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埼玉県の介護人材確保・定着後押しへ 大野元裕知事「プロフェッショナルめざして」

埼玉県の介護人材確保・定着後押しへ 大野元裕知事「プロフェッショナルめざして」

 埼玉県の介護職員数は9.9万人(2021年度時点)だが、2025年度には11.5万人が必要になると推計される。そこで同県では介護職員の資格取得支援や、現役職員が介護の魅力を発信する取組みなど、あらゆる面から人材の確保・定着をはかっている。

 「介護職員資格取得支援事業」では、介護初任者研修受講料の2分の1にあたる金額を補助する(上限3万円)。対象者は、県内の介護施設等を運営する法人またはそこに勤務する職員。今年度の予算150万円の範囲内において、随時申請を受け付けている。

 同県は訪問介護の従業員不足感が他のサービス事業所より10ポイントほど高いことから、担当者は「本事業を活用して必要な資格を取得してもらい、訪問介護員の確保につなげたい」と話す。

 介護職員が家族の育児や介護、看病などの時間を要した際に代替職員を紹介する事業も行っている。委託先の県福祉人材センターが、全社協が運営する人材紹介サイト「福祉のお仕事」を通じて、資格の有無や就労時間等の条件が一致する事業所と求職者をマッチングさせる。職員のキャリアアップのための研修受講機会確保にも。昨年度は11人の採用につながった。

 現役介護職員が自身の仕事の魅力を伝える「介護の魅力PR隊」も注目のひとつ。出張授業やハローワークでの講演で、学生や求職者に介護職の長所や特色をアピールするほか、大野元裕知事との対談動画の公開や、県庁オープンデーでのブース出展など、活躍の場を広げている。発足から10年を迎える今年度は、33人の職員がPR隊に任命された。

5年ぶりの対面合同入職式

 5月20日には、県民健康センターで介護職員の合同入職式・表彰式が行われた。全面的に中止されていたコロナ禍、昨年のバーチャル空間での開催を経て、5年ぶりの対面開催(オンライン併催)。現地・オンライン視聴あわせて約100人の新任介護職員が出席した。

 大野知事は冒頭、同県の85歳以上人口が全国一のスピードで増加することに言及し「皆さんの活躍はこれまで以上に欠かせないものとなる。感謝をされる仕事の醍醐味を感じつつ、プロフェッショナルをめざして頑張ってほしい」とエール。また、「一対一で行う仕事だからこそさまざまな困難に直面するかもしれないが、不安は一人で抱えず周りの人に相談してほしい。県でも2013年より『介護職員しっかり応援プロジェクト』を立ち上げ、介護の魅力PR隊をはじめ多様な活動を行っている」と県の取組みを紹介した。
大野知事

大野知事

 大野知事の激励を受け、新任職員の代表として、介護老人保健施設虹の園に勤める岡部優梨さんが「県や関係団体の応援を心強く感じる。お客様の笑顔を胸に、安全・安楽な支援が提供できるよう向上心を持って精進する」と誓いの言葉を述べた。
岡部さん(写真右)

岡部さん(写真右)

 同会では介護の魅力PR隊の任命式や活動報告も実施された。今年度は、PR隊として活動して6年目の市川裕さんが隊長に任命。

 「利用者や家族と関わり、楽しいことや悲しいことを経験した思い出が何よりのやりがい。いつか自分だけの嬉しかったことを私に教えてほしい。ここに集まった仲間全員で、埼玉県や全国の介護業界を盛り上げていきましょう」と語りかけた。
市川さん(写真右)

市川さん(写真右)

 同県の介護職員の離職率は、2019年の18.9%(全国15.4%)から2022年の15.0%(同14.4%)へと低下。徐々に全国平均値に近づいている。
介護職の離職率に関する推移(全国との比較)
via 第9期埼玉県高齢者支援計画

介護職の離職率に関する推移(全国との比較)

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