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平成医療福祉グループ 観察項目などマニュアル化

平成医療福祉グループ 観察項目などマニュアル化

 平成医療福祉グループ(武久敬洋代表)は、21年介護報酬改定で新設された「栄養マネジメント強化加算」を、改定直後の4月より算定している。要件の栄養アセスメントやミールラウンドの運用に関しては、管理栄養士向けマニュアルを独自に策定。同グループ栄養部部長代理・堤亮介氏は、職種間の情報連携がより密になった点を加算のメリットにあげる。

平成医療福祉グループ「介護保険施設 管理栄養士業務マニュアル ミールラウンド」より作成

平成医療福祉グループ「介護保険施設 管理栄養士業務マニュアル ミールラウンド」より作成

 平成医療福祉グループは関西・関東エリアを中心に医療機関や介護施設を多数展開。特養・老健は約40カ所を運営し、ほぼ全施設で栄養マネジメント強化加算を算定している。

 同加算は①管理栄養士の50対1配置②低栄養(リスク含む)の利用者に対し多職種で栄養ケア計画を作成し、週3回のミールラウンドで栄養状態等を把握③栄養状態等の情報をLIFEへ提出――等が要件。利用者個々の栄養管理の充実を通じた自立支援・重度化防止をめざし21年改定で新設された。

 要件の中でハードルが高いと言われているのが管理栄養士の確保。これについて同法人では、前回の18年改定時に既に50対1体制を前倒しで整備している。「18年でも低栄養リスク改善加算や再入所時栄養連携加算などの栄養関連加算が充実した。これらの取組みが利用者のQOLにつながると、増員を判断した」と堤氏は明かす。20年にはミールラウンドに関する管理栄養士の業務マニュアルを作成。スケジュールの組み方や観察項目、記録方法などの具体的な手順を記している。

 観察項目は①環境設定②摂食動作③咀嚼・嚥下状況④本人の聞き取り⑤摂取量の確認――に分類。例えば①では、ポジショニング(背もたれ角度)に問題がないか、フロアの明るさ、テレビなどが食事の集中の妨げになっていないかなどをチェックする(表)。

 対象となる低栄養(リスク)者は概ねどの施設も4~5割ほど。1人あたりの所要時間は、継続的に実施している利用者は観察項目が絞られるため1~2分で済むことも多い。情報が少ない新規利用者や、むせの確認が必要な場合は10分程度。「長すぎると管理栄養士の負担が大きい。何より、利用者本人が食べづらくなる」と同氏は話す。ミールラウンドは基本的に管理栄養士のみで実施。経口維持加算を算定している場合は、うち1回以上を多職種で行うことで両加算の要件を満たす。

 また、透析などで通院し、昼食時に行えない場合は朝食・夕食で対応する。同氏は「管理栄養士の大半は日勤帯で、これまで昼食以外を観察する機会はあまりなかった」と説明。認知症の利用者で昼食と夕食の様子が全く違うなど、新加算で新たな発見が得られたとの声もあがっているそうだ。

記録が職種連携に

 何より、ミールラウンドの記録を通じて他職種との情報連携の頻度が明らかに高まった点を同氏は評価。「管理栄養士が思っている以上に他職種は記録を見ており、必要としていることが分かった」と話す。

 ラウンド結果は医療看護分野で用いられる「SOAP」方式で記録。内容を「S:主観的情報」「O:客観的情報」「A:評価」「P:計画」に整理し、専門用語は極力使用しない。具体的には「S」が観察項目④の本人聞き取りでの返答や要望、「O」は食事内容や①〜③の観察結果、⑤の摂取量、「A」が現状の食事・栄養面に関する問題点、そして「P」が改善策の提案、食事変更の有無となる。

 「夜勤職員は日中の状況が見えにくいので貴重な情報。食事介助や口腔ケア、リハビリ時の注意点など各専門職のケアに活かされている」と同氏。「加算算定のためだけのミールラウンドにしてはいけない。今後、LIFEの分析・フィードバックが充実すれば、いずれアウトカム評価の段階に入る。ミールラウンドの質も問われるだろう」と強調した。
(シルバー産業新聞2022年6月10日号)

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