介護報酬単価

認知症対応型共同生活介護 2021年度介護報酬改定 留意事項

認知症対応型共同生活介護 2021年度介護報酬改定 留意事項

(1)常勤(換算)の取扱い
(2)サテライト型事業所
(3)夜勤職員の配置
(4)身体的拘束適正化検討委員会
(5)認知症介護基礎研修の受講
(6)ハラスメント対策
(7)業務継続計画の策定
(8)感染対策
(9)虐待の防止
(10)運営推進会議
(11)短期利用
(12)医療連携体制加算
(13)生活機能向上連携加算(Ⅰ)
(14)栄養管理体制加算
(15)口腔衛生管理体制加算
(16)口腔・栄養スクリーニング加算
(17)科学的介護推進体制加算

常勤(換算)の取扱い

 「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」第13条第1項に規定する措置(以下、「母性健康管理措置」)または育児・介護休業法第23条第1項、同条第3項または同法第24条に規定する所定労働時間の短縮等の措置(育児及び介護のための所定労働時間の短縮等の措置)が講じられている場合、30時間以上の勤務で、常勤換算方法での計算に当たり、常勤の従業者が勤務すべき時間数を満たしたものとし、1として取り扱うことを可能とする。

 また、人員基準において常勤要件が設けられている場合、従事者が労働基準法第65条に規定する休業(産前産後休業)、母性健康管理措置、育児・介護休業法第2条第1号に規定する育児休業、同条第2号に規定する介護休業、同法第23条第2項の育児休業に関する制度に準ずる措置または同法第24条第1項(第2号に係る部分に限る)の規定により同項第2号に規定する育児休業に関する制度に準じて講ずる措置による休業(育児休業に準ずる休業)を取得中の期間において、当該人員基準において求められる資質を有する複数の非常勤の従事者を常勤の従業者の員数に換算することにより、人員基準を満たすことが可能であることとする。

サテライト型事業所

・居宅サービス事業等その他の保健医療または福祉に関する事業について3年以上の経験を有する必要があるが、この場合、指知症対応型共同生活介護以外の事業の経験についても算入できる。また、「3年以上の経験」については、当該指定日において満たしている必要があり、休止等、事業を運営していない期間は除いて計算する。

・本体事業所(認知症対応型共同生活介護事業所であって、当該事業所に対する支援機能を有する事業所)を有する必要があるが、ここでいう「支援機能を有する事業所」については、当該本体事業所が次のいずれかに該当する。

a 事業開始以降1年以上本体事業所としての実績を有する
b 当該本体事業所の共同生活住居の利用者の合計数が、当該本体事業所の共同生活住居において定められた入居定員の合計数の100分の70を超えたことがあること

・本体事業所とサテライト事業所は、同一の日常生活圏域内に所在することが望ましいが、隣接する市町村における認知症対応型共同生活介護事業所とすることも差し支えない。

・市町村長は、サテライト事業所の指定に当たっては、他の地域密着型サービスの指定の場合と同様、あらかじめ市町村に設置される地域密着型サービス運営委員会等の意見を聴き、必要があると認められる場合は、指定の際に条件を付す等により、事業の適正な運営に当たっての措置を講ずること。

夜勤職員の配置

 3ユニットの場合、全てのユニットが同一階に隣接し、介護従業者が円滑に利用者の状況把握を行い、速やかな対応を行うことが可能となる構造である場合、当該認知症対応型共同生活介護事業者によって夜間の勤務に関するマニュアルの策定や避難訓練の実施といった安全対策が行われ、利用者の安全性が確保されていると認められている場合に限り、夜勤職員を2人以上とすることができる。

 マニュアルの策定や避難訓練の実施にあたっては、基準第108条において準用する第82条の2において定められた非常災害に関する具体的な計画や訓練の実施において、夜間および深夜の時間帯の勤務を想定した内容を取り扱うことで差し支えない。

