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通所系3割超が低栄養「把握せず」

通所系3割超が低栄養「把握せず」

 日本健康・栄養システム学会は「通所事業所における口腔・栄養関連サービスに関する調査研究事業」の報告書をこのほど公表した。厚生労働省の2022年度老人保健健康増進等事業。通所介護580カ所、通所リハビリ472カ所へ利用者の口腔・栄養状態やケア内容、関連加算の算定状況などを聞いた。

 低栄養(BMI18.5未満)に該当する利用者を「把握していない」と回答した事業所は通所介護44.0%、通所リハビリ31.6%。オーラルフレイル(口腔機能低下症)についても通所介護42.8%、通所リハ43.2%が未把握だった(グラフ)。21年度改定では、管理栄養士の配置基準がないサービスに「口腔・栄養スクリーニング加算」が広く新設。栄養状態、口腔機能の簡易評価を行うことでリスクの早期発見、専門職への連携が期待されている。22年4~9月に同加算(Ⅰ)を1人以上算定した事業所は通所介護8.8%、通所リハ17.2%と、特に通所介護で低調(表)。算定しない理由は「手間がかかる」「対象利用者の把握が難しい」「加算の点数が低い」の順に多かった。

 また、「1カ月間に事業所の職員が口腔・栄養の問題に関して専門職へ相談したことがあるか」との問いには、通所介護の58.5%、通所リハの47.8%が「していない」と回答した。

 管理栄養士が栄養・食事の支援目的で利用者と関わる機会が「あった」と回答したのは、通所介護17.2%に対し通所リハ39.6%。関わった内容では食事の観察(ミールラウンド)、食事の個別調整が上位に挙がった。

 管理栄養士(外部の医療機関や介護施設、栄養ケア・ステーションとの連携も可)が専門的な栄養評価を行う「栄養アセスメント加算」を1人以上算定した事業所は通所介護3.8%、通所リハ13.6%。算定しない理由は口腔・栄養スクリーニング加算と同様だったほか、「内容や算定要件を知らない」が3割弱、「ケアマネジャーの理解や協力が得られない」が2割弱と、加算への理解が十分浸透していない実態もみられた。

 一方、栄養改善加算、口腔機能向上加算を含めた4加算のいずれかを算定している事業所にメリットを聞くと、「誤嚥性肺炎の予防」が両サービスとも約6割でトップ。「食事量の改善」が続く。体重増やADL・IADL向上などの身体機能面だけでなく、利用者・家族の喜び、食べる楽しみといった意欲の実感も多く挙がっている。
(シルバー産業新聞2023年5月10日号)

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