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裕徳会(横浜市)全室地域包括ケア病棟、来春開設

裕徳会(横浜市)全室地域包括ケア病棟、来春開設

 横浜市で病院、老健、グループホーム、介護付有料老人ホームの4拠点をもつ医療法人裕徳会は、来春5カ所目の拠点として全室地域包括ケア病棟の「よこはま港南台地域包括ケア病院」を同市内に開院する。

 地域包括ケア病棟(以下「地ケア病棟」)は急性期治療を終えた患者の在宅復帰支援、在宅療養患者の受入れ等を担う病棟。2014年診療報酬改定で急性期病棟の絞り込みとあわせて、その受け皿として創設された。
 地域包括ケア病棟協会の調べでは、19年7月時点で地ケア病棟を算定する病院は2471カ所。うち地ケア病棟のみで構成する病院は34カ所と少ない。「多くの病院は急性期の一部を地ケアへ転換し、院内で複数の病棟機能を運営している。全室地ケア、しかも転換ではなく新設となれば、全国的にもかなり珍しい」と同法人経営統括本部の神谷亮吉部長は説明する。

 開院予定の「よこはま港南台地域包括ケア病院」は地上4階建、2~3階が各60床の全120床。訪問診療、訪問看護、訪問リハビリ、居宅介護支援も備える。

 フロア中央には医師を含め医療・介護の専門職や医事課、経理など30人強が使えるオフィススペースを設け、職種・サービス間の相談、連携をしやすくする。「在宅復帰に向けたプランを、入院当日から進めなくてはならない。MSWやケアマネジャーとの連携は欠かせない」(神谷氏)。

 また、在宅患者の緊急入院やレスパイト入院への対応として常時5床程度の空床を確保。自院・他院問わず、地域の訪問診療クリニックの後方支援ベッドとして開放する。

 同法人でも、7~8年前から現院長・神谷周良氏の旗振りで在宅医療を本格開始。既存の「港南台病院」(84床)は急性期病棟ながら訪問診療も手がけ、現在600~700人の在宅患者を抱える。医師は24時間・365日体制。看取り時においてもいち早く駆けつける体制を築く。

 「地域完結型のケアをめざし、急性期から在宅までの支援体制をつくってきた。ここに地ケア病棟が加われば、在宅復帰支援の選択肢がより広がる」と同氏は期待を寄せる。新病院の患者受入れは来年5月1日を予定。地ケア病棟の要件「在宅復帰率70%」等の実績が必要なため、最初は一般・療養病棟で運営し、7カ月後に地ケア病棟への転換を計画している。

 港南台病院は10月に看護師配置を13対1から10対1に引上げたばかり。今後はより急性期に特化し、新病院との機能分化をはかる。電子カルテは2病院間で共有できるシステムを導入する。

医療を手厚くする近距離連携

 在宅復帰へのもう一つの中間施設、老健「ひとりざわ」(150床)は、最も報酬が高い「超強化型」を算定。在宅復帰率50%以上を維持し、セラピストは19人(常勤14+非常勤5)と充実している。

 また、介護付有老「ハートウォーム港南台」(54床)は平均要介護度3.7(特定施設の全国平均2.34、19年4月時点)と高く、常勤看護師4人と手厚い配置が特長。2月オープンのGH「にじいろ港南台」(3ユニット・27床)も看護師2人体制を敷く。

 介護付有老へは老健から言語聴覚士が訪問し、嚥下評価等による低栄養、摂食嚥下障害の早期予防に努める。

 「入院~在宅までの医療機能を持っているのが強み。医療依存度が高くなっても退所する必要がない。重症化した場合の緊急入院の受入れもスムーズ。安心して介護を受けることができる」と同氏。新病院を含めた5拠点はいずれも車で15分以内の移動が可能。こうした地理的条件も医療・介護連携の後押しになっていると述べた。

(シルバー産業新聞2020年12月10日)

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