コラム

《福祉用具で解決!介護の困りごと》住宅改修でなくそう!「忘れやすい」危険な段差/住宅改修(金沢善智さん)

《福祉用具で解決!介護の困りごと》住宅改修でなくそう!「忘れやすい」危険な段差/住宅改修(金沢善智さん)
 介護保険で要介護認定されると、保険給付を用いて、手すり設置や段差解消などの「住宅改修」をすることができます。住宅を安全な暮らしの場所とする住宅改修は重要です。

 Bさん(男性、78歳)は3カ月前、脳梗塞で緊急入院しました。対応が早かったこともあり、命に別状がなかった上に、左半身まひも軽く、少しだけ左足を引きずるような歩き方にはなりましたが、自宅へと退院することとなりました。入院中に要介護認定も行われ、退院後すぐに「要支援2」と判定されました。

 自宅では、以前からの市販のベッドを使って、これと言った不自由さもなく、病前同様に寝起きをしていました。 しかし、1つだけ、本人のみならず家族の心配事がありました。それは、夜中に1〜2度トイレに行くときに、トイレの手前にある約3㎝の段差で、「つまずいて転びそうになる」と言うことです。

 脳梗塞の後遺症なのか、Bさんは忘れっぽい上に集中力が散漫で、特に夜中にトイレに行くときに、段差のことをすっかり忘れて、退院してから1カ月の間に、何度も転びそうになっていました。本人も家族も「夜中に転んで、ケガをするのではないか」と心配していました。

 そのことを相談された担当のケアマネジャーは間髪入れずに動き、段差解消を中心とした住宅改修が行われることとなりました。
 段差の正体は、トイレに向かう廊下の途中にあるドアを囲む枠の下部、いわゆる下枠に当たる部分で、専門用語では「沓摺り(くつずり)」と言うものでした。

 実はこの薄暗いところにある、3〜4㎝の比較的低い段差こそが「危険な段差」の筆頭で、私は「意識に上らない(忘れやすい)段差」と呼んでいます。
 高めの段差や日中の明るいところにある段差は、「目立つ」と言う利点でつまずくことが少ないのですが、この低めの段差は、少し急いでいるときや注意力が散漫の時に、その存在をすっかり忘れてしまって、つまずいて転倒する確率が高まります。ましてや暗がりではさらに…。

 今回は、段差そのものを取り去ってしまう訳ですから、今後、つまずくことはなくなります。問題は、依頼した施工業者が4日後でないと工事ができないということでした。工事完了までの間につまずいて転倒し、ケガをしてしまっては元も子もないので、それまでの対策が必要となります。
 そこで活用したのが暗がりで光を放つ「蓄光テープ」(写真)です。

 今回は「夜間」につまずくということでしたので、暗がりで光って、眩しくなく段差を目立たせるこのテープが、緊急対応策として有効です。それでは「廊下に照明をつけてはどうか」ということになるのですが、今度は暗い寝室から廊下に出たときに、眩し過ぎて転倒の危険性が高まります。
 実はBさん、このテープを貼ってから工事が始まるまでの3日間、一度もつまずきませんでした。本人や家族から「これでいいのでは?」という意見が出そうですが、今度は1週間もすると、このテープの光に慣れて認識しづらくなって、再び「意識に上らない段差」となってしまうことがあります。したがって、段差をなくすという工事は必須で、テープの貼り付けは、あくまでも緊急対応策なのです。

 4日後には無事、危険な段差はなくなりました。段差がなくなった部分の「隙間風対策」も行いました。加えて、Bさんが毎回ここでドアを開けるときにつかんでいた「柱の汚れ」を訪問時にケアマネが見つけ、柱のその角の部分には縦手すりを取り付けました。
 Bさんも家族も「これで夜中も安心だ」と喜んでいました。

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