 なお、事業所の判断により、人員配置基準を満たす2人以上の夜勤職員を配置した上で、さらに他の職員を配置する場合については、宿直体制で配置することも可能である。宿直勤務を行う介護従業者を置く際の夜間および深夜の時間帯の設定にあたっては、「社会福祉施設における宿直勤務の取り扱いについて」に準じて適切に行う。

身体的拘束適正化検討委員会

 関係する職種、取り扱う事項等が相互に関係が深いと認められる他の会議体を設置している場合、これと一体的に設置・運営することとして差し支えない。

 また、テレビ電話装置等を活用して行うことができる。この際、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。

認知症介護基礎研修の受講

 介護に直接携わる職員のうち、医療・福祉関係の資格を有さない者について、認知症介護基礎研修を受講させるために必要な措置を講じることを義務づけることとしたものであり、これは、介護に関わる全ての者の認知症対応力を向上させ、 認知症についての理解の下、本人主体の介護を行い、認知症の人の尊厳の保障を実現していく観点から実施するものであること。

 当該義務付けの対象とならない者は、各資格のカリキュラム等において、認知症介護に関する基礎的な知識及び技術を習得している者とすることとし、具体的には、看護師、准看護師、介護福祉士、介護支援専門員、実務者研修修了者、介護職員初任者研修修了者、生活援助従事者研修修了者、介護職員基礎研修課程、訪問介護員養成研修一級課程・二級課程修了者、社会福祉士、 医師、歯科医師、薬剤師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、精神保健福祉士、管理栄養士、栄養士、あん摩マッサージ師、はり師、きゅう師等とする。

 なお、当該義務付けの適用には、3年間の経過措置を設けており、2024年3月31日までの間は、努力義務とされている。2024年3月31日までに医療・福祉関係資格を有さない全ての訪問入浴介護従業者に対し認知症介護基礎研修を受講させるための必要な措置を講じなければならない。また、新規採用、中途採用を問わず、事業所が新たに採用した従業者(医療・福祉関係資格を有さない者に限る)に対する当該義務付けの適用については、採用後1年間の猶予期間を設けることとし、採用後1年を経過するまでに認知症介護基礎研修を受講させる(この場合も2024年3月31日までは努力義務)

ハラスメント対策

 事業主が講ずべき措置の具体的内容および講じることが望ましい取組については、次のとおりとする。なお、セクシュアルハラスメントについては、上司や同僚に限らず、利用者やその家族等から受けるものも含まれる。

イ 事業主が講ずべき措置の具体的内容
事業主が講ずべき措置の具体的な内容は、「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」および「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上構ずべき措置等についての指針」(以下、「パワーハラスメント指針」)において規定されている通りであるが、特に留意されたい内容は以下のとおりである。

(a)事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
 職場におけるハラスメントの内容、職場におけるハラスメントを行ってはならない旨の方針を明確化し、従業者に周知・啓発する。
(b)相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備相談への対応のための窓口をあらかじめ定め、労働者に周知する。

 なお、パワーハラスメント防止のための事業主の方針の明確化等の措置義務については、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律」附則第3条の規定により読み替えられた「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」第30条の2第1項の規定により、中小企業(資本金が3億円以下または常時使用する従業員の数が300人以下の企業)は、2022年4月1日から義務化となり、それまでの間は努力義務とされているが、適切な勤務体制の確保等の観点から、必要な措置を講じるよう努める。

ロ 事業主が講じることが望ましい取組について
パワーハラスメント指針は、顧客等からの著しい迷惑行為(カスタマーハラスメント)の防止のために、事業主が雇用管理上の配慮として行うことが望ましい取組の例として、①相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備②被害者への配慮のための取組 (メンタルヘルス不調への相談対応、行為者に対して1人で対応させない等)③被害防止のための取組(マニュアル作成や研修の実施等、業種・業態等の状況に応じた取組)が規定されている。介護現場では特に、利用者、家族等からのカスタマーハラスメントの防止が求められていることから、イ(事業者が講ずべき措置の具体的内容)の必要な措置を講じるにあたっては、「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」「(管理職・職員向け)研修のための手引き」等を参考にした取組を行うことが望ましい。この際、上記マニュアルや手引きについては、以下の厚生労働省ホームページに掲載しているので参考にされたい https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_05120.html

