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ヘルシーネットワーク、認定栄養ケア・ステーション展開

ヘルシーネットワーク、認定栄養ケア・ステーション展開

 介護食品を全国ネットで届けるヘルシーネットワーク(東京都日野市、黒田賢代表)は、2018年9月から日本栄養士会認定の「認定栄養ケア・ステーション」を展開している。相談窓口で顧客から話を聞くうちに、退院後の在宅での食事や栄養支援を地域全体に広げたい、という思いが強くなってきたという。高齢者の“食”の課題を含め、在宅支援係主任でステーション代表の中村玉絵さんに話を聞いた。

窓口に寄せられる相談とは
 弊社のカタログは病院や介護施設などに置いているが、それを見たお客さんからの相談が多い。退院時などに病院からの指導はあるものの、ペースト食の選び方やお弁当の選び方が分からいとよく相談される。自分に合った商品を知りたいのだと思う。そういう中で、これは実際に対面することが大切と思い始めた。

「認定栄養ケア・ステーション ヘルシーネットワークつながる」を立ち上げた理由
 退院時や外来で食事指導を受けて帰っても、その通りに自分でするのは難しい人もいる。また、その人の栄養全体を支えるには、その方の全体の食事内容、生活も考えていく必要がある。介護食を使う使わないに関わらず、栄養の話が出来ることが大事だと思い、それには、管理栄養士が直接訪問してアドバイスする機会を作りたいと思った。また、電話で相談される人だけでなく、食に困っている人は地域にもっといるはず。その支援のためには、栄養相談に特化したステーションが地域にあったら良いと考えるようになった。

ステーションの活動内容
 現在、管理栄養士4人、栄養士1人で活動している。活動エリアは本社がある東京都日野市を中心に、多摩市、国立市、府中市、立川市、昭島市、八王子市(一部)、稲城市、国分寺市などで活動している。訪問して栄養や食事の相談にのり、高齢者の見守りを兼ねている点が特徴。「お食事のコーディネートサービス」は、管理栄養士が訪問して、30分から2時間の間で相談にのる有料サービスになっている。

 そして「栄養支援型配食サービス」は、配食と、管理栄養士による月1回の栄養サポートがセットになった有料サービス。栄養素量を計算した食事を提供し、必要な場合は1日の食事全体もコーディネートする。「たんぱく質調整食」「リン・カリウム調整食」「塩分調整食」のほか、嚥下困難な人向けの「物性調整食」を用意している。

 お弁当を届けるだけでなく、利用者の食から生活の様子を観察し、身体や健康状況も把握する。このサービスは厚労省の「地域高齢者等の健康支援を推進する配食事業の栄養管理に関するガイドライン」に沿った内容で、管理栄養士の専門スキルを活かして利用者をアセスメントしてフォローアップしている。

「お食事のコーディネートサービス」の事例
 ある時、ケアマネジャーから相談があった。ガン末期の独居高齢者で、医師から指導された食事がうまく摂取できなかった。施設ではなく自宅で最期まで暮らしたい要望があり、ケアマネさんは悩んでいた。そこで本人から依頼を受け、当方の管理栄養士が訪問し、お話を伺った。味の好みを聞きながら、在宅生活を継続するために必要な栄養量が摂取できるよう、支援を行った。ご本人は老健でリハビリに通っていたが、飲み物でむせることを知った担当の管理栄養士は老健に伝えた。その後、摂食嚥下のリハビリの開始に繋がり、ご本人が希望する食形態を維持することができた。

「栄養支援型配食サービス」でサービス担当者会議に出席した事例
 透析に通うAさんは、送迎の支援にヘルパーさんが入っているほか、ケアマネが必要だと判断したサービスを受け入れないため、ケアマネは悩んでいた。本人からステーションに電話があり、一度、サービス担当者会議を開くことになり、ケアマネと一緒に当方の管理栄養士が訪問した。

 担当者会議でご本人と相談した結果、「塩分調整食」を届けることになった。当社のお弁当にはデザートが付いていて、お家の中に入って冷蔵庫に入れることもある。Aさんの冷蔵庫を開けてみると、古い食材が入っていた。状況をケアマネに相談し、Aさんと相談した結果、ヘルパーの買物支援を入れることになった。その流れで、これまで拒んでいた入浴介助等も入れる結果になった。当方の管理栄養士の気づき(関わり)から、これまで難しかった支援が行えるきっかけを作れたことは大変うれしく思っている。

セルフケアに繋がった事例
 80代男性で、介護保険を利用していないMさんは、食事の悩みがあって地域包括に相談した。包括のケアマネさんが、管理栄養士による相談付きのサービスがあるからと紹介してくれたところ、Mさんから当方に連絡があった。

 早速訪問してお話しを伺うと、減塩しないといけないのは分かっていても、具体的にどう食べたらよいか分からないご様子だった。医師の指導があったので、それに基づいてお弁当を1日1食、お届けすることになった。すると本人は、これまで分からなかった医師の説明が理解できるようになり、1日の食事内容を記録して、見せてくれるようになった。週1回の配達時に管理栄養士が記録を確認し、1日1食のお弁当だから、それ以外の食事についてもアドバイスした。食に対する関心が高まっていき、好きだったみそ汁をご自身で控えるようにもなった。セルフケアに繋がった貴重な例だと私たちは考えている。

「南多摩地域栄養士協議会」の事務局に
 19年に「南多摩地域栄養士協議会」という団体が立ち上がり、同年2月から当方が事務局を担っている。現在、86名の管理栄養士(栄養士含む)が加盟し、定期的な研修会を開き、ウェブ配信もしているところ。

組織を作った経緯については、当方のステーションが行う支援は、介護保険制度の居宅療養管理指導ではないため、利用者の自費利用負担となっている。居宅療養管理指導による支援を受けるには、医療機関などに所属する管理栄養士が必要になる。そこで、日野市に相談したところ、市内には現在、栄養士の組織がないので立ち上げたらどうか、というアドバイスをもらった。実際、日野市では、多職種の地域ケア会議などに栄養士が入ることがなかった。

 「南多摩地域栄養士協議会」の発足後、地域ケア会議や市が開催するイベントなどに協議会メンバーが参加できるようになり、地域での栄養士・管理栄養士の活動の機会が広がっている。

在宅支援で感じる“食”支援の課題
 当社のヘルシーネットワークは、品揃え豊富な介護食品を全国に流通させる仕組みをもった会社で、その仕組みを活用して、在宅の高齢者に介護食やお弁当を提供できるのが強みだと思っている。しかし、品揃えは豊富でも、活用の仕方が分からない人が多いことは課題だと思う。また、退院・退所時に、在宅で生活するプランを立てるところにも課題があると感じていて、退院カンファレンスに在宅の管理栄養士がなかなか参加できていない現状について歯がゆく感じているところ。今後は、当方のステーションとして、地域の多職種、同職種と連携しながらこうした課題に対応していきたいと考えている。

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