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総合事業の実施状況 多様なサービスの多くはA型

総合事業の実施状況 多様なサービスの多くはA型

  9月30日に開かれた社会保障審議会介護保険部会(部会長=遠藤久夫・学習院大学教授)で、厚生労働省は介護予防・日常生活支援総合事業(以下、総合事業)の実施状況の調査結果を報告した。

 同結果は15年4月に総合事業に移行した78自治体に対し、厚労省が実施状況の確認を行い、結果を速報値としてまとめたもの。

 まず、総合事業開始から1年間で、多様なサービスを提供する事業所がどの程度増えたかだが、15年3月と16年4月の対比で、訪問サービスでは711事業所、通所サービスでは858事業所が増加している。

 内訳は、訪問サービスがA型(緩和型)71.7%、B型(住民主体型)11.4%、C型(短期集中予防型)15.2%、D型(移動支援型)1.7%、通所サービスがA型64.9%、B型17.8%、C型17.2%と、A型が他の類型に比べて多く出現している。

 多様なサービスの実施主体については、介護サービス事業所が多く、訪問サービスで74.5%、通所サービスで87.4%と圧倒的に多い。ただ、生活支援サービスについては、介護サービス事業者は15.9%にとどまり、民間企業22.0%が最も多くなっている。

 多様なサービスの主な担い手では、介護専門職が訪問・通所・生活支援サービスいずれも半数以上を占め、生活支援サービスについては65.9%という状況になっている。

 緩和型サービス事業所のうち、緩和された基準が適用されている割合は、訪問サービスの場合、従事者員数が76.9%で最も多く、次いで従事者資格59.4%、設備・備品が28.6%の順になっている。通所サービスも同様に、従事者員数80.6%、従事者資格70.4%、設備・備品56.6%の順。A型では従事者員数を緩和している自治体が多い実態が見てとれる。

 事故発生の状況では、ボランティアによる事故は1件あったが、ボランティア自身の人身事故のみで、現時点では多様なサービスを利用している利用者に対しての事故報告はない。

 また、ボランティアによるサービス導入後の苦情の増減を確認した問いには、「増加した」と回答した市町村はなかった。

 総合事業を実施したことによる要支援数等の推移では、15年3月時点が要支援1:247人、要支援2:220人の計467人。

 15年4月時点が事業対象者:22人、要支援1:246人、要支援2:219人の計487人。

 16年3月時点が事業対象者:90人、要支援1:215人、要支援2:199人の計504人となっており、要支援者数は15年3月と16年3月対比で7.9%の増加。この計数に対し、厚生労働省は従来の伸びと比較して「特に大差はない」としている。

 また、訪問・通所のサービス利用延べ日数の変化でも、15年3月が7・3日に対し、16年4月が7・2日と、総合事業利用前後においてサービス利用延べ日数に「大きな変化は見られない」というのが同省の見解。

 総合事業利用者の状態の変化では、15年3月と16年4月の比較による状態像の変化を公表。その結果、要支援1では、79.3%が不変、20.3%が重度化、非該当が0.4%、要支援2では75.4%が不変、15.0%が軽度化、8.6%が重度化、非該当0.6%、死亡0.3%という結果になり、「総合事業への移行を要因とする状態の悪化はみられない」としている。

(シルバー産業新聞2016年10月10日号)

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