 加えて、都道府県において、地域医療介護総合確保基金を活用した 介護職員に対する悩み相談窓口設置事業や介護事業所におけるハラスメント対策推進事業を実施している場合、事業主が行う各種研修の費用等について助成等を行っていることから、事業主はこれからの活用も含め、介護事業所におけるハラスメント対策を推進することが望ましい。

業務継続計画の策定

 業務継続計画の策定、研修、訓練の実施は、他のサービス事業者との連携等により行うことも差し支えない。また、感染症や災害が発生した場合には、従業者が連携し取り組むことが求められることから、研修、訓練の実施は、全ての従業者が参加できるようにすることが望ましい。3年間の経過措置を設けており、2024年3月31日までの間は努力義務とする。

 業務継続計画には、以下の項目等を記載する。なお、各項目の記載内容については、「介護施設・事業所における新型コロナウイルス感染症発生時の業務継続ガイドライン」および「介護施設・事業所における自然災害発生時の業務継続ガイドライン」を参照されたい。また、想定される災害等は地域によって異なるものであることから、項目については実態に応じて設定すること。なお、感染症及び災害の業務継続計画を一体的に策定することを妨げるものではない。

イ 感染症に係る業務継続計画
 a 平時からの備え(体制構築・整備、感染症防止に向けた取組の実施、備蓄品の確保等)
 b 初動対応
 c 感染拡大防止体制の確立(保健所との連携、濃厚接触者への対応、 関係者との情報共有等)

ロ 災害に係る業務継続計画
 a 平常時の対応(建物・設備の安全対策、電気・水道等のライフラインが停止した場合の対策、必要品の備蓄等)
 b 緊急時の対応(業務継続計画発動基準、対応体制等)
 c 他施設、地域との連携

 研修の内容は、感染症および災害に係る業務継続計画の具体的内容を職員間に共有するとともに、平常時の対応の必要性や、緊急時の対応にかかる理解の励行を行うものとする。 職員教育を組織的に浸透させていくために、定期的(年2回以上)な教育を開催するとともに、新規採用時には別に研修を実施することが望ましい。研修の実施内容についても記録すること。なお、感染症の業務継続計画に係る研修は、感染症の予防及びまん延の防止のための研修と一体的に実施できる。

 訓練(シミュレーション)は、感染症や災害が発生した場合において迅速に行動できるよう、業務継続計画に基づき、事業所内の役割分担の確認、感染症や災害が発生した場合に実践するケアの演習等を定期的(年2回以上)に実施する。なお、感染症の業務継続計画に係る訓練については、感染症の予防及びまん延の防止のための訓練と一体的に実施することも差し支えない。 訓練の実施は、机上を含めその実施手法は問わないものの、机上および実地で実施するものを適切に組み合わせながら実施することが適切である。

感染対策

 感染症が発生、またはまん延しないように講ずべき措置は、具体的には次のイからハまでの取扱いとする。各事項について、他のサービス事業者との連携等により行うことも差し支えない。なお当該義務付けの適用は、3年間の経過措置を設けており、2024年3月31日までの間は努力義務とされている。

イ 感染対策委員会
 構成メンバーの責任および役割分担を明確にするとともに、専任の感染対策担当者を決めておくことが必要。感染対策委員会は、おおむね6月に1回以上、定期的に開催するとともに、感染症が流行する時期等を勘案して必要に応じ随時開催する必要がある。感染対策委員会は、テレビ電話装置等を活用して行うことができる。この際、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守する。
 
