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介護給付費 ケアプラン逓減制緩和8.7%

介護給付費 ケアプラン逓減制緩和8.7%

 厚生労働省は1月19日、21年度介護報酬改定後の5月・6月・7月の3カ月分の介護給付費実態統計を公表した。居宅介護支援では、コロナ禍の影響もあり、連携を必要とする加算の取得が低調なものの、逓減制を緩和した居宅介護支援(Ⅱ)は1割弱の算定があった。通所系サービスは、特例措置や大規模型の見直しにより、改定前と比べて1人当たり費用額がデイサービスで▲2%、デイケアで▲3%減少。施設系サービスでは、老健を中心に排せつ支援加算や褥瘡マネジメント加算のアウトカム評価部分の算定が進み、注目の自立支援促進加算は老健で18.2%ほど算定されている。

居宅介護支援費(Ⅱ)算定割合は1割弱

 質の高いケアマネジメントの推進と経営状況の改善の双方を実現させるために、逓減制の緩和や特定事業所加算の見直しなど、多くの見直しが行われた居宅介護支援。ただ、コロナ禍の影響などもあり、ほとんどの項目が低調な滑り出しとなっている。 小規模な事業所や地方の事業所でも特定事業所加算を取得しやすい形にした「特定事業所加算(A)」は、改定から4カ月で算定実績が2万2000件、算定割合はわずか0.8%にとどまっている。

 改定前の調査で、ケアマネジャーの半数以上が通院同行したことがあると答えていた「通院時情報連携加算」だが、こちらも算定割合は0.5%となっている。

 一方、ICTの活用や事務職員の配置を条件に、逓減制の適用を45件まで緩和する「居宅介護支援費(Ⅱ)」については、7月サービス分で24万6900件の算定実績があり、算定割合は8.7%。

通所介護

 通所介護では、改定前後で受給者は微増しているものの、一人当たり費用額は約2%下がっている。利用者数は3月サービス分449万5700人、7月サービス分454万2000人と微増。一人当たり費用額は3月サービス分9万9400円、7月サービス分9万7000円と2%減少。

 要因の1つに「2区分上位の報酬算定の廃止」がある。21年度改定までは、通常規模型のデイで3時間以上4時間未満区分・要介護3の利用者の場合、472単位から2区分上位の「5時間以上6時間未満」の765単位が算定できる特例措置があり、約5割のデイが利用していたが、21年3月末に廃止された。

通所リハビリ1人費用額3%減 大規模型が算定大幅減

 通所リハビリテーションの1人費用額は7月分が8.1万円で、改定前の3月サービス分から3.3%の減少。受給者1.6%増にも関わらず、算定日数が2.5%減少し、特に大規模型の算定減が目立つ(表)。

 例えば老健の場合、通常規模型の算定日数は3~7月の4カ月で6.7%増加。これに対し大規模型Ⅰは21.0%、同Ⅱは14.4%減少している。21年度改定で、大規模型を利用する際も区分支給限度基準額の計算に通常規模型の単位数を用いることとされた影響が出ている。

 大規模型は事業所のスケールメリットが生かせるぶん、通常規模型より単位数が低く設定されている。大規模型のほうが区分支給限度基準額に達するまで、他サービスも含め多く利用できるとの不公平感を解消させたのが今回の改定だ。

入浴介助加算 上位区分への移行進まず

 通所系サービスの入浴介助加算は自宅での入浴を目指す上位区分(Ⅱ)が新設された。必要な人員・設備を揃え、入浴介助を行えば算定できる(Ⅰ)に対して、(Ⅱ)では▽居宅訪問での浴室での動作や環境の評価▽個別の入浴計画の作成▽個浴や居宅に近い環境での入浴介助を実施――と高い要件が設定された。

 通所介護の7月サービス分の算定割合をみると、(Ⅰ)は67.4%、(Ⅱ)が3.5%となっており、コロナ禍で自宅訪問が難しいことを含めても、上位区分へ移行する難しさが伺える結果となっている。

 (Ⅱ)の単価は60~65単位/日と改定前の50単位/日よりも高く設定されたが、(Ⅰ)は10単位引き下げられている。

 算定実績から、多くの事業所で同加算が減収要因となっていることがわかる。

老健でのアウトカム評価加算の算定好調

 施設サービスに取り入れられた、利用者の身体状況の改善結果を評価する各種加算については、医師が常勤配置され連携体制が整っている老健で算定が進んでいる。

 「排せつ支援加算」は、自立排泄の維持または改善などがあった場合に評価する「排せつ支援加算(Ⅱ)15単位/月」と「(Ⅲ)20単位/月」が新設。このほか、「褥瘡マネジメント加算」でも褥瘡の発生がなかった場合に評価する「褥瘡マネジメント加算(Ⅱ)13単位/月」などが新加算として追加されている。

 特養と老健の算定割合を比較すると、排せつ支援加算(Ⅱ)は特養0.2%に対し、老健1.4%。褥瘡マネジメント加算(Ⅱ)の算定割合では、特養9.7%に対して老健では18.7%と約2倍の算定が進んでいる。

 どちらも、医師や看護師と連携した取組みが求められることから、常勤医師が基準に位置付けられていない特養では、連携する医師の確保が必要なことも、加算算定が進まない要因の一つと考えられる。
 施設系サービスで新設された自立支援促進加算は、医師が入所者ごとに、自立支援のために特に必要な医学的評価を入所時に実施(少なくとも6カ月に1回は医学的評価を見直し)し、多職種と協働で支援計画を作成することなどを要件とする。

 7月サービス分の算定実績では老健が入所者の18.2%、介護医療院14.4%で算定されており、改定から4カ月後であることを踏まえると決して低い水準ではない。一方、特養は6.6%と老健と医療院に比べて取得は進んでいない。医学的評価や計画策定などで医師が起点となるため、常勤医師がいる老健や医療院で取り組みやすいと想定される。
(シルバー産業新聞2022年2月10日号)

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