介護報酬単価

介護老人福祉施設(地域密着型含む)2021年度介護報酬改定 留意事項

介護老人福祉施設(地域密着型含む)2021年度介護報酬改定 留意事項

(1)常勤(換算)の取扱い
(2)介護保険等関連情報の活用とPDCAサイクルの推進
(3)身体拘束の適正化
(4)サービス担当者会議
(5)栄養管理
(6)口腔衛生の管理
(7)認知症基礎研修の受講
(8)ハラスメント対策
(9)業務継続計画の策定
(10)避難訓練等における地域住民の参加
(11)感染対策
(12)事故の防止・発生時の対応
(13)虐待の防止
(14)勤務体制の確保
(15)電磁的記録・方法
(16)生活機能向上連携加算(Ⅰ)
(17)見守り機器導入による夜勤職員体制のさらなる緩和(加配0.6人または0.8人)
(18)認知症専門ケア加算
(19)ADL維持等加算
(20)栄養マネジメント強化加算
(21)褥瘡マネジメント加算
(22)排せつ支援加算
(23)自立支援促進加算
(24)科学的介護推進体制加算
(25)安全対策体制加算

常勤(換算)の取扱い

 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律第13条第1項に規定する措置(以下「母性健康管理措置」)または育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(以下「育児・介護休業法」)第23条第1項、同条第3項または同法第24条に規定する所定労働時間の短縮等の措置(以下「育児及び介護のための所定労働時間の短縮等の措置」)が講じられている場合、30時間以上の勤務で、常勤換算方法での計算に当たり、常勤の従事者が勤務すべき時間数を満たしたものとし、1として取り扱うことを可能とする。

 また、人員基準において常勤要件が設けられている場合、従事者が労働基準法第65条に規定する休業(以下「産前産後休業」)、母性健康管理措置、育児・介護休業法第2条第1号に規定する育児休業(以下「育児休業」)、同条第2号に規定する介護休業(以下「介護休業」)、同法第23条第2項の育児休業に関する制度に準ずる措置または同法第24 条第1項(第2号に係る部分に限る)の規定により同項第2号に規定する育児休業に関する制度に準じて講ずる措置による休業(以下「育児休業に準ずる休業」)を取得中の期間において、当該人員基準において求められる資質を有する複数の非常勤の従事者を常勤の従業者の員数に換算することにより、人員基準を満たすことが可能であることとする。

介護保険等関連情報の活用とPDCAサイクルの推進

 介護保険法第118条の2第1項に規定する介護保険等関連情報等を活用し、施設単位でPDCAサイクルを構築・推進することにより、提供するサービスの質の向上に努めなければならないこととしたものである。この場合において、「科学的介護情報システム(LIFE:Long-term care Information system For Evidence)」に情報を提出し、当該情報およびフィードバック情報を活用することが望ましい。

身体拘束の適正化

 身体的拘束適正化検討委員会は、運営委員会など他の委員会と独立して設置・運営することが必要であるが、関係する職種、取り扱う事項等が相互に関係が深いと認められる他の会議体を設置している場合、これと一体的に設置・運営できる。身体的拘束適正化検討委員会の責任者はケア全般の責任者であることが望ましい。また、身体的拘束適正化検討委員会には、第三者や専門家を活用することが望ましく、その方策として、精神科専門医等の専門医の活用等が考えられる。

 また、身体的拘束適正化検討委員会は、テレビ電話装置等(リアルタイムでの画像を介したコミュニケーションが可能な機器)を活用して行うことができる。この際、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。

サービス担当者会議

 サービス担当者会議は、テレビ電話装置等を活用して行うことができる。ただし、入所者・家族(以下「入所者等」)が参加する場合、テレビ電話装置等の活用について当該入所者等の同意を得なければならない。なお、テレビ電話装置等の活用に当たっては、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。

栄養管理

 栄養マネジメント加算を廃止し、栄養ケア・マネジメントを基本サービスとして行う。栄養士のみが配置されている施設や栄養士または管理栄養士を置かないことができる施設は、併設施設や外部の管理栄養士の協力により行う。栄養管理について、以下の手順により行う。

 ①入所者の栄養状態を施設入所時に把握し、医師、管理栄養士、歯科医師、看護師、ケアマネジャーその他の職種の者が共同して、入所者ごとの摂食・嚥下機能及び食形態にも配慮した栄養ケア計画を作成する。栄養ケア計画の作成に当たっては、施設サービス計画との整合性を図ること。なお、栄養ケア計画に相当する内容を施設サービス計画の中に記載する場合は、その記載をもって栄養ケア計画の作成に代えることができる。

