連載《プリズム》

自立は持続可能性

自立は持続可能性

「持続可能性」は、今のまま続けていては、その将来がないかも知れないと警鐘を発する言葉である。

  英語では、sustainability(サステナビリティ)。SDGs(エスディージーズ、持続可能な開発目標)の「S」にあたる。SDGsには、「貧困の解消」や「飢餓の解消」「健康や福祉の実現」「教育機会の確保」など、どれも継続的な社会や人々の取組が不可欠な課題が並んでいる。介護人材枯渇の中で、介護保険サービスも「持続可能性」の仲間入りをしている。

 地域リハビリテーション発祥の地ともいえる大阪府大東市の介護保険部門のリーダー、理学療法士の逢坂伸子さんは、地域包括支援センターにリハ職を積極的に配置した。地域の要介護者の今後の動向予測や、支え手である地域住民の展望をみると、今まで続けてきた介護サービスをこれまで通り続けていくのが徐々に困難になるかも知れないという危惧がある。
 
 この危惧の共有こそが「持続可能性」に向き合う大きな力になり、地域での連携を促進させている。「大東元気でまっせ体操」を「座って」「立って」「寝て」の3バージョンにアレンジして、地域の高齢者の通いの場で拡げていった。要支援になっても、もう一度自立をめざして、要支援になったそれぞれの要因を探りリハビリを行って、これまでのように自分でスーパーまで買い物に出かけられるようにめざす。リハ職らのアセスメント力、腕の見せどころだ。本人にとっては、自立に向けた「持続可能性」へのチャレンジといえる。何よりも本人の問題だからだ。同じような状況にある高齢者どうしで、声をかけ合い、がんばり合うことで、お互い、力をもらい合う。
 
 大東市では、歩行補助具などの福祉用具の活用や掃除ロボットの提供などにも力を入れている。つえや歩行器、手すり、はきやすいシューズなどは、離床を促し、高齢者の元気の源となる歩行を支えている。転倒リスクの回避も福祉用具が大きな役割を担っている。

〈シルバー産業新聞2023月3月10日号〉

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