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介護経営概況調査 報酬改定後の収支差率0.9pt減

介護経営概況調査 報酬改定後の収支差率0.9pt減

 厚生労働省は2月1日の介護給付費分科会経営調査委員会で、2022年度介護事業経営概況調査の結果を公表した。21年度の収支差率(税引後)は2.6%で、報酬改定前の20年度より0.9pt(ポイント)のマイナス。16サービスで収支差率が悪化した。一方、収入に対する給与費の割合は18サービスで増加。厳しい状況の中でも処遇改善を進めなければならない難しい実態がうかがえる。次年度の経営実態調査では、昨今の物価高騰の影響についても精査する。

 介護事業経営概況調査は、同一事業所に対し報酬改定の前後2年度分の経営状況を調査するもの。20年度・21年度決算を対象とした今調査では、新型コロナの感染状況や経営への影響を考慮し、新たにコロナ補助金を含む場合、含まない場合に分けて収支差率を算出した。

 21年度の収支差率(コロナ補助金含む、税引後)は2.6%で20年度比0.9pt減。23サービス中16サービスで悪化した。コロナ補助金を含まない場合(税引前)は2.8%(同0.6pt減)となった。

 調査対象数が少ないため「参考数値」扱いとする介護療養施設と夜間対応型訪問介護を除き、最も収支差率(税引後)が高いのは定期巡回・随時対応型訪問介護看護の7.8%。次いで訪問看護(7.1%)、訪問介護(5.5%)と訪問系で高い傾向がみられる。一方、収支差率が最も低いのは訪問リハビリ、通所リハビリの0.2%。両サービスともコロナ補助金を含まない場合は赤字(訪問リハ▲0.4%、通所リハ▲0.3%)となる。

 20―21年度で収支差率の減少幅が最も大きかったのは認知症対応型通所介護(4.8pt減)。改善幅が最も大きいのは福祉用具貸与(2.1pt増)だった。

給与費割合18サービスで増加

 21年度報酬改定は0.7%のプラス改定。特に初年度の4~9月は、新型コロナに対応するため「基本報酬の0.1%上乗せ」の特例措置が行われている。収支差率悪化の要因について同省は「人件費増が影響している」と説明した。

 実際、今調査での「収入に対する給与費の割合」は18サービスで増加。収支差率の減少幅が最も大きかった認知症デイが68.2%(4.0pt増)と最も増加幅が大きい。

次年度実態調査物価高騰影響の把握も

 この日は、5月に実施する介護事業経営実態調査の調査案についても了承。近く介護給付費分科会へ報告する。

 改定後2年目(今回は22年度決算が対象)の経営状況を把握し、次期24年改定の重要な基礎資料となる同実態調査。24年3月に廃止予定の介護療養施設を除く全サービスを対象に行う。10月頃に結果が公表される。

 同省が示した調査案によると、概況調査と同様、利用者・職員の新型コロナ感染状況やサービスへの影響について引き続き調査するほか、新たに①物価高騰対策②介護職員処遇改善支援補助金③法人本部から法人本部への繰入金(特別利益)――などの項目も加える。

 ①ではエネルギー・食料品価格等の物価高騰への対策として創設された「電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金」等による支援金の記載欄、②では同支援補助金による収入の記載欄をそれぞれ設ける。

 このほか、希望する法人には法人本部へ調査対象施設・事業所名の伝達と調査票の一括送付を行い、調査精度、回収率の向上をはかる。前回20年度実態調査の有効回答率は45.2%、今回の概況調査は48.3%だった。

(シルバー産業新聞2023年2月10日号)

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