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介護を良くし、良い職場づくりを支援するテクノロジー活用

介護を良くし、良い職場づくりを支援するテクノロジー活用

 新たな取組をするための「時間を創り出すこと」に着目した、北九州発の介護ロボットやICTなどテクノロジー活用のための伴走型導入・活用支援「北九州モデル」が注目を集めている。「北九州市介護ロボット等導入支援・普及促進センター」(事務局:麻生教育サービス、樽本洋平センター長/理学療法士)で取り組まれており、実際に介護施設に訪問しながら「現状の業務仕分け→ICT・介護ロボット等の活用→業務オペレーションの整理」の3段階で進めるのが特長。同モデルへの期待は高く、厚生労働省「介護ロボットの開発・実証・普及プラットフォーム事業」で全国17カ所に設置されている相談窓口でも、本年度より、伴走型支援の取り組みが一部で開始され広がりをみせている。

 北九州市保健福祉局先進的介護システム推進室の堀江吏将次長は「当市では2016年度から20年度まで国の介護ロボット特区(「介護ロボット等導入実証事業」)として、全国に先駆けて取り組んできた経験がある。その中で分かってきたのは、現場職員は身体的負担だけでなく、時間に追われる大変さを感じていること。この改善が求められていた」と、時間を作り出すようになった経緯を話す。

 北九州モデルによる支援は年間5施設で実施。コロナ禍による中断を挟み、これまでに市内15施設に伴走型導入・活用支援をしてきた。24年度は応募多数により来年度以降に支援待ちが発生するほど、介護施設に定着してきた。

時間を創り、人に還元する

 ポイントは、利用者のQOLの維持向上、職員の働き方改善のために時間を創り出すことを介護現場で共有し▽繰り返し業務や情報解析・判断、重労働負担軽減などは介護ロボット・ICT機器▽配膳・下膳、ゴミ出しや清掃、買い物などの周辺業務は介護助手・アウトソーシング――など、介護現場ごとに人とテクノロジー活用の最適化を目指して、支援策を組み立てていく。

 これにより専門職は、より専門性の高い業務に集中できるようになる。

 市内の介護施設での実践では看護・介護の全体業務時間を35%短縮し、記録時間を49%短縮するなど時間を作り出した。これにより直接介助業務時間が2割増え、職員一人当たりの利用者との会話時間も2.5倍に増やすことに還元できた。

 その結果、利用者のQOLレベルを維持させることにも成功。利用者・スタッフ・経営者の三方よしの取り組みといえる。

「使う人を育てる」「活用する組織づくり」も

 介護施設内でのICT・介護ロボットの活用ができる専門人材の育成も課題となるが、同市では独自に「介護ロボットマスター育成研修」も実施している。経営層・中間層・現場職員のそれぞれの役割分担により介護ロボットマネージャー、リーダー、オペレーターを認定する制度。

 同センター長の樽本氏は「介護ロボットやICTは導入して終わりではない。継続して活用していく中でPDCAサイクルが重要になる」と、施設内部にテクノロジー活用を推進する組織づくりも重要と話す。
(シルバー産業新聞2022年12月10日号)

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