えたが業務負担も増えたため職員の不満が募り、1年で全職員の3割が退職した。人材不足から事業継続の危機に陥り、一人一人の職員と面談したところ「会社の方向性がわからない」「書類作業の量が多すぎる」と不満の声が聞かれた。
三鴨正貴社長

三鴨正貴社長

職員のためにDX化を推進

 同社は社内の有志を募り、理念や目標を明確化するため経営計画書の策定に取り組んだ。会社の方向性や売り上げの年間目標と計画を示し、毎月の経営会議で見直した。「事前に方向性を示すことで、離職率も8.6%に低下した」と三鴨社長は言う。
 また、書類作業にかかる業務量を削減するため、スタッフの声と経営者の目線を取り入れたデイサービス特化型の業務支援ソフト「ラクウェア」を開発した。「ソフトを使ってサービス記録や連絡帳記載にかかる時間を減らせば、職員の大きな負担軽減になる」と三鴨社長は言う。同社では、ペーパーレス・DX化を推進することで1日4時間の書類作業を30分に短縮し、記載にかかる時間を約9割削減した。

重度者受け入れと感染対策で利用者に選ばれる

 新型コロナ流行当初、職員から「利用者の数を減らして欲しい」と声が上がった。同社では、平均要介護度2.5を目標に、デイサービスが生活に欠かせない重度の利用者を受け入れており、安易にサービスを制限することはできなかった。「安全確保のため、なにができるかを考え抜いた」と三鴨社長は振り返る。
 周囲に先駆けてオリジナルのパーテーション作成や、密を避けた屋外での食事、入浴時間の調整など感染対策の徹底に取り組んだ。地域の事業所がサービスを制限する中、行き場のなくなった利用者を受け入れた。さらに感染対策への取り組みを発信することで、「ここなら任せられる」とコロナでも利用者を増やす事ができた。
 新型コロナが5類に移行した現在も、当時の利用者が定着しており、昨年度の売り上げは約3億円で2500万円の黒字と過去最高益を記録し、自己資本比率46%と安定した経営を続けている。
ソフト導入で手書きの介護サービス記録と連絡帳はなくなった

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デイサービスの経営講座開催

 同社のラクウェアは、月あたり1万2千円、フルパッケージで2万5千円で利用できる。現在、全国向けに1カ月間無料のデモを行っている。来月7月7日には、デイサービスの経営講座も開催予定。
 問い合わせは、同社0575-22-4584、または下記リンクまで。

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