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小規模施設のスプリンクラー設置 厚労省も助成制度

小規模施設のスプリンクラー設置 厚労省も助成制度

 消防法施行令の改正に伴い、延べ床面積に関係なく「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)」や「小規模多機能型居宅介護」「ケアハウス」などにスプリンクラー設備等の設置が求められるようになった。

 例外として、天井や床に不燃性の高いものが使用されている場合や、上層階でも入居者の自室から直接避難できる構造など、延焼抑制構造をもつ場合は設置を免除する規定もある。また、障がい者施設等で、避難に介助が必要な者が多数を占めない場合で、床面積275㎡未満の施設であれば義務付けをしない。

 施行は2015年4月1日だが、既存施設については18年4月まで猶予期間を設定する。

宿泊を伴うサービス事業所が対象

 背景には、昨年2月に長崎市の認知症高齢者グループホームで発生した火災死亡事故など、高齢者を巻き込んだ痛ましい事故が止まないことがある。

 相次ぐ惨事に、消防庁も、それまで設置義務のなかった(実質的に)宿泊を伴う小規模な高齢者施設等のすべてに、スプリンクラー設備等の設置を義務付けることとした。

 今後、15年4月の法律施行(既存施設は18年4月まで猶予)に向け、介護事業者の関心が高まると予想される。

 厚生労働省でも、今回の消防法施行令改正に関連して、2月に成立した13年度補正予算で「社会福祉施設の防災対策等の推進に係る事業」として60億円を確保し「1㎡あたり9,000円」の費用助成のほか、「消火ポンプ設置に最大225万円まで加算」を実施するなど、法令に求められる要件を満たすために、一層の設置促進を図ることになる。

夜勤体制など配慮機器連動で消防通報も義務化

 ほかにも省令に、火災報知設備の感知器の作動と連動して、自動的に消防機関に通報する仕組みが義務付けられる。実施までには3年程度の猶予期間を予定。

 背景には、昨年の長崎県のグループホーム火災を受け、消防庁主催の検討会報告書に「自動火災報知設備の鳴動後に火災通報装置の操作が行えず、施設からの通報がなされなかった」と火災を振り返り、夜間の人員不足が指摘される介護施設では、報知機器と通報機器を連動させる必要性が指摘されたことがある。

 現在、消防庁の通知(消防予第164号)では、「火災通報装置の起動については、手動によることを原則」とし、自動火災報知設備と連動させる方式の実施判断は、地元の消防機関の判断によるとされている。消防機関で、連動を採用する例は少数にとどまるが、夜間の人員不足や自力避難に困難を伴う利用者が多い福祉施設等には、積極的に連動を進めるべきという声も強かった。
【スプリンクラー設備等の補助対象施設】

 ・特別養護老人ホーム及び老人保健施設
 ・認知症高齢者グループホーム
 ・軽費老人ホーム
 ・養護老人ホーム
 ・有料老人ホーム
 ・小規模多機能型居宅介護事業所
 ・複合型サービス事業所
 ・老人短期入所施設
 ・生活支援ハウス等

 ※現行の延べ床面積や自力避難困難者(要介護度)割合などの要件をなくし、上記全ての施設が対象になる
(シルバー産業新聞2014年3月10日号)

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