 なお、感染対策委員会は、他の会議体を設置している場合、これと一体的に設置・運営することとして差し支えない。また、他のサービス事業者との連携等により行うことも差し支えない。

ロ 感染症の予防及びまん延の防止のための指針
 「感染症の予防及びまん延の防止のための指針」には、平常時の対策および発生時の対応を規定する。平常時の対策は、事業所内の衛生管理(環境の整備等)、ケアにかかる感染対策(手洗い、標準的な予防策)等、発生時の対応は、発生状況の把握、感染拡大の防止、医療機関や保健所、市町村における事業所関係課等の関係機関との連携、行政等への報告等が想定される。また、発生時における事業所内の連絡体制や上記の関係機関への連絡体制を整備し、明記しておくことも必要。 なお、それぞれの項目の記載内容の例は、「介護現場における感染対策の手引き」を参照されたい。

ハ 感染症の予防、まん延の防止のための研修・訓練
 研修の内容は、感染対策の基礎的内容等の適切な知識を普及・啓発するとともに、当該事業所における指針に基づいた衛生管理の徹底や衛生的なケアの励行を行う。職員教育を組織的に浸透させていくには、当該事業所が定期的な教育(年2回以上)を開催するとともに、新規採用時には感染対策研修を実施することが望ましい。また、研修の実施内容も記録が必要。なお、研修の実施は、厚生労働省「介護施設・事業所の職員向け感染症対策力向上のための研修教材」等を活用するなど、事業所内で行うものでも差し支えなく、当該事業所の実態に応じ行うこと。

 また、平時から、実際に感染症が発生した場合を想定し、発生時の対応について、訓練(シミュレーション)を定期的(年2回以上)に行うことが必要。訓練は、感染症発生時において迅速に行動できるよう、発生時の対応を定めた指針および研修内容に基づき、事業所内の役割分担の確認や、感染対策をした上でのケアの演習などを実施する。 訓練の実施は、机上を含めその実施手法は問わないものの、机上および実地で実施するものを適切に組み合わせながら実施することが適切。

虐待の防止

 次に掲げる観点から虐待の防止に関する措置を講じる。

・虐待の未然防止
 高齢者の尊厳保持・人格尊重に対する配慮を常に心がけながらサービス提供にあたる必要があり、第3条の一般原則に位置付けられているとおり、研修等を通じて、従業者にそれらに関する理解を促す必要がある。同様に、従業者が
高齢者虐待防止法等に規定する養介護事業の従業者としての責務・適切な対応等を正しく理解していることも重要である。

・虐待等の早期発見
 従業者は、虐待等またはセルフ・ネグレクト等の虐待に準ずる事案を発見しやすい立場にあることから、これらを早期に発見できるよう、必要な措置(虐待等に対する相談体制、市町村の通報窓口の周知等)がとられていることが望ましい。また、利用者及びその家族からの虐待等に係る相談、利用者から市町村への虐待の届出について、適切な対応をすること。

・虐待等への迅速かつ適切な対応
 虐待が発生した場合には、速やかに市町村の窓口に通報される必要があり、事業者は当該通報の手続が迅速かつ適切に行われ、市町村等が行う虐待等に対する調査等に協力するよう努める。

 以上の観点を踏まえ、虐待等の防止・早期発見に加え、虐待等が発生した場合はその再発を確実に防止するために次に掲げる事項を実施する。なお、当該義務付けの適用は3年間の経過措置を設けており、2024年3月31日までの間は努力義務とされている。

① 虐待の防止のための対策を検討する委員会(第1号)
 「虐待の防止のための対策を検討する委員会」(以下「虐待防止検討委員会」)は、虐待等の発生の防止・早期発見に加え、虐待等が発生した場合はその再発を確実に防止するための対策を検討する委員会であり、管理者を含む幅広い職種で構成する。構成メンバーの責務及び役割分担を明確にするとともに、定期的に開催することが必要である。また、施設外の虐待防止の専門家を委員として積極的に活用することが望ましい。

