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20年度介護費用10.7兆円 過去最多

20年度介護費用10.7兆円 過去最多

 厚生労働省が11月2日に発表した2020年度介護給付費実態統計(20年5月~21年4月審査分)によると、1年間に一度でも介護保険サービスを利用した人は621万9000人だった。前年度に比べ10万7900人(1.8%)増加した。介護サービスが532万8000人(5万5700人、1.1%増)、介護予防サービスが109万9500人(6600人、0.6%増)だった(表は、21年4月審査分のサービス別1人費用額)。ただ、介護予防・日常生活支援総合事業への完全移行前の2015年の受給者数647万人をピークに、介護保険受給者数の伸びの停滞が顕著になっている。一方で、費用額は、16年度は969億円だったが、20年度は1077億円と着実に伸びている。

通所介護初の減少も介護サービス10兆円超

 保険給付額、公費負担額および利用者負担額(公費の本人負担額を含む)の合計額は、2年連続10兆円を超え、10兆7783億3400万円で、前年度より2.6%増加した。介護サービスは10兆5078億2900万円(前年度比2.6%増)、うち居宅サービスは4兆6094億8200万円(同2.6%増)だったが、通所介護は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で利用者が減り、制度創設以来初の減少に転じ、前年より21億円減の1兆2851億1900万円となった。地域密着型サービスは1兆8510億800万円(同2.9%増)、施設サービスは3兆5590億2100万円(同2.3%増)で、介護予防サービスは2705億500万円(同2.5%増)だった。

居宅サービス受給者 2年連続400万人超

 訪問介護が前年度比1万5400人(1.1%)増の147万7300人だったが、通所介護は減少に転じ、同5万3500人(3.3%)減の157万2600人となった。在宅で受ける介護サービスの利用者は4万1200人(1.2%)増の406万2700人。

 地域密着型サービスは、1万4900人(1.2%)減の118万7600人だった。24時間対応の定期巡回・随時対応型介護看護は、5200人(12.4%)増の4万7700人、複合型サービス(看護小規模多機能型居宅介護)は3500人(16.4%)増の2万3800人だった。

 施設サービス利用者は、7900人(0.6%)減の129万1900人。18年に新設の介護医療院は2万1900人(68.8%)増の5万3700人と増加を続けている。施設サービスの1人あたり費用額は、31万1800円で、在宅の12万4900円に対して2.50倍(21年4月審査分)となっている。

1人当たり費用17.4万円

 21年4月審査分の受給者1人当たり費用額は17万4900円となっており、前年4月審査分と比較すると2300円(1.3%)増加した。介護サービスが20万1700円(3.5%増)、介護予防サービスが2万8400円(1.0%増)。

 都道府県別にみると、介護サービスでは、鳥取県が21万8500円で最も高く、次いで沖縄県が21万5600円、佐賀県が21万5300円と続く。最も低いのは北海道の19万1200円で、鳥取と北海道の差は2万7300円となった。介護予防サービスは佐賀県が3万7600円で最も高く、次いで長崎県が3万4500円、鹿児島県が3万2600円。最も低いのは富山県の2万2600円。

要介護5では9割が身体介護 訪問介護

 訪問介護受給者について要介護状態区分別に内容類型別の利用割合をみると、要介護1では「生活援助」56.2%、要介護5では「身体介護」90.6%となっており、要介護状態区分が高くなるにしたがって、「身体介護」の利用割合が多くなり、「生活援助」の割合は少なくなっている。

 20年4月審査分の通所介護の受給者について要介護状態区分別に割合をみると、「要介護1~要介護3」が全体の84.3%を占め、通所リハビリテーションでも85.8%を占めている。

サービスにより要介護度に大きな差 地域密着型

 同月審査分における、地域密着型サービス別の受給者の要介護(要支援)状態区分別の割合は、地域密着型通所介護は、「要介護1、2」で70.8%を占めるが、地域密着型特養は、「要介護4、5」の割合が71.6%を占めている。

介護医療院、 1人当たり費用額がトップ

 施設サービスを、要介護状態区分別にみると、特養では、「要介護4、5」が合わせて69.7%、老健では、「要介護4、5」が合わせて43.8%で、介護療養病床では「要介護4、5」合わせて87.0%、介護医療院では「要介護4、5」合わせて86.3%を占める。

 また、受給者1人あたりの費用額をみると、特養では29万6500円、老健では31万9100円、介護療養施設では38万9000円、介護医療院では41万4900円だが、いずれの施設でも要介護状態区分が高くなるほど費用額も高くなっており、特に介護医療院ではその差が大きい(要介護5は要介護1の1.64倍)、次いで介護療養施設が1.59 倍。特養は1.38倍、老健は1.27倍。

(シルバー産業新聞2021年12月10日号)

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