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特養の基本報酬引き上げ焦点 介護給付費分科会で人員配置・医療連携も議論
7月9日に開かれた社会保障審議会介護給付費分科会で、介護老人福祉施設(特養)と地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護について議論された。特養が中重度の要介護高齢者を支える生活施設として機能している一方、低所得者の入所割合の高さ、医療連携や感染症対応の体制整備、人材不足下でのサービス維持などが課題に挙がった。委員からは、物価高騰や賃金上昇、施設老朽化に対応するため、基本報酬の引き上げを求める意見が相次いだ。
特養は、2015年4月から新規入所者を原則要介護3以上に限定し、在宅生活が困難な中重度者を支える施設として重点化されている。24年度の施設数は1万1077施設、サービス受給者数は65.6万人。入所者の平均要介護度は、01年の3.47から23年には3.95まで上昇した。入所申込者は要介護3~5で25.3万人、このうち在宅の人は10.6万人、41.7%を占める。
経営面では、全国老人福祉施設協議会の小泉立志委員が、特養の収支差率が過去最低水準となり、赤字施設が約5割に達している実態を指摘。インフレ対応と事業継続のため、基本報酬の大胆な底上げを求めた。日本医師会の江沢和彦委員も、介護保険3施設の経営は限界に近いとして、賃上げや物価対応にとどまらない大幅な評価が必要だと訴えた。地方団体側からも、離島・中山間地域では光熱水費や採用コストの上昇が重く、地域の介護インフラを維持するための財政支援が必要との意見が出た。
協力医療機関との連携も課題に挙げられた。協力医療機関の3要件を満たす体制の整備割合は、介護医療院84.9%、介護老人保健施設83.3%に対し、介護老人福祉施設は67.9%にとどまる。地域によって医療資源に差があることから、協力医療機関の確保が困難な施設については、経過措置終了後も一律に行政処分の対象としないよう配慮を求める意見も出された。
人材不足が深刻化する中、介護ロボットやICT、AIなどの活用による生産性向上と、人員配置基準の柔軟化のあり方も論点となった。委員からは、労働供給の制約が強まる中、DXやAIを最大限活用できる体制を構築し、生産性向上と人員配置の柔軟化をあわせて検討すべきとの声が上がった。一方で、人員削減を目的とした配置基準の緩和には慎重であるべきとの意見も示された。
また、生産性向上推進体制加算については、機器導入時の支援だけでなく、保守費や通信費、システム利用料などのランニングコストへの支援が不可欠との指摘があった。現状では事業者の持ち出しになっている実態があり、加算単価の引き上げや要件緩和を求める声もあげられた。


