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定期巡回 夜間オペレーター配置などローカルルール撤廃へ

定期巡回 夜間オペレーター配置などローカルルール撤廃へ

 厚生労働省は10月9日、社会保障審議会介護給付費分科会を開催した。地域密着型各サービスのあり方がテーマ。定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護の議論についてお伝えする。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護

人員配置要件のローカルルールなくす
 
 小規模多機能型居宅介護の人員基準では、計画作成責任者(ケアマネジャー)による管理者の兼務が認められている。また小規模多機能では、夜間のサービス対応要員は必ずしも事業所内にいる必要がないとされているが、いずれも定期巡回の人員基準では明確化されていない。
 
 その中で、市町村によっては、夜間のオペレーターの自宅待機が認められるなど、人員配置についてローカルルールが設けられているケースがあり、厚労省は市町村間のばらつきをなくすため、小規模多機能を参考に人員基準を見直してはどうかと提案した。
 
 具体的には、定期巡回でも計画作成責任者の管理者との兼務を認め、オペレーターや随時訪問ヘルパーは、サービスに支障がない体制がある場合に、必ずしも事業所内にいる必要はないことを明確化すること、また夜間対応型訪問介護でも同様に見直すことを提案した。
 
 江澤和彦委員(日本医師会常任理事)は「人材不足の深刻な訪問介護を補うサービスとして、より整備が必要。市町村の公募に応じても落選している事業所があることも課題」と述べた。

夜間対応型訪問介護

人員・運営基準の柔軟化
 
 夜間訪介の人員・運営基準は、定期巡回とのバランスを考慮されているが、オペレーターが兼務できる職務範囲など、揃っていない部分がある。
 
 定期巡回では、オペレーターが特養や老健、グループホームなどの併設施設との兼務や、随時訪問ヘルパーの兼務ができるが、夜間訪介では定期巡回や同一敷地内の訪問介護・定期巡回事業所しか認められていない。また定期巡回では、他事業所と随時対応サービスを集約化できるが、夜間訪介では認められていない。さらに夜間訪介では他の訪問介護事業所に随時訪問を委託できるが、定期巡回では訪問介護や訪問看護、夜間訪介事業所への一部委託可と、委託先がより柔軟に認められている。
 
 そこで厚労省は、①オペレーターについて▽併設施設(短期入所、特定施設、特養、老健、介護医療院、介護療養型医療施設、小規模多機能、グループホーム、看多機)の職員との兼務▽随時訪問ヘルパーとの兼務--を認める②複数の事業所間で、随時対応サービスを集約化できるようにする③地域の訪問介護事業所等に対し、事業の一部委託を認める――見直しを提案した。

出来高報酬をより評価
 
 夜間訪介の基本報酬は、オペレーションセンターを設置する場合は、定額の基本利用料と定期巡回/随時訪問の出来高部分からなる()。オペレーションセンターを設置しない場合は、包括報酬となっている()。
 
 厚労省が昨年11月サービス分のデータから163事業所を抜き出して調べると、そのうち9割以上の事業所が(Ⅰ)を選択しており、19事業所では基本報酬のみで出来高部分の算定がなかった。また同時期に、夜間訪介の全利用者のうち、約7割が月に1度も訪問サービスを受けていなかった。そこで同省は、出来高報酬部分に重点を置くなど、定額部分を下げ出来高部分を上げるといったメリハリをつけることを提案した。
 
 河本滋史委員(健康保険組合連合会常務理事)は「夜間訪介の利用者が少ないことから、定期巡回に組み込むこともあり得るのでは」、東憲太郎委員(全国老人保健施設協会会長)も「将来的には定期巡回と統合すべき」としたが、小泉立志委員(全国老人福祉施設協議会理事)は「かえって単位数が高くなってしまい、他サービスの利用回数を減らさざるを得なくなったり、両サービスの機能や利便性に差があるため、慎重に考えるべき」とした。また「月に1度も訪問がない利用者では、訪問1回ごとのサービス提供体制加算が算定できず、それにより特定処遇改善加算Ⅰも算定できなくなるため、対応が必要」と指摘した。

離島・中山間地域での加算
 
 訪問系サービスの中で夜間訪介だけ、特別地域加算や中山間地域等での小規模事業所加算、中山間地域等に住む人へのサービス提供加算が設けられていない。厚労省は、中山間地域等でのサービス促進と、移動のコストを適切に評価するため、上記3つの加算を認めることを提案した。
 
 間利子晃一参考人(日本経済団体連合会経済政策本部主幹)は、「離島・中山間地域全般に言えるが、保険外サービスも含めより根本的な対応を検討していく時期では」と指摘した。

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