 一方、虐待等の事案については、虐待等に係る諸般の事情が、複雑かつ機微なものであることが想定されるため、その性質上、一概に従業者に共有されるべき情報であるとは限られず、個別の状況に応じて慎重に対応することが重要である。

 なお、虐待防止検討委員会は、運営委員会など他の委員会と独立して設置・運営することが必要であるが、関係する職種、取り扱う事項等が相互に関係が深いと認められる他の会議体を設置している場合、これと一体的に設置・運営してもよい。また、施設に実施が求められるものであるが、他のサービス事業者との連携等により行ってもよい。また、虐待防止検討委員会は、テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。この際、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。

 虐待防止検討委員会は、具体的には、次の事項について検討する。その際、そこで得た結果(施設における虐待に対する体制、虐待等の再発防止策等)は、従業者に周知徹底を図る必要がある。
イ 虐待防止検討委員会その他施設内の組織に関すること
ロ 虐待の防止のための指針の整備に関すること
ハ 虐待の防止のための職員研修の内容に関すること
ニ 虐待等について、従業者が相談・報告できる体制整備に関すること
ホ 従業者が虐待等を把握した場合に、市町村への通報が迅速かつ適切に行われるための方法に関すること
ヘ 虐待等が発生した場合、その発生原因等の分析から得られる再発の確実な防止策に関すること
ト 前号の再発の防止策を講じた際に、その効果についての評価に関すること

②虐待の防止のための指針(第2号)
次のような項目を盛り込む。
イ 施設における虐待の防止に関する基本的考え方
ロ 虐待防止検討委員会その他施設内の組織に関する事項
ハ 虐待の防止のための職員研修に関する基本方針
ニ 虐待等が発生した場合の対応方法に関する基本方針
ホ 虐待等が発生した場合の相談・報告体制に関する事項
ヘ 成年後見制度の利用支援に関する事項
ト 虐待等に係る苦情解決方法に関する事項
チ 入所者等に対する当該指針の閲覧に関する事項
リ その他虐待の防止の推進のために必要な事項

③虐待の防止のための従業者に対する研修(第3号)
 虐待等の防止に関する基礎的内容等の適切な知識を普及・啓発するものであるとともに、指針に基づき、虐待の防止の徹底を行う。

 職員教育を組織的に徹底させていくためには、指針に基づいた研修プログラムを作成し、定期的な研修(年2回以上)を実施するとともに、新規採用時には必ず虐待の防止のための研修を実施することが重要である。

 また、研修の実施内容についても記録する。研修の実施は、施設内職員研修での研修で差し支えない。

④虐待の防止に関する措置を適切に実施するための担当者(第4号)
 虐待を防止するための体制として、①~③を適切に実施するため、専任の担当者を置く。当該担当者は虐待防止検討委員会の責任者と同一の従業者が務めることが望ましい。

運営推進会議

・認知症対応型共同生活介護事業所は、1年に1回以上、サービスの改善及び質の向上を目的として、各事業所が自ら提供するサービスについて評価・点検(自己評価)を行うとともに、当該自己評価結果について、運営推進会議において第三者の観点からサービスの評価(外部評価)を行うことができることとし、実施にあたっては以下の点に留意する。また、外部評価を行う運営推進会議は単独開催で行う。

イ 自己評価は、事業所が自ら提供するサービス内容について振り返りを行い、認知症対応型共同生活介護事業所として提供するサービスについて個々の従業者の問題意識を向上させ、事業所全体の質の向上につなげていくことを目指す。

ロ 外部評価は、運営推進会議において、当該事業所が行った自己評価結果に基づき、当該事業所で提供されているサービスの内容や課題等について共有を図るとともに、利用者のほか、市町村職員、地域住民の代表者等が第三者の観点から評価を行うことにより、新たな課題や改善点を明らかにすることが必要。

