インタビュー・座談会

対人・連携業務が充実 管理栄養士の動き方が変わる21年大改定

対人・連携業務が充実 管理栄養士の動き方が変わる21年大改定

 2021年介護報酬改定では口腔・栄養ケアを評価する各種加算が新設・拡充し、管理栄養士の関与がより明確になった。栄養ケア・マネジメントの考え方が導入された06年改定以来、「15年ぶりの大改定」と言われている。報酬の設計に携わった厚生労働省老健局老人保健課の介護予防栄養調整官・日名子まき氏に今改定のポイント、介護現場に期待する口腔・栄養ケアの今後について聞いた。

 ――21年改定で特に注目すべき施策は。

 介護施設はこれまで、管理栄養士の配置や入所者ごとの栄養管理が「栄養マネジメント加算」で評価されてきた。21年改定ではこれを基本サービスに組込み(3年の経過期間)、かつ管理栄養士の比例配置(50対1)やミールラウンド等を要件とする「栄養マネジメント強化加算」を新設。医療機関でも管理栄養士の比例配置を評価するしくみはまだ無く、画期的な加算だと言える。

 今までは献立作成や給食管理、栄養ケア計画の作成が中心で「施設のどこに居るかわからない」と捉えられる向きもあったが、ミールラウンドで食事の場に出ることで利用者と直接関わるケースも増えるだろう。

 さらに、今改定では看取りや褥瘡マネジメントに関与する職種にも管理栄養士が明記され、多職種協働の機会が確実に広がると予想される。介護現場との意見交換でも「加算をきっかけに職種間のコミュニケーションが活発になった」といった声が聞かれた。

 ――LIFEにも管理栄養士が関わる項目が随所にあります。

 例えば「科学的介護推進体制加算」は口腔・栄養の項目が多くを占めている。また、自立支援促進加算ではケアの方向性として本人の生活様式や嗜好に応じた食事の提供が位置付けられている。管理栄養士の専門性が発揮できる部分だ。

 LIFEはフィードバックを元にPDCAを回し、より丁寧・適切なケアに繋げることが目的であり、データ入力・提出作業に追われ利用者支援がおろそかになるような「逆効果」に陥ってはならない。

 栄養に関しては、低栄養改善状況などを利用者や施設・事業所ごとにフィードバックして活用いただければと考える。国レベルでは加算取得と栄養状態との関連性などの分析は、次期施策への有用な検討材料となるだろう。

 ――管理栄養士の業務が多様化するほど、人手も必要になります。

 管理栄養士は50床でも200床でも、1人体制という施設がまだまだ多い。昨今のコロナ禍で、一時的な人員欠如のリスクもある。つまり、栄養マネジメント強化加算の比例配置は、管理栄養士が多様な役割を担いつつ、個々の栄養管理を充実する基盤づくりとしての意義が大きい。

 管理栄養士は毎年1万人が資格を取得し、現在約25万人が保有する。医療機関や学校、食品メーカーなど職域が広いなかで、介護現場は「疾病管理+生活に寄り添うケア」で専門性をフルに活かせる職場だ。改定2年目の今年度、新卒採用等による人員増強、5月以降の加算の伸びに期待したい。

 関連し、昨年度の老健事業では口腔・栄養関連の21年改定項目をケアや経営に活かすための手引書を策定した。間もなく公表となる(4月上旬予定)。各種加算の運用、管理栄養士の確保・育成、経営者に対する複数配置の提案などのノウハウを整理した。

 また、今年度は改定検証調査の項目に「施設の口腔・栄養管理」も予定している。関連加算の算定状況や栄養ケア・マネジメントの進捗などの実態が精緻に把握できるだろう。

 ――通所系にも栄養アセスメント加算が新設されました。

 栄養アセスメント加算は管理栄養士を配置し、多職種で栄養評価を行いその内容をLIFEへ提出する。算定率はまだ数パーセント程度だが、管理栄養士は栄養マネジメント強化加算の算定施設や栄養ケア・ステーションとの外部連携でも算定が認められるため、ぜひ取り組んでいただきたい。

 加えて、事業所職員が定期的に口腔・栄養スクリーニング(加算)を行い、低栄養等リスクを早期に発見。必要に応じて管理栄養士等の専門職が介入する栄養改善加算へつなげていく形も期待される。

 ただ、在宅のフィールドは施設以上に管理栄養士の存在が見えにくい。ケアの目的や方針もそうだが、まずは短期間での栄養改善を成功体験として実感してもらうことが、在宅での普及のカギとなるだろう。

(シルバー産業新聞2022年4月10日号)

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