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介護職賃上げ、対象は「介護職員処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅲ)算定事業所」

介護職賃上げ、対象は「介護職員処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅲ)算定事業所」

 厚生労働省は12月8日、社会保障審議会介護給付費分科会(分科会長=田中滋・埼玉県立大学理事長)を開催し、来年2月から実施する介護職員などの賃上げについて、現時点での概要を示した。

居宅介護支援など対象外に

 政府は「介護職員の収入を3%程度(月額9000円)引き上げる」ための費用として、今年度の補正予算案で1000億円を計上している。来年2~9月までの8カ月間、138万人(常勤換算)の介護職員に対して、月額9000円程度の賃上げを行うことを前提とした金額だ。
 
 この日、同省が示した事業の概要案によると、都道府県が介護事業所の申請を受けて、賃上げのための補助金を支払うスキームを念頭に置く。補助金を取得できるのは「介護職員処遇改善加算(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)のいずれかを取得している事業所」で、そもそも同加算が算定できない居宅介護支援、訪問看護、訪問リハ、福祉用具貸与、居宅療養管理指導などのサービスは対象から外れる。
 対象サービスごとに、介護職員の数(常勤換算)に応じた加算率を設定し、「1人当たり月額平均9000円の賃金引上げに相当する額」として、各事業所の総報酬に加算率を乗じた金額を支給する。ただし、事業所判断により、介護職員以外の職員の賃上げに充てることができるため、その場合は介護職員に対する賃上げ効果は薄まることになる。

 近い例としては、2019年度の臨時改定で創設された介護職員等特定処遇改善加算が記憶に新しい。「勤続10年以上の介護福祉士の給与を月額8万円引き上げ」が前面に打ち出されたが、事業所の裁量でその他の介護職員や職種にも広く配分できるようにした結果、介護職員全体でみた処遇改善額は1万8000円に止まった。

来年10月以降のスキーム「年末の予算編成過程で」

 来年10月以降のスキームや財源は、政府の「公的価格評価検討委員会」(座長=増田寬也・東京大学公共政策大学院客員教授)のとりまとめを経て、年末に行われる来年度の予算編成で検討される。後藤茂之厚生労働大臣は12月3日の記者会見で、「介護報酬で対応するかどうかも含めて年末の予算編成過程で決定する。仮に介護報酬で対応する場合は、具体的な要件などについて、年明け以降の社会保障審議会介護給付費分科会で議論いただくことになる」と説明した。

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