 ②入所者ごとの栄養ケア計画に従い、管理栄養士が栄養管理を行うとともに、入所者の栄養状態を定期的に記録する。

 ③入所者ごとの栄養ケア計画の進捗状況を定期的に評価し、必要に応じて当該計画を見直す。

 ④栄養ケア・マネジメントの実務等については、「栄養マネジメント加算及び経口移行加算等に関する事務処理手順例及び様式例の提示について」を参考とすること。

 なお、当該義務付けの適用に当たっては3年間の経過措置を設けており、2024年3月31日までの間は努力義務とされている。

口腔衛生の管理

 口腔衛生管理体制加算を廃止し、基本サービスとして行う。

 ①当該施設において、歯科医師または歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、当該施設の介護職員に対する口腔衛生の管理に係る技術的助言および指導を年2回以上行う。

 ②①の技術的助言および指導に基づき、以下(イ)~(ホ)の事項を記載した、入所者の口腔衛生の管理体制に係る計画を作成するとともに、必要に応じて、定期的に当該計画を見直す。なお、口腔衛生の管理体制に係る計画に相当する内容を施設サービス計画の中に記載する場合はその記載をもって口腔衛生の管理体制に係る計画の作成に代えることができる。 (イ)助言を行った歯科医師 (ロ)歯科医師からの助言の要点 (ハ)具体的方策 (ニ)当該施設における実施目標 (ホ)留意事項・特記事項

 ③医療保険において歯科訪問診療料が算定された日に、介護職員に対する口腔清掃等に係る技術的助言および指導または②の計画に関する技術的助言および指導を行うにあたっては、歯科訪問診療または訪問歯科衛生指導の実施時以外の時間帯に行う。

 なお、当該義務付けの適用に当たっては3年間の経過措置を設けており、2024年3月31日までの間は努力義務とされている。

認知症基礎研修の受講

 介護に直接携わる職員のうち、医療・福祉関係の資格を有さない者について、認知症介護基礎研修を受講させるために必要な措置を講じることを義務づけることとしたものであり、これは、介護に関わる全ての者の認知症対応力を向上させ、認知症についての理解の下、本人主体の介護を行い、認知症の人の尊厳の保障を実現していく観点から実施するものであること。

 当該義務付けの対象とならない者は、各資格のカリキュラム等において、認知症介護に関する基礎的な知識および技術を習得している者とすることとし、具体的には、同条第3項において規定されている看護師、准看護師、介護福祉士、ケアマネジャー、実務者研修修了者、介護職員初任者研修修了者、生活援助従事者研修修了者に加え、介護職員基礎研修課程または訪問介護員養成研修課程一級課程・二級課程修了者、社会福祉士、医師、歯科医師、薬剤師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、精神保健福祉士、管理栄養士、栄養士、あん摩マッサージ師、はり師、きゅう師等とする。

 なお、当該義務付けの適用に当たっては3年間の経過措置を設けており、2024年3月31日までの間は、努力義務とされている。介護老人福祉施設は、2024年3月31日までに医療・福祉関係資格を有さない全ての従業者に対し認知症介護基礎研修を受講させるための必要な措置を講じなければならない。また、新卒採用、中途採用を問わず、施設が新たに採用した従業者(医療・福祉関係資格を有さない者に限る。)に対する当該義務付けの適用については、採用後1年間の猶予期間を設けることとし、採用後1年を経過するまでに認知症介護基礎研修を受講させることとする(この場合についても、2024年3月31日までは努力義務で差し支えない)。

ハラスメント対策

 具体的内容および事業主が講じることが望ましい取組を次のとおりとする。なお、セクシュアルハラスメントについては、上司や同僚に限らず、入所者やその家族等から受けるものも含まれる。

イ 事業者が講ずべき措置の具体的内容
 事業者が講ずべき措置の具体的な内容は、事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上構ずべき措置等についての指針および事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上構ずべき措置等についての指針(パワーハラスメント指針)において規定されているとおりであるが、特に留意されたい内容は以下のとおりである。

(a)事業者の方針等の明確化及びその周知・啓発
 職場におけるハラスメントの内容および職場におけるハラスメントを行ってはならない旨の方針を明確化し、従業者に周知・啓発する。

(b)相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
 相談への対応のための窓口をあらかじめ定め、労働者に周知する。

 なお、パワーハラスメント防止のための事業主の方針の明確化等の措置義務については、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律附則第3条の規定により読み替えられた労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律第30条の2第1項の規定により、中小企業(資本金が3億円以下または常時使用する従業員の数が300人以下の企業)は、2022年4月1日から義務化となり、それまでの間は努力義務とされているが、適切な勤務体制の確保等の観点から、必要な措置を講じるよう努められたい。

ロ 事業主が講じることが望ましい取組について
 パワーハラスメント指針においては、顧客等からの著しい迷惑行為(カスタマーハラスメント)の防止のために、事業者が雇用管理上の配慮として行うことが望ましい取組の例として、①相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備、②被害者への配慮のための取組(メンタルヘルス不調への相談対応、行為者に対して1人で対応させない等)および③被害防止のための取組(マニュアル作成や研修の実施等、業種・業態等の状況に応じた取組)が規定されている。介護現場では特に、入所者またはその家族等からのカスタマーハラスメントの防止が求められていることから、イの必要な措置を講じるにあたっては、「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」、「(管理職・職員向け)研修のための手引き」等を参考にした取組を行うことが望ましい。この際、上記マニュアルや手引きについては、厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_05120.html)に掲載しているので参考にされたい。