ハ このようなことから、運営推進会議において当該取組を行う場合には、市町村職員または地域包括支援センター職員、認知症対応型共同生活介護に知見を有し公正・中立な第三者の立場にある者の参加が必要。

ニ 自己評価結果および外部評価結果は、利用者・家族へ提供するとともに、「介護サービスの情報公表制度」に基づく介護サービス情報公表システムを活用し公表することが考えられるが、法人のホームページへの掲載、事業所内の外部の者にも確認しやすい場所への掲示、市町村窓口や地域包括支援センターへの掲示等により公表することも差し支えない。

ホ 認知症対応型共同生活介護の特性に沿った自己評価および外部評価の在り方については、2016年度老人保健健康増進等事業「認知症グループホームにおける運営推進会議及び外部評価のあり方に関する調査研究事業」(公益社団法人日本認知症グループホーム協会)(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/94_nihonGHkyoukai.pdf)を参考に行うものとし、サービスの改善および質の向上に資する適切な手法により行う。

短期利用

・個室以外であっても、1人当たりの床面積がおおむね7.43㎡以上で、プライバシーの確保に配慮した個室的なしつらえを整備している場合は、個室に準じて取り扱って差し支えない。この場合の「プライバシーの確保に配慮した個室的なしつらえ」とは、可動でないもので隔てることまでを要するものではないが、視線が遮断されることを前提とする。建具による仕切りは認めるが、家具やカーテン、簡易パネルによる仕切りでは不可とする。また、天井から隙間が空いていることは認める。

医療連携体制加算

・「呼吸障害等により人工呼吸器を使用している状態」は、当該月において1週間以上人工呼吸または間歇的陽圧呼吸を行っていること。

・「中心静脈注射を実施している状態」は、中心静脈注射により薬剤の投与をされている利用者または心静脈栄養以外に栄養維持が困難な利用者であること。

・「人工腎臓を実施している状態」は、当該月において人工腎臓を実施しているものであること。

・「重篤な心機能障害、呼吸障害等により常時モニター測定を実施している状態」は、重症不整脈発作を繰り返す状態、収縮期血圧90mmHg 以下が持続する状態または酸素吸入を行っても動脈血酸素飽和度90%以下の状態で常時、心電図、血圧または動脈血酸素飽和度のいずれかを含むモニタリングを行っていること。

・「人工膀胱又は人工肛門の処置を実施している状態」は、当該利用者に対して、人工膀胱または人工肛門に係る皮膚の炎症等に対するケアを行った場合であること。

・「褥瘡に対する治療を実施している状態」は、以下のいずれかの分類に該当し、かつ、当該褥瘡に対して必要な処置を行った場合に限る。

 第一度 皮膚の発赤が持続している部分があり、圧迫を取り除いても消失しない(皮膚の損傷はない)
 第二度 皮膚層の部分的喪失(びらん、水疱、浅いくぼみとして表れるもの)がある
 第三度 皮膚層がなくなり潰瘍が皮下組織にまで及ぶ。深いくぼみとして表れ、隣接組織まで及んでいることもあれば、及んでいないこともある
 第四度 皮膚層と皮下組織が失われ、筋肉や骨が露出している

・「気管切開が行われている状態」は、気管切開が行われている利用者について、気管切開に係るケアを行った場合であること。

生活機能向上連携加算(Ⅰ)

・訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション、リハビリテーションを実施している医療提供施設の理学療法士等は、当該利用者のADL(寝返り、起き上がり、移乗、歩行、着衣、入浴、排せつ等)およびIADL(調理、掃除、買物、金銭管理、服薬状況等)に関する状況について、訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション、リハビリテーションを実施している医療提供施設の場において把握し、または認知症対応型共同生活介護事業所の計画作成担当者と連携してICTを活用した動画やテレビ電話を用いて把握した上で、計画作成担当者に助言を行う。なお、ICTを活用した動画やテレビ電話を用いる場合においては、理学療法士等がADLおよびIADLに関する利用者の状況について適切に把握することができるよう、理学療法士等と計画作成担当者で事前に方法等を調整する。

