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45件担当で月2万5000円のインセンティブ

45件担当で月2万5000円のインセンティブ

 今回の介護報酬改定では、一定のICT活用や事務職員の配置により、居宅介護支援費の逓減制適用をケアマネジャー1人当たり40件から44件に緩和する見直しが行われた。44件までは従来の単価で基本報酬が算定できる。東京・千葉で単独型居宅介護支援事業所を展開するマロー・サウンズ・カンパニー(千葉県市川市、田中紘太社長)では、この逓減制が緩和された居宅介護支援費(Ⅱ)の届出をいち早く行い、実際に45件程度を担当するケアマネジャーに対して月2万5000円のインセンティブを付与している。

 本社に事務職も置くが、以前から取り組んでいたビジネスチャットや業務支援ソフトなどのICT活用で要件を満たした。同社のケアマネは支給されたスマートフォンで、チャットによる情報共有や業務支援アプリで記録を行っている。もともと事業所に戻らなければできない業務を削減できていたため、このコロナ禍ではスムーズに在宅勤務体制に移行できたという。

「会社が担当増を押し付けてはならない」

田中紘太社長

田中紘太社長

 同社で働くケアマネは全5事業所で32人。そのうち、2割が担当数を増やしてインセンティブ取得を希望した。田中社長は、「あくまで職員の希望が前提。持ち件数を増やしたくないというケアマネにまで、会社が無理やり押し付けるようなことはあってはならない」と強調する。

 さらに、「もちろんケアマネジメントの質の低下や職員の過度な負担を招いては元も子もない」とし、職員が希望しても会社の承認を得られなければ持ち件数を増やせない。希望する職員に対して個別に面談を実施し、これまでの業務や勤務状況を踏まえて、件数が増えても問題がないかどうかを会社が判断する。現状の件数でも、記録に不備が多かったり、業務に遅れが発生していたりする場合には、いくら希望があっても持ち件数を増やすことは認めないという。

 これらのプロセスを経て、労使間で合意が取れた7人に対して、このインセンティブの内容を書き加えた雇用契約を新たに結び直した。その契約書の中でも、「45件の担当が困難と判断された場合、手当の支給をしない場合もあり得る。担当件数の変更をする場合は両者協議の上、決定するものとする」と明記。実際に担当を増やした後も、長時間残業などに繋がっていたりしないかを確認するためだ。

 同社の平均担当数は一人38件程度。「今回の逓減制の緩和で、余力がある職員は持ち件数を増やすこともできるし、それに対して会社はインセンティブで応えることができるようになった。働き方の選択肢や職員の評価軸が広がったと思う。職員と企業、両者にとって良い仕組みへ落とし込んでいきたい」(田中社長)

(シルバー産業新聞2021年5月10日号)

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