 加えて、都道府県において、地域医療介護総合確保基金を活用した介護職員に対する悩み相談窓口設置事業や介護事業所におけるハラスメント対策推進事業を実施している場合、事業者が行う各種研修の費用等について助成等を行っていることから、事業主はこれからの活用も含め、施設におけるハラスメント対策を推進することが望ましい。

業務継続計画の策定

 業務継続計画の策定等に係る義務付けの適用は3年間の経過措置を設けており、2024年3月31日までの間は努力義務とする。

 業務継続計画には、以下の項目等を記載する。なお、各項目の記載内容については、「介護施設・事業所における新型コロナウイルス感染症発生時の業務継続ガイドライン」および「介護施設・事業所における自然災害発生時の業務継続ガイドライン」を参照すること。また、想定される災害等は地域によって異なるものであることから、項目については実態に応じて設定すること。なお、感染症及び災害の業務継続計画を一体的に策定することを妨げるものではない。

①感染症に係る業務継続計画
 イ 平時からの備え(体制構築・整備、感染症防止に向けた取組の実施、備蓄品の確保等)
 ロ 初動対応
 ハ 感染拡大防止体制の確立(保健所との連携、濃厚接触者への対応、関係者との情報共有等)

②災害に係る業務継続計画
 イ 平常時の対応(建物・設備の安全対策、電気・水道等のライフラインが停止した場合の対策、必要品の備蓄等)
 ロ 緊急時の対応(業務継続計画発動基準、対応体制等)
 ハ 他施設及び地域との連携

③研修の内容は、感染症および災害に係る業務継続計画の具体的内容を職員間に共有するとともに、平常時の対応の必要性や、緊急時の対応にかかる理解の励行を行う。

 職員教育を組織的に浸透させていくために、定期的(年2回以上)な教育を開催するとともに、新規採用時には別に研修を実施すること。また、研修の実施内容についても記録すること。なお、感染症の業務継続計画に係る研修については、感染症の予防およびまん延の防止のための研修と一体的に実施することも差し支えない。

④訓練(シミュレーション)においては、感染症や災害が発生した場合において迅速に行動できるよう、業務継続計画に基づき、施設内の役割分担の確認、感染症や災害が発生した場合に実践するケアの演習等を定期的(年2回以上)に実施するものとする。なお、感染症の業務継続計画に係る訓練については、感染症の予防およびまん延の防止のための訓練と一体的に実施することも差し支えない。また、災害の業務継続計画に係る訓練については、非常災害対策に係る訓練と一体的に実施することも差し支えない。

 訓練の実施は、机上を含めその実施手法は問わないものの、机上および実地で実施するものを適切に組み合わせながら実施することが適切である。

避難訓練等における地域住民の参加

 日頃から地域住民との密接な連携体制を確保するなど、訓練の実施に協力を得られる体制づくりに努めることが必要である。訓練の実施に当たっては、消防関係者の参加を促し、具体的な指示を仰ぐなど、より実効性のあるものとすること。

感染対策

 感染対策委員会は、テレビ電話装置等を活用して行うことができる。この際、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。

 なお、感染対策委員会は、運営委員会など施設内の他の委員会と独立して設置・運営することが必要であるが、関係する職種、取り扱う事項等が相互に関係が深いと認められる他の会議体を設置している場合、これと一体的に設置・運営してもよい。感染対策担当者は看護師であることが望ましい。

 平時から、実際に感染症が発生した場合を想定し、発生時の対応について、訓練(シミュレーション)を定期的(年2回以上)に行うことが必要である。訓練においては、感染症発生時において迅速に行動できるよう、発生時の対応を定めた指針および研修内容に基づき、施設内の役割分担の確認や、感染対策をした上でのケアの演習などを実施するものとする。

 訓練の実施は、机上を含めその実施手法は問わないものの、机上および実地で実施するものを適切に組み合わせながら実施することが適切である。

 なお、当該義務付けの適用は3年間の経過措置を設けており、2024年3月31日までの間は努力義務とする。

事故の防止・発生時の対応

 事故防止検討委員会は、テレビ電話装置等を活用して行うことができる。この際、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。

 なお、事故防止検討委員会は、運営委員会など他の委員会と独立して設置・運営することが必要であるが、関係する職種、取り扱う事項等が相互に関係が深いと認められる他の会議体を設置している場合、これと一体的に設置・運営してもよい。

 事故発生を防止するための措置を適切に実施するため、専任の担当者を置くことが必要である。当該担当者としては、事故防止検討委員会の安全対策を担当する者と同一の従業者が務めることが望ましい。なお、当該義務付けは6カ月間の経過措置を設けており、2021年9月30日までの間は努力義務とされている。

