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キャリアアップ助成金の改正/小野山真由美(188)
2022年度は、雇用保険の大幅な変更の年です。まず4月より一般の雇用保険料の事業主負担率が6.5/1000へ、そして10月には8.5/1000へと変更となります。雇用保険を財源としたキャリアアップ助成金の変更にも注意が必要です。今回は、改正点から今後の方向性を読み解き、日ごろの労務管理にいかせるよう解説いたします。
1.キャリアアップ助成金 正社員コース
助成金のなかでも広く知られ、多くの事業所が活用しているキャリアアップ助成金。今年4月から有期から無期への転換コースがまず廃止となりました。この助成金が有期労働者や短時間労働者、派遣労働者といったいわゆる非正規雇用の労働者の企業内でのキャリアアップをより促進することを目的としていることが明確となりました。
2.2022年10月の改正
10月からは社員の定義が厳格になります。正社員の定義は「同一の事業所内の正社員に適用される就業規則が適用されている労働者。ただし『賞与または退職金の制度』かつ『昇給』が適用されている者に限る」で、非正規雇用労働者定義は「賃金の額または計算方法が『正社員と異なる雇用区分の就業規則等』の適用を6カ月以上受けて雇用している有期または無期雇用労働者」です。10月1日に転換を予定している場合、変更に対応する就業規則は最短で6カ月前の4月1日から適用している必要があります。
3.有期労働者へ賞与・退職金
処遇改善支援に関する昨年までの諸手当制度等共通化コースが賞与・退職金制度導入コースと改正されました。これまでに諸手当制度等共通化コースを利用した事業所は支給対象外となります。就業規則等の定めで有期雇用労働者等に関して、賞与・退職金制度を新たに設け、支給または積立を実施した場合に助成されます。こちらの運用を検討される場合はまずは計画届の提出です。せっかくの制度導入も計画期間内でなければ支給されません。
この助成金の変更は、今後の労務管理において賞与と退職金制度の確立を厚生労働省が求めていると読みとれます。
さらに今回の改正では就業規則が明確であることを求め、賞与や昇給基準が「会社が判断した場合」などの記述は認められません。
また、正社員の規程はあっても有期労働者の労働条件が「雇用契約書による」という記載のみで有期労働者用の具体的規程がない場合は不支給となります。昇給や賞与も含めて「正社員」と「有期労働者」の客観的な基準があるかを手元の就業規則をチェックしましょう。「あいまい」な表現や解釈が分かれてしまうような表現があるか見直す機会です。
この助成金の変更は、今後の労務管理において賞与と退職金制度の確立を厚生労働省が求めていると読みとれます。
さらに今回の改正では就業規則が明確であることを求め、賞与や昇給基準が「会社が判断した場合」などの記述は認められません。
また、正社員の規程はあっても有期労働者の労働条件が「雇用契約書による」という記載のみで有期労働者用の具体的規程がない場合は不支給となります。昇給や賞与も含めて「正社員」と「有期労働者」の客観的な基準があるかを手元の就業規則をチェックしましょう。「あいまい」な表現や解釈が分かれてしまうような表現があるか見直す機会です。
(シルバー産業新聞2022年5月10日号)