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ベルメディカルケア(静岡市)、福祉用具選定・提案AIを採用し、質の高いサービス提供に取り組む

ベルメディカルケア(静岡市)、福祉用具選定・提案AIを採用し、質の高いサービス提供に取り組む

 シーディーアイ(東京都中央区、濵岡邦雅社長)は、人工知能(AI)を搭載した福祉用具専門相談員向け業務支援システム「福祉用具SOIN(そわん)」を開発。同システムをいち早く導入したベルメディカルケア(静岡市、堀川惠司社長)を取材した。

松永部長(右)と小島部長

松永部長(右)と小島部長

静岡県下でサービス提供

 鈴与グループの一員として福祉用具貸与を展開するベルメディカルケアは、西は浜松から東は伊東まで、県下に8事業所を構え、利用者数は7000人近くに及ぶ。

 同社では、7月1日より、AIを搭載した福祉用具専門相談員向け業務支援システム「福祉用具SOIN」を全事業所で採用。AIが過去に学習した膨大なデータを元に、根拠のある、高品質な福祉用具の選定・提案に取り組んでいる。

 「導入のきっかけは、当社が地域の居宅介護支援事業所向けに、ケアマネ版『SOIN』を販売してきたことや、静岡県や沼津市などの自治体で『SOIN』の活用が広がっていることなどが背景」と営業開発部の小島祐一部長。今回、シーディーアイから、福祉用具専門相談員向けのAIシステムがリリースされたことから、いち早く導入に踏み切った。

現場に負荷なく導入

 「福祉用具SOIN」は、インターネットに接続し、利用者の年齢、性別、要介護などの「基本情報」と、全国福祉用具専門相談員協会が作成する「福祉用具サービス計画書(基本情報)」の「身体状況・ADL」に関する14項目を入力するだけで、▽利用者の状態に近い人が実際によく使っていた福祉用具▽約1年後の要介護と各状態の予測▽「歩行」「排泄」「入浴」に関する現状と今後の状態――などの分析結果をAIが導き出し、画面に表示させることができる。
利用者の状態に近い人が実際によく使っていた福祉用具を表示

利用者の状態に近い人が実際によく使っていた福祉用具を表示

 同社では、全ての福祉用具専門相談員にiPadを携帯させているため、画面で項目を選んでいくだけで、すぐに入力作業が完成する。「入力そのものは5分もかからないので、現場に大きな負荷をかけず、システムを導入できた」と小島部長は話す。

 1年後の要介護度と各状態の予測をグラフで表示する機能もあり、「利用者の状態変化を可視化することで、利用者が自らの状態の予後予測を具体的にイメージでき、目標を立てやすくなる」。他にも、実際に状態が改善されたプランなども参照でき、「サービス担当者会議で情報提供することで、専門相談員の存在感も大きくなる」と、小島部長は導入効果に期待を寄せる。
改善の予測など、AIがサービスを分析

改善の予測など、AIがサービスを分析

業界全体で取り組むべき課題

 ベルメディカルケアでは、新規利用者やAI解析の必要性が高い利用者から同システムの活用を進めているほか、新人教育にも活用している。同社リラックス事業部の松永高純事業部長は「人が選定・提案する福祉用具とAIが選定・提案する用具を比較し、選定の妥当性や、アセスメントの見落とし・気づきを得るためのツールとしても活用できる」と評価する。

 また、会社としてDX(デジタルトランスフォーメーション)や生産性向上に取り組む姿勢が、人材採用などにも影響してくると話す。日本全体で生産年齢人口が減少する中で、福祉用具業界も人手不足に悩まされている。ICTやAIなどを活用して業務効率化を図り、質の高いサービス提供ができる体制を構築することが、今後の福祉用具事業にも不可欠だと松永部長は強調する。同社では、RPA(ロボティックプロセスオートメーション)にも取り組み、サービス提供表の作成・管理などに関する事務作業については、ほぼ全て自動化されている。

 「新システムの採用は他社に知られたくない部分もあるが、業界全体の質向上や発展のためには、1社だけで取り組むものではないと考え、情報開示することにした」(松永部長)。

 「福祉用具SOIN」の利用料金は、1事業所(事業所番号単位)あたり月額3000円(税抜)。導入時の初期費用などは不要。「福祉用具SOIN」に関する問合せはシーディーアイ(☎050-5491-7123)まで。

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