虐待の防止

次に掲げる観点から虐待の防止に関する措置を講じる。

 ・虐待の未然防止
 高齢者の尊厳保持・人格尊重に対する配慮を常に心がけながらサービス提供にあたる必要があり、研修等を通じて、従業者にそれらに関する理解を促す必要がある。同様に、従業者が高齢者虐待防止法等に規定する施設の従業者としての責務・適切な対応等を正しく理解していることも重要である。

・虐待等の早期発見
 従業者は虐待等を発見しやすい立場にあることから、虐待等を早期に発見できるよう必要な措置(虐待等に対する相談体制、市町村の通報窓口の周知等)がとられていることが望ましい。また、入所者・家族からの虐待等に係る相談、入所者から市町村への虐待の届出について、適切な対応をすること。

・虐待等への迅速かつ適切な対応
 虐待が発生した場合には、速やかに市町村の窓口に通報される必要があり、当該通報の手続が迅速かつ適切に行われ、市町村等が行う虐待等に対する調査等に協力するよう努める。

 以上の観点を踏まえ、虐待等の防止・早期発見に加え、虐待等が発生した場合はその再発を確実に防止するために次に掲げる事項を実施する。なお、当該義務付けの適用は3年間の経過措置を設けており、2024年3月31日までの間は努力義務とされている。

① 虐待の防止のための対策を検討する委員会(第1号)
 「虐待の防止のための対策を検討する委員会」(以下「虐待防止検討委員会」)は、虐待等の発生の防止・早期発見に加え、虐待等が発生した場合はその再発を確実に防止するための対策を検討する委員会であり、管理者を含む幅広い職種で構成する。構成メンバーの責務及び役割分担を明確にするとともに、定期的に開催することが必要である。また、施設外の虐待防止の専門家を委員として積極的に活用することが望ましい。

 一方、虐待等の事案については、虐待等に係る諸般の事情が、複雑かつ機微なものであることが想定されるため、その性質上、一概に従業者に共有されるべき情報であるとは限られず、個別の状況に応じて慎重に対応することが重要である。

 なお、虐待防止検討委員会は、運営委員会など他の委員会と独立して設置・運営することが必要であるが、関係する職種、取り扱う事項等が相互に関係が深いと認められる他の会議体を設置している場合、これと一体的に設置・運営してもよい。また、施設に実施が求められるものであるが、他のサービス事業者との連携等により行ってもよい。また、虐待防止検討委員会は、テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。この際、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。

 虐待防止検討委員会は、具体的には、次の事項について検討する。その際、そこで得た結果(施設における虐待に対する体制、虐待等の再発防止策等)は、従業者に周知徹底を図る必要がある。
イ 虐待防止検討委員会その他施設内の組織に関すること
ロ 虐待の防止のための指針の整備に関すること
ハ 虐待の防止のための職員研修の内容に関すること
ニ 虐待等について、従業者が相談・報告できる体制整備に関すること
ホ 従業者が虐待等を把握した場合に、市町村への通報が迅速かつ適切に行われるための方法に関すること
ヘ 虐待等が発生した場合、その発生原因等の分析から得られる再発の確実な防止策に関すること
ト 前号の再発の防止策を講じた際に、その効果についての評価に関すること

②虐待の防止のための指針(第2号)
次のような項目を盛り込む。
イ 施設における虐待の防止に関する基本的考え方
ロ 虐待防止検討委員会その他施設内の組織に関する事項
ハ 虐待の防止のための職員研修に関する基本方針
ニ 虐待等が発生した場合の対応方法に関する基本方針
ホ 虐待等が発生した場合の相談・報告体制に関する事項
ヘ 成年後見制度の利用支援に関する事項
ト 虐待等に係る苦情解決方法に関する事項
チ 入所者等に対する当該指針の閲覧に関する事項
リ その他虐待の防止の推進のために必要な事項

③虐待の防止のための従業者に対する研修(第3号)
 虐待等の防止に関する基礎的内容等の適切な知識を普及・啓発するものであるとともに、指針に基づき、虐待の防止の徹底を行う。

 職員教育を組織的に徹底させていくためには、指針に基づいた研修プログラムを作成し、定期的な研修(年2回以上)を実施するとともに、新規採用時には必ず虐待の防止のための研修を実施することが重要である。

 また、研修の実施内容についても記録する。研修の実施は、施設内職員研修での研修で差し支えない。

④虐待の防止に関する措置を適切に実施するための担当者(第4号)
 虐待を防止するための体制として、①~③を適切に実施するため、専任の担当者を置く。当該担当者は虐待防止検討委員会の責任者と同一の従業者が務めることが望ましい。

勤務体制の確保

 入居定員が10を超えるユニットを整備する場合、夜勤時間帯(午後10時~翌日午前5時までを含めた連続する16時間で、施設ごとに設定)を含めた介護職員および看護職員の配置の実態を勘案し、次のとおり職員を配置するよう努める。(15 人ユニットの場合は、ユニットごとに1・5人以上)

