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床ずれ防止用具 中重度者の在宅療養を支えるマットレス

床ずれ防止用具 中重度者の在宅療養を支えるマットレス

貸与件数:25.7万件
5年間(2018年4月比)の貸与件数の伸び:1.13倍
費用額:16.1億円/月(貸与全体の4.5%)

 給付件数は25.7万件。5年間で1.13倍と他種目と比べると伸び率は高くないが、利用者の97%が要介護2以上で、中重度者の在宅の療養環境を整える福祉用具として活用されている。ウレタンやジェルなどを素材とした静止型マットレスとエアマットレスに大きく分かれ、利用者の床ずれリスクなどに応じて使い分けられている。

 高機能製品では、圧や体重・体形を検知し、自動で最適な体圧分散に調整してくれたり、床ずれや寝苦しさの要因となる熱や湿気が上昇しないように調節してくれるマットレスもある。抗ウイルス・抗菌加工や消毒・清拭しやすい製品など、感染対策のニーズに応えた製品も登場している。そのほか、残存能力を生かす観点から、動作を妨げないタイプも。例えば表層は体が沈みにくく、体位変換や動作を妨げない反発性が高い素材を採用した多層構造のタイプなどが挙げられる。体圧分散に優れている製品でも、リスク軽度の人には体が沈み込み、寝返りが打ちにくくなるケースもある。

 車いすクッションも床ずれ防止用具の対象製品があり、マットレスと同様に、静止型、エアクッション、さまざまな機能を備えた製品がある。マットレスと比べて接触面積は臀部などに集中するため、圧がかかりやすいうえ、背もたれにもたれると骨盤が後ろに傾き、ずれ力も発生するため、車いすクッションでは座位保持性能なども選定のポイントとなる。 

コロナ禍で自動体位変換や消毒しやすい製品の需要増

 JASPAによると、20年度の市場規模は静止型マットレスで51億円(対前年度▲3.8%)、エアマットレスなどは39億円(同▲7.1%)といずれも減少した。20年度は診療報酬改定があったが、床ずれの環境整備に関する部分には変化がなく、床ずれ防止用具市場への影響はなかったとする。

 また20年度前半は、コロナ禍で医療施設は外来・入院患者の減少で大きく収益が減少したため、床ずれ防止用具の購入は先延ばしされ、訪問営業も厳しく制限されていた。年度後半は、患者との接触回数を減らす自動体位変換機能付きのエアマットレスや、消毒のため清拭しやすい防水タイプなどの需要が喚起されている。

 介護保険の貸与は、コロナ禍においても在宅介護での利用には影響がみられず、大きな市場変化はなかったと分析している。21年度以降では、世界的な半導体不足でメーカーによってはエアマットレスが供給できない時期もあった。
(シルバー産業新聞2023年9月10日号)

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