インタビュー・座談会
「自分に勝つ」気持ちが記録を伸ばす(後半) 早田卓次/鈴木大地
スポーツ庁・鈴木大地長官と和歌山県出身のオリンピック金メダリスト・早田卓次さんに、金メダル獲得のエピソードと、スポーツの普及による健康づくりについて語っていただいた。ねんりんピック和歌山大会開催を記念した対談(後半)。
「バサロ」を生んだトレーニング
――早田さんは中学から体操を始めたそうですね。どのような練習でしたか。
早田 中学・高校は屋外でした。マットや跳び箱を持ち出して、砂場を掘るなどして。指導者はいません。それが当たり前と思っていましたので、大学入学後は、体育館の練習が嬉しくてたまりませんでした。
早田 中学・高校は屋外でした。マットや跳び箱を持ち出して、砂場を掘るなどして。指導者はいません。それが当たり前と思っていましたので、大学入学後は、体育館の練習が嬉しくてたまりませんでした。
――確かソ連式のトレーニングを実践されていた。
早田 「ザリアツカ」(充電トレーニング)です。朝起きて朝食前に、バランス運動や逆立ちなどのメニューを30分~1時間程度こなします。「ザリアツカを完璧にマスターしなければ一流にはなれない!」とコーチに半分騙されていたようなものです。
鈴木 限られた環境なりの練習方法を工夫するしかないですね、いつの時代も。私の場合、普段の練習は25mプールで、50mプールで泳げるのは年に1~2カ月程度でした。例えるなら、フットサルコートで練習してサッカーの試合
に出るようなものです。
早田 「ザリアツカ」(充電トレーニング)です。朝起きて朝食前に、バランス運動や逆立ちなどのメニューを30分~1時間程度こなします。「ザリアツカを完璧にマスターしなければ一流にはなれない!」とコーチに半分騙されていたようなものです。
鈴木 限られた環境なりの練習方法を工夫するしかないですね、いつの時代も。私の場合、普段の練習は25mプールで、50mプールで泳げるのは年に1~2カ月程度でした。例えるなら、フットサルコートで練習してサッカーの試合
に出るようなものです。
――でも、そこからあの「バサロ」が誕生しました。
鈴木 朝練習では必ず潜水をやります。25mを8本、50mを4本、そして最後に100m。100mは泳ぎ切れないこともあります。ここに通常練習が加わるわけです。
極限まで追い込むと、自分は水中生物じゃないかという感覚にもなりました。現役引退後しばらくは、プールサイドに立っているほうがつらかったです。
早田 水泳は健康にとても良い。少し膝を痛めているので、リハビリを兼ねてプールで少し泳ぐのと水中歩行をしています。週3日ほどです。今は間違いなく鈴木さんより泳いでいますね(笑)。
鈴木 今年、日本で開催されているラグビーワールドカップでも、合宿地にプールの設置が規定されています。他のスポーツにもトレーニング・療法の一環として水泳が認められているのです。
水泳は全身運動ですので、健康目的でも、今までスポーツをしたことがない人におすすめです。水中歩行だけでも無理なく続けられます。
鈴木 朝練習では必ず潜水をやります。25mを8本、50mを4本、そして最後に100m。100mは泳ぎ切れないこともあります。ここに通常練習が加わるわけです。
極限まで追い込むと、自分は水中生物じゃないかという感覚にもなりました。現役引退後しばらくは、プールサイドに立っているほうがつらかったです。
早田 水泳は健康にとても良い。少し膝を痛めているので、リハビリを兼ねてプールで少し泳ぐのと水中歩行をしています。週3日ほどです。今は間違いなく鈴木さんより泳いでいますね(笑)。
鈴木 今年、日本で開催されているラグビーワールドカップでも、合宿地にプールの設置が規定されています。他のスポーツにもトレーニング・療法の一環として水泳が認められているのです。
水泳は全身運動ですので、健康目的でも、今までスポーツをしたことがない人におすすめです。水中歩行だけでも無理なく続けられます。
楽しく・目的をもってスポーツを
――79歳の早田さんは今も朝の運動が日課。
早田 ザリアツカの名残でしょうか。今は膝を痛めて中止していますが、朝はまずジョギングから始めます。その後に公園で倒立。指や肩甲骨への刺激を意識しています。