①日勤時間帯
 ユニットごとに常時1人の配置に加えて、当該ユニットにおいて日勤時間帯(夜勤時間帯に含まれない連続する8時間で、施設ごとに設定)に勤務する別の従業者の1日の勤務時間数の合計を8で除して得た数が、入居者の数が10を超えて1を増すごとに0.1以上となるように介護職員または看護職員を配置するよう努める。

②夜勤時間帯
 2ユニットごとに1人の配置に加えて、当該2ユニットにおいて夜勤時間帯に勤務する別の従業者の1日の勤務時間数の合計を16で除して得た数が、入居者の合計数が20を超えて2またはその端数を増すごとに0.1以上となるように介護職員または看護職員を配置するよう努める。(15人ユニットが2つ(計30 人)の場合は、2ユニットごとに1・5 人以上)

 なお、基準省令第47条第2項第1号および第2号に規定する職員配置に加えて介護職員または看護職員を配置することを努める時間については、日勤時間帯または夜勤時間帯に属していればいずれの時間でも構わず、連続する時間である必要はない。当該ユニットで行われるケアの内容、入居者の状態等に応じて最も配置が必要である時間に充てるよう努めること。

電磁的記録・方法

電磁的記録について

 省令で規定する書面(被保険者証に関するものを除く)の作成、保存等を次に掲げる電磁的記録により行うことができる。

(1)電磁的記録による作成は、施設等の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法または磁気ディスク等をもって調製する方法による。

(2)電磁的記録による保存は、以下のいずれかの方法による。

 ①作成された電磁的記録を事業者等の使用に係る電子計算機に備えられたファイルまたは磁気ディスク等をもって調製するファイルにより保存する

 ②書面に記載されている事項をスキャナ等により読み取ってできた電磁的記録を事業者等の使用に係る電子計算機に備えられたファイルまたは磁気ディスク等をもって調製するファイルにより保存する方法

(3)その他、基準省令第50条第1項において電磁的記録により行うことができるとされているものは、(1)・(2)に準じた方法による。

(4)電磁的記録により行う場合は、「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱のためのガイダンス」および「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。

電磁的方法について

 書面で行うことが規定されているまたは想定される交付等(交付、説明、同意、承諾、締結その他これに類するもの)について、事前に入所者等の承諾を得た上で、次に掲げる電磁的方法によることができる。

(1)電磁的方法による交付は、基準省令第4条第2項から第6項までの規定に準じた方法による。

(2)電磁的方法による同意は、例えば電子メールにより入所者等が同意の意思表示をした場合等が考えられる。なお、「押印についてのQ&A(2020年6月19日内閣府・法務省・経済産業省)」を参考にすること。

(3)電磁的方法による締結は、入所者等・施設等の間の契約関係を明確にする観点から、書面における署名または記名・押印に代えて、電子署名を活用することが望ましい。「押印についてのQ&A」を参考にすること。

(4)その他、基準省令第50条第2項において電磁的方法によることができるとされているものは、(1)~(3)に準じた方法による。ただし、基準省令またはこの通知の規定により電磁的方法の定めがあるものについては、当該定めに従う。

(5)電磁的方法による場合は、「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱のためのガイダンス」および「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守する。

生活機能向上連携加算(Ⅰ)

・訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション、リハビリテーションを実施している医療提供施設の理学療法士等は、当該利用者のADL(寝返り、起き上がり、移乗、歩行、着衣、入浴、排せつ等)およびIADL(調理、掃除、買物、金銭管理、服薬状況等)に関する状況について、訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション、リハビリテーションを実施している医療提供施設の場において把握し、または介護福祉施設の機能訓練指導員等と連携してICTを活用した動画やテレビ電話を用いて把握した上で、機能訓練指導員等に助言を行う。なお、ICTを活用した動画やテレビ電話を用いる場合においては、理学療法士等がADLおよびIADLに関する利用者の状況について適切に把握することができるよう、理学療法士等と機能訓練指導員等で事前に方法等を調整する。

・理学療法士等は、機能訓練指導員等と共同で、3月ごとに1回以上、個別機能訓練の進捗状況等について評価した上で、機能訓練指導員等が利用者・家族(以下「利用者等」)に対して個別機能訓練計画の内容(評価含む)や進捗状況等を説明する。説明は、テレビ電話装置等(リアルタイムでの画像を介したコミュニケーションが可能な機器)を活用して行うことができる。ただしその場合、当該入所者の同意を得なければならない。なお、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等に対応していること。

・個別機能訓練計画に基づき個別機能訓練を提供した初回の月に限り算定できる。なお、理学療法士等の助言に基づき個別機能訓練計画を見直した場合は、本加算を再度算定することは可能であるが、利用者の急性憎悪等により個別機能訓練計画を見直した場合を除き、当該月の翌月・翌々月は算定しない。

