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コロナ禍のサ担会議 「テレビ会議」実施2.6%

コロナ禍のサ担会議 「テレビ会議」実施2.6%

 厚生労働省は今年3月、ケアマネジャーの業務負担の実態を調べた「居宅介護支援における業務負担等に関する調査研究事業」の報告書をとりまとめた。平時での業務調査がメインだが、コロナ禍でのサービス担当者会議やモニタリングの対応についても調査している。今回の介護報酬改定で、サ担会議については利用者・家族の同意を得て、テレビ会議などの活用が認められることになった。しかし、「対面以外の柔軟な取り扱い」が認められているコロナ特例中の対応をみると、電話での照会が多くを占め、テレビ会議を行った事業所は2.6%に止まる。利用者宅だけでなく、事業所での環境整備もまだ十分ではない実態が浮かび上がる。

「8割以上が対面以外」26%

 同事業は、昨年度の老健事業で三菱総合研究所が受託して実施。現場のケアマネジャーを中心とする検討委員会を立ち上げ、全国2000カ所の居宅介護支援事業所にアンケート調査などを行った。

 コロナ禍でのサ担会議について、複数回答で「通常の訪問、対面で開催した」事業所が74.7%と最も多く、「通常の訪問、対面以外で開催した」が69.4%、「やむを得ない場合を除き、開催を見送った」が11.1%だった。「通常の訪問、対面で開催した」割合が8割以上の事業所は全体の44.3%を占める。そのうち、全て対面開催した事業所は16.5%。一方、「通常の訪問、対面『以外』で開催した」ケースが8割以上の事業所も26.2%と4分の1超あった。地域の感染状況などに応じて対応が分かれたものとみられる。

「設備・機器がなかった」3割

 「対面『以外』で実施しなかった理由」については、「対面で実施すべきと判断した」が32.9%で最も多かったが、「テレビ会議を開催するための設備・機器がなかった」(30.7%)や「テレビ会議を開催する方法がわからなかった、機器の取り扱いができなかった」(10.9%)という回答も一定数ある。「テレビ会議を開催するための設備・機器がなかった」主体は、「利用者・家族」がおよそ8割とやはり多かったが、「居宅介護支援事業所」(58.8%)、「サービス提供事業所」(53.4%)と事業者側に必要な設備がないケースも決して少なくない。同様に、「テレビ会議を開催する方法がわからなかった、機器の取り扱いができなかった」のは、「利用者・家族」74.8%、「居宅介護支援事業所」56.8%、「サービス提供事業者」40.3%という結果だった。

対面以外の対応電話78%

 対面以外で開催した場合の理由は、「訪問による開催はリスクが高いと判断した」が69.4%で最も多かった。また「利用者・家族が自宅での開催を拒否した」も61.4%と、利用者側の判断で対面開催できなかったケースがあった事業所も6割いた。対面以外の実施方法では、「電話」が最も多く78.1%。「メール」は14.1%で、「テレビ会議」はわずか2.6%に止まっている。「その他」も42.1%あったが、その多くはFAXや郵送など文書での情報確認や照会だった。少数だったテレビ会議の方法は、半数が「Zoom」だった。

 対面以外で実施した場合の課題は、「特にない」と回答した事業所が27.5%で、「書面開催とした場合、書類作成と郵送費が負担となった」(26.4%)、「オンライン開催を可能とするための調整、準備が困難だった」(21.5%)、「参加者からの発言が得にくかった」(14.9%)などが挙がっている。対面以外での実施にあたっての工夫は、「事前の情報収集」(30.8%)、「事前の情報共有」(22.9%)、「開催後の情報共有、フォロー」など、ケアマネによる開催前後でのフォローで、関係者間での情報共有や連携を強める取り組みが多かった。

モニタリング 文書と電話で

 コロナ禍でのモニタリング業務も、サ担会議と同様の傾向だ。複数回答で、「通常の訪問、対面で実施した」事業所が82.5%と最も多く、「通常の訪問、対面以外で実施した」が73.3%、「やむを得ない場合を除き、実施を見送った」が5.2%だった。

 対面以外でモニタリングを行った場合の課題は、「対面でないと把握しにくい情報があった」(59.4%)がトップ。その内容として、「利用者の心身状況」(88.3%)、「住環境の状況」(50.6%)のほか、「近隣住民から提供される情報」も8.3%の回答を集めた。工夫した点は、「メールやFAXなどの文書と電話を組み合わせた」(37.0%)「複数回に分けて実施した」(11.9%)などが挙げられた。「家族の協力を得るなどして、カメラ映像を用いてオンラインで対話できるようにした」は1.5%だった。

 今回の介護報酬改定で、サ担会議は利用者・家族が参加する場合にはその同意を得ることでテレビ会議等での開催も認められるようになったが、コロナ特例と違って電話での対応は認められていない。離れた家族等も参加しやすいなどのメリットはあるが、参加者それぞれが必要な設備を整えている必要がある。今回、事業者側でも設備や機器が整っていないとする回答も多かったことから、実際にテレビ会議が広く運用されるためには、利用者宅でのフォローに加え、補助金などの活用により、より多くの事業所が環境を整えることが鍵となる。モニタリングは訪問の重要性を踏まえてテレビ会議の活用は、今改定では見送られている。

(シルバー産業新聞2021年6月10日号)

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