・理学療法士等は、計画作成担当者と共同で、3月ごとに1回以上、個別機能訓練の進捗状況等について評価した上で、計画作成担当者が利用者・家族(以下「利用者等」)に対して個別機能訓練計画の内容(評価含む)や進捗状況等を説明する。説明は、テレビ電話装置等(リアルタイムでの画像を介したコミュニケーションが可能な機器)を活用して行うことができる。ただしその場合、当該利用者の同意を得なければならない。なお、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等に対応していること。

・個別機能訓練計画に基づき個別機能訓練を提供した初回の月に限り算定できる。なお、理学療法士等の助言に基づき個別機能訓練計画を見直した場合は、本加算を再度算定することは可能であるが、利用者の急性憎悪等により個別機能訓練計画を見直した場合を除き、当該月の翌月・翌々月は算定しない。

・3月経過後、目標の達成度合いにつき、利用者およ理学療法士等に報告する。なお、再度助言に基づき認知症対応型共同生活介護計画を見直した場合には、本加算の算定が可能である。

栄養管理体制加算

・「栄養ケアに係る技術的助言及び指導」とは、当該事業所における利用者の低栄養状態の評価方法、栄養ケアに関する課題(食事中の傾眠、拒食、徘徊・多動等)への対応方法、食形態の調整および調理方法その他当該事業所において日常的な栄養ケアの実施にあたり必要と思われる事項のうち、いずれかに係る技術的助言および指導をいうものであって、利用者ごとの栄養ケア・マネジメントをいうものではない。

・「栄養ケアに係る技術的助言および指導」を行うにあたって、以下の事項を記録する。

 イ 当該事業所において利用者の栄養ケアを推進するための課題
 ロ 当該事業所における目標
 ハ 具体的方策
 ニ 留意事項
 ホ その他必要と思われる事項

口腔衛生管理体制加算

・「口腔ケアに係る技術的助言および指導」は、テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。なお、テレビ電話装置等の活用に当たっては、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。

口腔・栄養スクリーニング加算

・口腔スクリーニング、および栄養スクリーニングは、利用者ごとに行われるケアマネジメントの一環として行われる。

・口腔スクリーニングは、利用者について、それぞれ次に掲げる確認を行い、確認した情報をケアマネジャーに提供する。
 a 硬いものを避け、柔らかいものを中心に食べる者
 b 入れ歯を使っている者
 c むせやすい者

科学的介護推進体制加算

①原則として利用者全員を対象として、要件を満たした場合に、当該事業所の利用者全員に対して算定できる。

②情報の提出は、LIFEを用いて行う。LIFEへの提出情報、提出頻度等については、「科学的介護情報システム(LIFE)関連加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」を参照されたい。

③事業所は、利用者に提供するサービスの質を常に向上させていくため、計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Action)のサイクル(PDCAサイクル)により、質の高いサービスを実施する体制を構築するとともに、その更なる向上に努めることが重要であり、具体的には、次のような一連の取組が求められる。したがって、情報を厚生労働省に提出するだけでは、本加算の算定対象とはならない。

イ 利用者の心身の状況等に係る基本的な情報に基づき、適切なサービスを提供するためのサービス計画を作成する(Plan)。ロ サービスの提供に当たっては、サービス計画に基づいて、利用者の自立支援や重度化防止に資する介護を実施する(Do)

ハ LIFEへの提出情報およびフィードバック情報等も活用し、多職種が共同して、事業所の特性やサービス提供の在り方について検証を行う(Check)

ニ 検証結果に基づき、利用者のサービス計画を適切に見直し、事業所全体として、サービスの質の更なる向上に努める(Action)

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