見守り機器導入による夜勤職員体制のさらなる緩和(加配0.6人または0.8人)

・ 「見守り機器を安全かつ有効に活用するための委員会」は3月に1回以上行う。テレビ電話装置等(リアルタイムでの画像を介したコミュニケーションが可能な機器)を活用してもよい。この際、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守する。また、管理者だけでなく実際に夜勤を行う職員を含む幅広い職種やユニットリーダー等の役割の者が参画するものとし、実際に夜勤を行う職員の意見を尊重するよう努める。

・インカム(マイクロホンが取り付けられたイヤホン)等の職員間の連絡調整の迅速化に資する機器及び見守り機器の情報を常時受信可能なスマートフォンやタブレット端末等の機器を、全ての夜勤職員が使用し、利用者の状況を常時把握する

・ 「利用者の安全及びケアの質の確保に関する事項」は具体的には次の(1)~(3)を実施する

(1)見守り機器等を使用する場合においても、一律に定時巡回等をとりやめることはせず、個々の利用者の状態に応じて、個別に定時巡視を行う
(2)見守り機器等から得られる睡眠状態やバイタルサイン等の情報を利用者の状態把握に活用する
(3)見守り機器等の使用に起因する事業所内で発生した介護事故またはヒヤリ・ハット事例の状況を把握し、その原因を分析して再発の防止策を検討する

・ 「夜勤を行う職員の負担の軽減および勤務状況への配慮」は具体的に、実際に夜勤を行う職員に対してアンケートやヒアリング等を行い、見守り機器等の導入後における次の事項等を確認し、人員配置の検討等を行う。

(1)ストレスや体調不安等、職員の心身の負担が増えていないか
(2)夜勤時間帯において、負担が過度に増えている時間帯がないか
(3)休憩時間および時間外勤務等の状況

・日々の業務の中で予め時間を定めて見守り機器等の不具合がないことを確認する等のチェックを行う仕組みを設ける。また、見守り機器等のメーカーと連携し、定期的に点検を行う。

・見守り機器等の使用方法の講習やヒヤリ・ハット事例等の周知、その事例を通じた再発防止策の実習等を含む職員研修を定期的に行う。

・3月以上の試行期間を設ける。利用者の安全およやケアの質の確保を前提にしつつ、試行期間中から見守り機器等活用委員会を設置し、見守り機器等の使用後の人員体制とその際の夜勤にあたる職員の負担のバランスに配慮しながら、見守り機器等の使用にあたり必要な人員体制等を検討し、安全体制およびケアの質の確保、職員の負担軽減がはかられていることを確認した上で、「テクノロジーの活用」に係る届出をする。試行期間中は通常の夜勤職員配置加算の要件を満たすこととする。

・届出にあたり、都道府県等が当該委員会における検討状況を確認できるよう、当該委員会の議事概要を提出する。また、介護事業所のテクノロジー活用に関して、厚生労働省が行うケアの質や職員の負担への影響に関する調査・検証等への協力に努める。

認知症専門ケア加算

・「認知症ケアに関する留意事項の伝達または技術的指導に係る会議」は、テレビ電話装置等(リアルタイムでの画像を介したコミュニケーションが可能な機器)を活用して行うことができる。この際、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守する。

ADL維持等加算

・ADLの評価は、一定の研修を受けた者によりBarthel Indexを用いて行う。

・厚生労働省へのADL値の提出は、「科学的介護情報システム」(LIFE)を用いて行う。

・ADL利得は、評価対象利用開始月の翌月から起算して6月目の月に測定したADL値から、評価対象利用開始月に測定したADL値を控除して得た値に、下表の左欄に掲げる者に係る同表の中欄の評価対象利用開始月に測定したADL値に応じて、それぞれ同表の右欄に掲げる値を加えた値を平均して得た値とする。
・ADL利得の平均を計算するにあたり対象とする者は、ADL利得の多い順に上位10%・下位10% に相当する利用者(その数に1未満の端数が生じたときは切り捨て)を除く利用者(以下「評価対象利用者」)とする。

・他の施設や事業所が提供するリハビリテーションを併用している利用者は、リハビリテーションを提供している当該他の施設や事業所と連携してサービスを実施している場合に限り、ADL利得の評価対象利用者に含める。

・2021年度の評価対象期間は、加算算定の開始月の前年同月から12月後までの1年間とする。ただし、2021年4月1日までに算定基準に適合しているものとして都道府県知事に届出を行う場合は、次のいずれかの期間を評価対象期間とすることができる。
(a)2020年4月~21年3月までの期間 (b)2020年1月~12月までの期間

・2022年度以降に加算を算定する場合で、加算取得月の前年同月に、基準に適合しているものとして都道府県知事に届け出ている場合は、届出日から12月後までの期間を評価対象期間とする。

