生き活きケア

木のおもちゃ作る喜び 被災地でも

木のおもちゃ作る喜び 被災地でも

社会福祉法人おあしす福祉会が運営する「ピアワーク・オアシス」(東京都江東区)は就労継続支援B型・就労移行支援・就労定着支援サービスを提供する。木工製作を作業に取り入れ、利用者の生活意欲に働きかける。被災地支援の一環として、東北や熊本の子どもたちへ木のおもちゃを寄付し続けている。

 作業場の壁一面には、完成した木のおもちゃが無数に格納されている。多いのは動物や乗り物。写真やイラストを添えてオーダーを受けることも多い。「種類は数えきれない」と同事業所サービス管理責任者の武藤康司さんは話す。
よく使用する材料はブナの木。ある程度の固さがあり、白く明るい色が作品を際立たせる。製作担当の石川英五郎さんは「何を、どの大きさで作るかは仕入れた木の寸法次第。できる限り歩留まり率を上げ、材料のロスをなくす」と説明。全く同じ形の作品はできないそうだ。 

 同事業所では木工製作を就労支援サービスの一つとし、現在は10人ほどの利用者が担当。全て手作業で行う。石川さんが電動糸鋸で大まかな形を切り出し、利用者は丁寧にヤスリがけしながら形を整える。接着・組立・塗装まで基本的には一人が一作品を担う。

 完成品は同事業所内の店舗、オンラインで販売。さらに、モノづくりの愛好家やプロも集うクラフト・デザイン系の展示会にも積極的に参加する。「就労への技能習得も重要だが、それ以上に本人の自信や誇りにつながっていることが嬉しい。人にほめられた、役に立ったと実感する機会がほとんど与えられなかった子たちも多い」と石川さん。初めての作品はよく、両親へのプレゼントに勧めるそうだ。

看板で元気づけた阪神・淡路

木工作業を開始したのは約30年前。最初は技術がほぼ皆無で「売れるモノになるには時間がかかると覚悟した」(石川さん)。地域の木工所へ修行に出し、自事業所は下請け作業+就労支援としての立ち位置を狙っていたが、不景気で木工所が次々と閉所。それでも特色のある事業を続けたいと、技術を培ってきた。
木工製作を開始して1年も経たない1995年に阪神・淡路大震災が発生した。現地の共同作業所(福祉作業所)はほぼ全壊。作業・活動再開の目途が立たない中、少しでも復興の後押しになればと、各作業所の名前が入った木の看板を制作、寄贈した。

おもちゃのニーズ、東北で

 2011年の東日本大震災では、発生翌月の4月に武藤さんと管理者の丸橋克也さんの2人が現地入り。仙台を拠点に被災地域を周り、障がい者のニーズ調査と安否確認に奔走したが、「正直、何もできずに帰った」と武藤さんは話す。「在宅の障がい者がどこにいるかが全く把握できなかった。役所では個人情報だからと教えてもらえない。避難所で『障がいのある方はいますか』と声かけしても、本人や家族は手を挙げづらい」 

 木工おもちゃの寄贈は、再び現地入りした際、子どものおもちゃが全部流された話を聞いたことがきっかけ。「実はずっと欲しかったが、震災直後は物資の優先度が高く、言い出せなかったと話してくれた」(武藤さん)。郡山市の保育園からは子どもにおもちゃを作ってほしいという依頼を受け、ピアワークの利用者たちも訪問、その場で木工製作教室を開いた。

 「自閉症では、おもちゃがないと生活が難しい子もいる」と武藤さん。名取市の放課後デイからも声がかかった。こうした活動が地元紙で取り上げられ、依頼が一気に増えた。16年の熊本地震の際には、利用者自らが支援したいと声をあげた。石川さんは「誰かのために何かをするという気持ちが、意欲や行動をこれだけ変える。継続すべき取組みだと実感した」と述べた。

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