鈴木 壁にもたれずにですか? それはすごい。
早田 健康だと思っていた自分の体も、70歳を過ぎた頃か衰えに気づく機会が増えてきました。ちょっとしたことですが、車の運転席から手を伸ばして後部座席の荷物を取ろうとしても、重くて持ち上がらない。
鈴木 シニアになると、ちょっとした段差でつまずき、転倒・骨折のリスクが高まります。これには、下半身を中心に筋力をつけるしかありません。ストレッチと筋トレ、有酸素運動が重要です。「貯筋」というように、本当は若いうちから筋力を意識し、健康維持に努めてほしいですね。
早田 ザリアツカの名残でしょうか。今は膝を痛めて中止していますが、朝はまずジョギングから始めます。その後に公園で倒立。指や肩甲骨への刺激を意識しています。
鈴木 壁にもたれずにですか? それはすごい。
早田 健康だと思っていた自分の体も、70歳を過ぎた頃か衰えに気づく機会が増えてきました。ちょっとしたことですが、車の運転席から手を伸ばして後部座席の荷物を取ろうとしても、重くて持ち上がらない。
鈴木 シニアになると、ちょっとした段差でつまずき、転倒・骨折のリスクが高まります。これには、下半身を中心に筋力をつけるしかありません。ストレッチと筋トレ、有酸素運動が重要です。「貯筋」というように、本当は若いうちから筋力を意識し、健康維持に努めてほしいですね。
――スポーツ庁では健康に向けたスポーツの啓発を行っています。
鈴木 シニアに限らず、国民全体の健康増進が目的です。ライフスタイルにウォーキングやスポーツをどう入れていくか。例えば、10月は「FUN+WALK」月間として行きたい場所・やりたいことなど目的をもった外出、ウォーキングを促進しています。
スポーツ経験のない人だと、まず「歩く」ことから始めてはいかがでしょう。早田さんみたいに倒立しろとは言いません(笑)。
早田 オリンピックも、スポーツの勝ち負けだけで終わらせるのはもったいないですね。一人ひとりの健康につながる何かを残していければ。
鈴木 その通りですね。選手はメダルをめざし、我々はそれに刺激を受け、身体を動かす。来年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会でも、レガシーの一つに「国民の健康増進」が重要だと話をしています。
鈴木 シニアに限らず、国民全体の健康増進が目的です。ライフスタイルにウォーキングやスポーツをどう入れていくか。例えば、10月は「FUN+WALK」月間として行きたい場所・やりたいことなど目的をもった外出、ウォーキングを促進しています。
スポーツ経験のない人だと、まず「歩く」ことから始めてはいかがでしょう。早田さんみたいに倒立しろとは言いません(笑)。
早田 オリンピックも、スポーツの勝ち負けだけで終わらせるのはもったいないですね。一人ひとりの健康につながる何かを残していければ。
鈴木 その通りですね。選手はメダルをめざし、我々はそれに刺激を受け、身体を動かす。来年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会でも、レガシーの一つに「国民の健康増進」が重要だと話をしています。
――ねんりんピックでは、早田さんが開幕式で炬火ランナーを務められます。
早田 和歌山県民も刺激を受け、スポーツに親しむ絶好の機会になってほしいと思います。そういう気持ちを込めて、炬火ランナーは張り切ってやりたいと思います。
鈴木 ねんりんピックに出場される方々は、社会における健康分野のリーダーだと思います。さらに仲間を集め、輪を広げるという使命をもって、スポーツに参加していただきたいと思います。
早田 和歌山県民も刺激を受け、スポーツに親しむ絶好の機会になってほしいと思います。そういう気持ちを込めて、炬火ランナーは張り切ってやりたいと思います。
鈴木 ねんりんピックに出場される方々は、社会における健康分野のリーダーだと思います。さらに仲間を集め、輪を広げるという使命をもって、スポーツに参加していただきたいと思います。
――本日はありがとうございました。
(了)
(もういちど前半を見る)
■ 前半:世界で競技する意義 (リンク)
■ 前半:世界で競技する意義 (リンク)
(ねんりんピック新聞2019in和歌山)