栄養マネジメント強化加算

・常勤換算方式での管理栄養士の員数の算出方法は、以下のとおりとする。なお、当該算出にあたり、調理業務の委託先において配置される栄養士および管理栄養士の数は含めない。

(イ)暦月ごとの職員の勤務延時間数を、当該施設において常勤の職員が勤務すべき時間で除することによって算出するものとし、小数点第2位以下を切り捨てる。やむを得ない事情により、配置されていた職員数が一時的に減少した場合は、1月を超えない期間内に職員が補充されれば、職員数が減少しなかったものとみなす。

(ロ)員数を算定する際の入所者数は、当該年度の前年度(4月1日~翌年3月31日)の平均を用いる(ただし、新規開設または再開の場合は推定数)。この場合、入所者数の平均は、前年度の全入所者の延数を当該前年度の日数で除して得た数とする。この平均入所者の算定に当たっては、小数点第2位以下を切り上げる。

・給食管理を行う常勤の栄養士が1人以上配置されている場合は、当該常勤の栄養士1人に加えて、管理栄養士を常勤換算方式で、入所者の数を70で除して得た数以上配置していることとするが、この場合の「給食管理」は、給食の運営を管理として行う調理管理、材料管理、施設等管理、業務管理、衛生管理及び労働衛生管理を指すものであり、調理業務のみを行っている場合は該当しない。この場合においても、特別な配慮を必要とする場合など、管理栄養士が給食管理を行うことを妨げるものではない。

・低栄養状態のリスク評価は、「栄養マネジメント加算及び経口移行加算等に関する事務処理手順例及び様式例の提示について」に基づき行う。ただし、低栄養状態のリスクが中リスク者のうち、経口による食事の摂取を行っておらず、栄養補給法以外のリスク分類に該当しない場合は、低リスク者に準じた対応とする。

・低栄養リスクが中~高リスク者に対しては以下を実施する
イ 食事の観察については、管理栄養士が行うことを基本とし、必要に応じ、関連する職種と連携して行う。病欠等のやむを得ない事情により、管理栄養士が実施できない場合は、介護職員等の他の職種の者が実施してもよいが、観察した結果を管理栄養士に報告すること。なお、経口維持加算を算定している場合は、当該加算算定に係る食事の観察を兼ねてもよい。

ロ 食事の観察の際に問題点が見られた場合は、速やかに関連する職種と情報共有を行い、必要に応じて栄養ケア計画を見直し、見直し後の計画に基づき対応する。

ハ 当該入所者が退所し、居宅での生活に移行する場合は、入所者または家族に対し、管理栄養士が退所後の食事に関する相談支援を行う。また、他の介護保険施設や医療機関に入所(入院)する場合は、入所中の栄養管理に関する情報(必要栄養量、食事摂取量、嚥下調整食の必要性(嚥下食コード)、食事上の留意事項等)を入所先(入院先)に提供する。

・低栄養状態のリスクが低リスクに該当する者については、食事の観察の際に、あわせて食事の状況を把握し、問題点がみられた場合は、速やかに関連する職種と情報共有し、必要に応じて栄養ケア計画を見直し、見直し後の計画に基づき対応する。

・厚生労働省への情報の提出については、「科学的介護情報システム」(LIFE)を用いる。LIFEへの提出情報、提出頻度等については、「科学的介護情報システム(LIFE)関連加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及
び様式例の提示について」を参照。サービスの質の向上を図るため、LIFEへの提出情報及びフィードバック情報を活用し、利用者の状態に応じた栄養ケア計画の作成(Plan)、当該計画に基づく支援の提供(Do)、当該支援内容の評価(Check)、その評価結果を踏まえた当該計画の見直し・改善(Action)の一連のサイクル(PDCAサイクル)により、サービスの質の管理を行う。

褥瘡マネジメント加算

・評価結果等の情報の提出については、「科学的介護情報システム」(LIFE)を用いて行う。LIFEへの提出情報、提出頻度等については、「科学的介護情報システム(LIFE)関連加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び
様式例の提示について」を参照。

・加算(Ⅱ)は、評価の結果、施設入所時に褥瘡が発生するリスクがあるとされた入所者について、施設入所日の属する月の翌月以降に別紙様式を用いて評価を実施し、別紙様式に示す「持続する発赤(d1)」以上の褥瘡の発症がない場合に算定できる。ただし、施設入所時に褥瘡があった入所者については、当該褥瘡の治癒後に褥瘡の再発がない場合に算定できる。

・加算(Ⅲ)は、2021年3月31日において、21年度改定前の褥瘡マネジメント加算に係る届出を行う施設について、今後LIFEを用いた情報の提出に切り替えるように必要な検討を行うことを前提に、経過措置として2021年度末まで従前の要件での算定を認める。

排せつ支援加算

・加算(Ⅰ)は、入所者全員(加算(Ⅱ)・(Ⅲ)を算定する者を除く)に対して算定できる。

・排せつの状態の評価結果等の情報の提出については、「科学的介護情報システム」(LIFE)を用いる。LIFEへの提出情報、提出頻度等については、「科学的介護情報システム(LIFE)関連加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」を参照。

