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シルバー人材センターが成年後見事業 埼玉・新座市

シルバー人材センターが成年後見事業 埼玉・新座市

 埼玉県新座市のシルバー人材センターでは、2014年より成年後見事業を行っている。高齢者の就業を目的とした組織で成年後見事業に取り組む例は全国でも極めて珍しい。同センターの福島和男理事長と成年後見委員会の金枝久子委員長に話を聞いた。

 新座市の人口はおよそ16万5000人。東京都に隣接し、都心のベッドタウンとして住宅開発が進んだ歴史があり、現在、高齢化率は25%を超えてきている。同市のシルバー人材センターの会員は2000人を超え、ピーク時は60歳以上人口に占める加入率が7%(全国平均は約2%)に達するなど、県下でも意欲的な高齢者が多い特徴がある。

 新座市のシルバー人材センターが成年後見事業に取り組んだのは14年4月から。会員から自分たちが培ってきた人生経験を活かし、社会貢献したいという声が上がっていた中で、県連合の「退職したホワイトカラー人材を市民後見人として活用する企画案」が国に採択され、モデル事業を実施したのがきっかけだった。

 事業はシルバー人材センターが市民後見人を養成し、法人として後見活動を実施するための体制を図る内容。東京大学政策ビジョン研究センターが協力し、3カ年計画で市民後見人の養成研修やフォローアップの研修などが行われた。

 初年度から130時間の講座に定員一杯の20名が応募、一人の脱落者もなく全員が市民後見人の履修証明書を受け取った。3カ年の事業計画終了後に、新座市シルバー人材センター独自の事業として、成年後見事業を実施していくことを決断。これまでに約70人の市民後見人を養成し、成年後見人等の申立支援、相談業務などを行ってきている。

 受任件数は4件。後見人の選任は家庭裁判所が本人の状況を判断して行われるが、「家庭裁判所が、シルバー人材センターに任せても良いと判断してくれているのはありがたいこと」と福島理事長。後見業務担当会員が必ず2人以上で関わる体制を敷いているのも同センターの特徴で、「年齢層が高く、病気など様々な理由で後見人活動が継続できなくなる可能性もあるので、組織としての対応を心掛けている」と金枝委員長は説明する。

 会員からは実際に後見人として活動してみて、「戦後の混乱などがあった影響で、戸籍を整えるのが思った以上に大変」などの声もあるが、複数人で関わるため、事務負担なども適切に分担できており、やりがいや充実感を感じながら任務に当たれているという。

 課題は事業としての継続性。「多くの方にシルバー人材センターの成年後見事業を知ってもらうことが大事」と福島理事長は強調する。市内の高齢化が進み、今後ますます成年後見制度を必要とする人が増えていく中で、同センターが成年後見制度のハードルを下げる役割を果たしている点は重要だ。

 市民の理解が広がり、シルバー人材センターが行う成年後見事業が上手く活用されることを期待したい。

 (シルバー産業新聞2019年7月10日号)

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