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2022年度エイジフレンドリー補助金/小野山真由美(192)

2022年度エイジフレンドリー補助金/小野山真由美(192)

 昨年に引き続き今年もエイジフレンドリー補助金(以下「補助金」)の活用が可能です。ただし申請は10月末です。今回はこの補助金の申請にむけた具体的なアドバイスと今後の活用の見通しを解説いたします。


1.対象となる事業者

 この補助金は一般社団法人日本労働安全衛生コンサルタント会(以下「コンサルタント会」)が事務局となっており、現在エイジフレンドリー補助金事務センターを開設しています。対象事業者は▽労働保険に加入していること▽60歳以上の労働者を常時1名以上雇用していること▽中小企業であること――です。介護事業所の場合、常時雇用する労働者が100人以下もしくは資本金が5000万円以下となります。

2.補助内容および申請について

 高齢労働者のための職場環境改善に要した経費(物品の購入・工事の施工等)のうち、2分の1が補助されます。上限額は100万円でこの額には消費税を含みます。

 2020年に発表された「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン(エイジフレンドリーガイドライン)」に目を通していただくと、高齢者の労働災害防止としてどういった取り組みを推奨しているのかを知ることができます。その視点を持って職場を見渡し、補助金の基準を見ると活用のポイントが見えてくるかもしれません。

 交付申請書には対策の必要性や実施方法等を記載し、改善を行う場合は機器設置にかかる図面、写真等の添付、物品を購入する場合はカタログ等の添付、安全衛生教育等を実施する場合は教育内容がわかるカリキュラムの添付が求められています。昨年の実績では、介護事業所は入浴介助時の身体的負担を軽減する機器の申請が多かったそうです。

 ただ、補助金はこれまでの実績をもとに必要性を判断しますので、新しく事業所を開設した場合はこの補助金から外れてしまいます。書類審査となりますので現場の声からそれを改善するのに必要な機器であるということが伝わることを意識し書類作成してください。「この対策は対象になるのだろうか」と疑問をもたれた場合はエイジフレンドリー補助金事務センターへ電話で問い合わせができます。(TEL03・6381・7507、平日10時~16時(昼休み除く))

3.今後の方向性

 熱中症の初期症状等の急変を把握できる小型携帯機器(ウェアラブルデバイス)の導入による健康管理も対象となっていますが、現時点でこの申請は少ないそうです。それは個別の機械やリース契約は補助の対象となっておらず、システムとしての導入が求められているからです。電子機器をインターネットに接続する技術、いわゆるIoTです。

 スマホが普及したように小型携帯機で高齢者を含むすべての労働者の体調の変化を事業所のパソコン等でキャッチし、熱中症のみならず体調の急激な変化に対応する時代が近づいています。補助金の申請から高齢者の労働災害防止の対策と技術開発の方向性を読み取り、今後の事業活動に活かしていきましょう。

(シルバー産業新聞2022年9月16日)

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