・「排せつに介護を要する入所者」とは、要介護認定調査の際に用いられる「認定調査員テキスト2009改訂版(2018年4月改訂)」を用いて、排尿または排便の状態が「一部介助」もしくは「全介助」と評価される者、またはおむつを使用している者をいう。

・加算(Ⅳ)は、2021年3月31日において、21年度改定前の排せつ支援加算に係る届出を行う施設について、今後LIFEを用いた情報の提出に切り替えるよう必要な検討を行うことを前提に、経過措置として21年度末まで従前の要件での算定を認める。

自立支援促進加算

・画一的・集団的な介護または個別的ではあっても画一的な支援計画による取組を評価するものではないこと、また、リハビリテーションや機能訓練の実施を評価するものではないことから、個別のリハビリテーションや機能訓練を実施することのみでは加算の対象とはならない。

・医学的評価は、医師が必要に応じて関連職種と連携し、別紙様式を用いて、当該時点における自立支援に係る評価に加え、特別な支援を実施することによる入所者の状態の改善可能性等について実施する

・支援計画は関係職種が共同し、別紙様式を用いて、訓練の提供に係る事項(離床・基本動作、ADL動作、日々の過ごし方および訓練時間等)の全ての項目について作成する。作成にあたっては医学的評価および支援実績等に基づき、個々の入所者の特性に配慮しながら個別に作成し、画一的な支援計画とならないよう留意する。

・支援計画の各項目は原則として以下のとおり実施する。その際、入所者・家族の希望も確認し、入所者の尊厳が支援に当たり十分保持されるように留意すること。
(a)寝たきりによる廃用性機能障害を防ぐために、離床、座位保持または立ち上がりを計画的に支援する。
(b)食事は、本人の希望に応じ、居室外で、車椅子ではなく普通の椅子を用いる等、施設においても、本人の希望を尊重し、自宅等におけるこれまでの暮らしを維持できるようにする。食事の時間や嗜好等への対応について、画一的ではなく、個人の習慣や希望を尊重する。
(c)排せつは、入所者ごとの排せつリズムを考慮しつつ、プライバシーに配慮したトイレを使用することとし、特に多床室においては、ポータブルトイレの使用を前提とした支援計画を策定してはならない。
(d)入浴は、特別浴槽ではなく、一般浴槽での入浴とし、回数やケアの方法についても、個人の習慣や希望を尊重する。
(e)生活全般において、入所者本人や家族と相談し、可能な限り自宅での生活と同様の暮らしを続けられるようにする。
(f)リハビリテーションおよび機能訓練の実施については、本加算において評価をするものではないが、医学的評価に基づき、必要な場合は、入所者本人や家族の希望も確認して施設サービス計画の見直しを行う。

・医学的評価の結果等の情報の提出については、「科学的介護情報システム」(LIFE)を用いる。提出する評価結果等とは、別紙様式に規定する現状の評価、支援の実施による改善の可能性、要因分析および支援計画の内容とし、情報の提出は、当該評価等を実施した日または当該計画を策定した日の属する月の末日までに、その全てを遅滞なく提出することとする。

科学的介護推進体制加算

・入所者全員に対して算定できる

・情報の提出については「科学的介護情報システム」(LIFE)を用いる。LIFEへの提出情報、提出頻度等については、「科学的介護情報システム(LIFE)関連加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」を参照。

・入所者に提供する施設サービスの質を常に向上させていくため、具体的には次のような一連の取組が求められる。したがって、情報を厚生労働省に提出するだけでは、本加算の算定対象とはならない。
(イ)入所者の心身の状況等に係る基本的な情報に基づき、適切なサービスを提供するための施設サービス計画を作成する(Plan)。
(ロ)サービスの提供に当たっては、施設サービス計画に基づいて、入所者の自立支援や重度化防止に資する介護を実施する(Do)。
(ハ)LIFEへの提出情報及びフィードバック情報等も活用し、多職種が共同して、施設の特性やサービス提供の在り方について検証を行う(Check)。
(ニ)検証結果に基づき、入所者の施設サービス計画を適切に見直し、施設全体として、サービスの質の更なる向上に努める(Action)。

安全対策体制加算

・安全対策に係る外部研修については、介護現場における事故の内容、発生防止の取組、発生時の対応、施設のマネジメント等の内容を含むものであること。2021年10月31日までの間にあっては、研修を受講予定(21年4月以降、受講申込書等を有している場合)であれば、研修を受講した者とみなすが、21年10月31日までに研修を受講していない場合には、21年4月~10月に算定した当該加算については、遡り返還する。また、組織的な安全対策を実施するにあたっては、施設内において安全管理対策部門を設置し、事故の防止に係る指示や事故が生じた場合の対応について、適切に従業者全員に行き渡るような体制を整備していることが必要である。

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